どちらが勝っても初優勝!仙台育英は主導権を握れるか、下関国際は終盤の粘り強さを発揮できるか
2022年第104回全国高校野球選手権大会(甲子園)の決勝戦は、仙台育英(宮城)と下関国際(山口)の対決に決まった。
注目の決勝戦の見どころを紹介したい。
仙台育英
4試合 39得点 10失点
下関国際
4試合 27得点 9失点
強力な投手陣と本塁打0ながら、俊足打者、巧打者を揃え、着実に点を重ねてきた仙台育英。そして古賀 康誠投手(3年)、仲井 慎投手(3年)の2枚看板を中心に失点を防ぎ、相手投手に応じた打撃、戦術で毎試合5点以上を記録した下関国際と、投打ともに実力が高い両校のハイレベルな試合が期待できる。
仙台育英の須江監督は「自分たちの身の丈に合った野球ができている。チームとしてどう戦うか、それをブレることなくシンプルに戦うことができるのが強みです。成功したことも、失敗したことも意図を持ってやってきた。狙いが明確でした。守備については、相手打者をどう打ち取るのか、配球、状況に応じたポジショニングなどが良かったと思います。攻撃に関してはランナー一塁、二塁からの攻撃。結果にとらわれず、前半の攻撃が伏線となり、後半の攻撃につながっています」とここまでの勝ち上がりの要因、選手たちの成長ぶりを語る。
そして下関国際の坂原監督はここまでの戦いについて、「今大会については、もともと守備型のチームでした。好投手との対戦が相次いだので、攻撃面で不安がありましたが、びっくりするぐらい打線がつながっています。それでも、この大会では、持ち味である守備を中心とした野球を発揮できています」と語る。
下関国際は古賀、仲井の方程式でつなぐことは間違いない。とはいえ、近江(滋賀)戦で2回途中降板した古賀がどこまで持つか。ロングリリーフした仲井は準決勝で130球を投げた。やはり多少の球速ダウンは仕方ない。捉えられる確率が高まるため、ショートリリーフに専念できる状況にもっていきたいところだろう。決勝戦前日、2人ともしっかり体力回復に努めた。
打線は、勝負強い4番・賀谷 勇斗内野手(3年)、今大会、大当たりの1番センターの赤瀬 健心外野手(3年)もキーマンとなる。単打でつないで、着実に点を重ねていきたい。
仙台育英は相手の機動力を警戒する上で、実戦力の高い投手が鍵になる。愛工大名電(愛知)戦と同じく古川 翼投手(3年)、斎藤 蓉投手(3年)の両左腕が鍵になりそう。高橋 煌稀投手(2年)も下関国際打線に負けない攻めが重要となる。
投手陣の起用が注目されるが、尾形 樹人捕手(2年)のリードや、打者のタイプ、配球に応じた守備のポジショニングも鍵を握っている。須江監督は下関国際について「センバツ優勝の大阪桐蔭さん、準優勝の近江さんを破った勢いだけではなく、細部のこだわりが感じられるチームです。打者のタイミング、守備のバックアップ、組織的なプレーが徹底されていて、最も苦戦するチームだと思います」と語る。
そして打線は下関国際の2枚看板をどう打ち崩すか。須江監督は2人を評価しつつ、特に仲井を警戒する。
「古賀くんは丁寧に投げるので、打ちにくさがある好投手。彼がいるからこそ、タイプが全く違う仲井くんの良さが生きる。球質のデータを見ていないのでわかりませんが、野手とは思えない球質の良さがある投手で、背番号6でありますが、大会屈指の好投手だと思います。得点が望みにくい投手なので、疲れてくる後半戦しかチャンスがないと考えています」
須江監督が語るように、双方が投手力、守備力を発揮すれば、後半勝負になることは間違いない。どちらが優勝してもおかしくない。
ただ、優勝の確率を上げるとするならば、仙台育英は古賀を序盤から打ち崩し、3点以上の差をつけて、後半に持ち込みたい。一方、下関国際はリードされても2点差以内で、後半戦へ。そして試合展開が重くなってしまうようなミスからの失点は防ぎたい。
どちらが勝っても初優勝のこの一戦。歴史に残るような接戦を期待したい。
(文=河嶋 宗一)
★ 仙台育英
古川 翼投手 18日 準々決勝 愛工大名電(愛知)52球
斎藤 蓉投手 18日 準々決勝 愛工大名電(愛知)71球
高橋 煌稀投手 20日 準決勝 聖光学院(福島)37球
湯田 統真投手 20日 準決勝 聖光学院(福島)84球
仁田 陽翔投手 20日 準決勝 聖光学院(福島)61球
★下関国際
古賀 康誠投手 16日 3回戦:浜田戦(島根) 82球
18日 準々決勝:大阪桐蔭(大阪)127球
20日 準決勝:近江(滋賀)30球
仲井 慎投手 16日 3回戦:浜田戦(島根) 52球
18日 準々決勝:大阪桐蔭(大阪)49球
20日 準決勝:近江(滋賀)130球
松尾 勇汰投手 16日 3回戦:浜田戦(島根)16球