なぜクローザー・山田陽翔は理にかなっているのか?
山田陽翔(近江)
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野球日本代表、侍ジャパンU-18代表投手陣の編成で最も注目されたのは、今年の高校生No.1右腕と評価されている山田陽翔投手(近江=滋賀)の起用法である。馬淵監督はクローザーで起用することを明かした。DHとして使う考えもないという。
「投手だけでやってもらいます。初日の練習も打撃をやっていましたが、『やるな』と伝えました。DH起用も考えていません。どっちかというと抑え的な仕事を考えていますので、抑えなら先に使えない。DHで起用したいのは3人考えているので、彼は勝ち逃げの時にしっかり勝ってほしい。それは本人にも伝えています」
近江では、山田が投打ともに中心だったが、代表投手陣では、先発、中継ぎをこなせる投手が多くいる。山田にはすべてを担うのではなく、疲労を軽減しながらフルパワーで力が発揮できるポジションが合っているのではないか。
代表にとっては山田は切り札だ。国際大会は、通常の公式戦に比べて球数制限が厳しい。WBSCの球数のルールでは、
1球から49球 休養日なしで連投可能
50球から104球 中1日
105球以上 中4日
となっている。
短期決戦が続く中で、好調時は、140キロ後半の速球に、ツーシーム、スプリット、カットボールで圧倒する投球ができる山田は強豪国の打者といえど、打ち崩すのは難しいだろう。実際に甲子園の投球を見て、山田はプロの世界であれば、リリーフタイプで生きる投手と見ていて、事前の投手分析でも山田はクローザータイプと述べてきた。
山田の負担を減らすだけではなく、切り札をうまく使うという意味では、「クローザー・山田」は理にかなっている。馬淵監督は投手の球数管理についてこう語っている。
「球数制限もあるので、既定では50球以内なら毎日、それ以上なら何日か空けて、100球超えると中4日とかですので、7回なら僕の考えは今日も集めて言いましたが、『毎日投げるつもりで。1回ずつで7人が投げるくらいのつもりでいてくれ』と。
5回まで何とかリードして、6、7回は1回を調子のよい投手で逃げ切ることも考えています。投手の調子を見つつ、相手との力関係で考えないといけないですが、1人の完投は全く考えていない」
投手をまんべんなく起用する方針だ。
山田については1次ラウンドの最終戦の台湾戦、強豪国との対戦が続くスーパーラウンドで真価が問われるのではないか。山田自身も「やはり後半、7回制で投げることで重圧がかかるところでの登板が多くなると思いますが、任せてもらう期待に応えたい。任せてもらったイニングはしっかり0点で抑えられるように。
クローザーということで試合での登板を求められるので、ケアもしっかりして次の試合でもベストコンディションを持っていけるようにしたい」と意気込んだ。
まずは壮行試合で登板するであろう山田。多くの観客が見守る中で期待通りの投球を見せることができるか。
(文=河嶋 宗一)