Column

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望!

2022.06.15

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコム
宮古・沖勇作、沖縄水産・上原昂、沖縄尚学・吉山太陽、前原・目取眞悠月

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコムトーナメント表
沖縄大会の組み合わせ

 104回目を数える夏の選手権大会が各地で始まろうとしている。ここ沖縄県でも7日、抽選会がリモートにて行われ、春季大会を制した沖縄水産を中心に熱い戦いが繰り広げられることになる。シード4校のブロックごとに、それぞれの有力校など夏の展望を見ていく。

Aブロックの展望

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコム
沖縄水産・上原昂

 25年ぶりに春季大会を制した沖縄水産がシードのAブロック。名門沖縄尚学との決勝戦でも3安打をマークし、春季大会打率7割(20打数14安打)と驚異的な成績を残した不動の切り込み隊長である川端 南海斗内野手(3年)がチームのカギを握る。2番吉元 悠貴捕手(3年)も秀逸。仮に川端 南海斗がいなくても、この男がトップを務めただろうと思えるその成績は打率.467、出塁率はなんと.680。5試合で喫した三振はわずか1個という稀に見る選球眼はBB/Kで割ると10.00という数字が出てくる。

 ちなみにプロ野球では、ここ30年間で、BB/Kの数字が2.00を超えた選手は2006年のソフトバンク松中 信彦内野手(八代第一出身)だけなのだそうだ。この2人が相手をかき乱したあとに登場する4番知念 琉月内野手(3年)は、パワーヒッターとして歴代の「沖水」4番と比べてもそん色ない。昨年秋季大会では八重山農戦、向陽戦、名護戦と3試合連続本塁打を含む全5試合で長打をマーク。春季大会でも西原戦でアーチを掛けた。頭一つ抜けた沖縄水産が有力だがストップ・ザ・沖水に闘志を燃やしているのがKBC学園未来沖縄だろう。

 秋季大会ベスト8のKBC学園未来沖縄は、春季大会3回戦までに30得点を記録するパワー野球で連続ベスト8入り。自信を持って臨んだ準々決勝では沖縄水産にコールド負けという屈辱を喫しているだけに、1回戦を突破すれば挑戦できることを知った抽選会後は並々ならぬ決意で練習に励んでいることだろう。

 春の沖縄水産戦を振り返ると4回、先発依田 龍斗投手を継いだ2番手の大城 元投手(3年)が3つの四球で満塁と苦しい場面から9番の平田 李維投手(3年)に中前へ運ばれて1点。暴投で2点目を許すと川端 南海斗に2点適時三塁打を浴び4失点。3番手の松田 颯太も5回と7回に川端 南海斗に連続二塁打を浴び失点を重ねて敗れている。KBC学園未来沖縄投手陣が川端 南海斗をどう抑えるかで勝機が訪れる。2020年の沖縄県夏季大会ではチームを準優勝に導いた若き神山 剛史監督の手腕にも注目が集まる。

 秋春連続ベスト16入りの糸満は、春3回戦で豊見城に敗れたが試合内容はそこまで悲観的ではない。5回には9番岡田 侑大の安打を足掛かりにし2番仲座 照瑛が適時打。6回にも4番船附 大登の安打から6番西村心平、7番嘉数勇吾の連続安打でリードを奪う展開とした。8回にも無得点ながら下位打線が2本の安打をマークしており、大城 朔太郎大城 堅也から仲座照瑛川満 真船附 大登と続く上位打線がかみ合えば沖縄水産にも引けを取らない打線として視線を注がれる可能性は高い。

 その糸満と対する北山はエース知念 夢翔に期待。ベスト4入りした昨年秋、全5試合に登板した知念 夢翔は準々決勝の沖縄尚学戦でも6安打6奪三振1失点と好投し勝利に貢献した。宜野座与勝那覇沖縄尚学戦の4試合で4自責点、防御率1.09の成績を残している。糸満打線VS知念夢翔のカードは1回戦屈指の好カードとなる。勝者が沖縄水産とKBC学園未来沖縄那覇商の勝者とベスト8を賭けて戦う公算が大だろう。

 もうひとつの山から上ってくるのは与勝浦添普天間那覇などか。

[page_break:Bブロックの展望]

Bブロックの展望

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコム
前原・目取眞悠月

 昨年秋準優勝、春季3位と安定した成績を残した前原がシードのBブロック。不動の3、4番を務める目取眞 悠月内野手(3年)、新里 紹舜内野手(3年)の両大砲を軸に下位打線まで気を抜けない強打が自慢だ。目取眞が打てないときは新里が。新里が不調のときは目取眞がカバーする姿を他のナインも目の当たりにしているからこそ生まれる全員野球がチーム力をさらに上げている。課題だった投手陣も横田 琉空投手(3年)、上原 望生投手(3年)、金城 陽投手(3年)とそれぞれが成長。打線におんぶにだっこのままでは終われないプライドが猛練習に繋がりレベルがアップした。1996年以来、26年ぶりの甲子園出場切符を手に入れるため、なりふり構わず突き進む。

 このブロックには強豪校が連なった。春ベスト4の宮古に0対2と互角の戦いを見せた宜野湾に日本ウェルネス沖縄と接戦を演じたコザ、春初戦敗退(2回戦)の雪辱を誓う中部商嘉手納具志川八重山具志川商沖縄工が入った。さらに加わったのが私学2校。秋春連続ベスト8の日本ウェルネス沖縄興南が勝ち進めば3回戦で顔を合わせる。昨年秋の準々決勝での対戦を含め、現在は興南が2連勝中だが、それまでは日本ウェルネス沖縄興南を連続して退けていた。宿命のライバルとなりつつある両者が5度目の対戦となるかどうか。個人的に興南の主砲・盛島 稜大捕手(3年)のバットが火を噴く夏となるかどうかも注目だ。

[page_break:Cブロックの展望]

Cブロックの展望

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコム
沖縄尚学・吉山太陽

 秋季ベスト8、春季準優勝の沖縄尚学がシードのCブロック。よほどのことがない限り、沖縄尚学で決まりであろう。1年生大会から3本柱として切磋琢磨してきたU-15JAPANの仲宗根 大斗投手(3年)、体格に恵まれ将来性ナンバーワンの比嘉 佑斗投手(3年)、そして安定性抜群の吉山 太陽投手(3年)の3人を中心とした投手陣は県下随一。特に春季大会の宮古戦でノーヒットノーランを成し遂げ一気にエース格にのし上がった吉山 太陽にこの夏は注目が集まる。

 できれば温存しておきたかっただろう決勝戦は、比嘉も仲宗根も沖水打線につかまり出さざるを得ない展開になった。スクイズで1点を失ったが、吉山 太陽は14打者に対し3安打無四球0自責点と結果を残したことにより、彼なら抑えてくれると比嘉 公也監督にも確信が生まれたのではないだろうか。そのためには、豊富な経験値で投手陣をリードし、打線でも沖縄尚学の捕手としては珍しいクリーンアップを務めるほど外せない枢軸となった、前チームから守備の要を務める前盛魁来捕手(3年)と、春季大会決勝沖縄水産戦でもソロアーチをかけた長打力光る川満 渚生内野手(2年)が夏連覇のキーマンとなるかもしれない。

 秋ベスト8の豊見城、秋春のリベンジに燃える知念、そして美来工科小禄首里は選手層が厚く波に乗れば勝ち進む力は大いにある。その中で、近年ダークホースとして結果を残す中部農林ナインの戦いぶりと、2012年、夏の選手権沖縄大会、安里監督とともに指導者としてナインをベスト4へと導いた慶田城剛先生の手腕にも注目が集まる。

[page_breakD:ブロックの展望]

Dブロックの展望

沖縄水産、沖縄尚学に追随するチームは?夏の沖縄大会を徹底展望! | 高校野球ドットコム
宮古・沖勇作

 昨年秋、優勝することとなる興南と初戦で当たり早々に敗北したがその結果、長い冬の期間で着実に個々の力をアップデートした宮古が春季大会で見事ベスト4入り。初戦の知念で僅か3安打1失点と好投した沖 勇作投手は、続く宜野湾戦でも3安打13奪三振完封という最高の結果を残した。波に乗った沖 勇作那覇戦でも7回3安打1自責点。注目の強豪日本ウェルネス沖縄とのゲームでも先発した沖勇作は、6安打無四球1失点と完璧に近い投球を見せた。打席でも4番を務める沖 勇作日本ウェルネス沖縄戦で5回、6回と2打席連続二塁打を放つなど活躍。文字通り大黒柱としてこの夏も活躍し宮古勢悲願の甲子園初出場を担う。

 ここでの好カードは美里工浦添商。両校ともやはり甲子園で結果を残しただけあり、中学生たちから進学したい高校の選択肢として人気があるだけに好選手が揃う。秋と春に結果を残していないのも、ともにこの1回戦は是が非でも突破して波に乗りたいと意気込んでいる思いに繋がるだろう。意外な注目はエナジック。2008年全国高校野球選手権大会で浦添商をベスト4入りさせた名将・神谷 嘉宗監督がついに私学の監督に就任。全員まだ1年生ながら神谷監督の指導の下、一歩一歩着実に力をつけている。「24時間一緒に過ごすことで、なんでも言い合える仲になった」というチームワークも、試合では大きな力になるだろう。

 もうひとつの注目は久米島・南部商連合。春季大会でベスト8入りし、一躍周囲の注目を集めたことで、「自分たちもやれるんだ」という自信と、芽生えた仲間意識が最後の夏にさらなる力を吹き込むことだろう。その相手は春の準優勝、沖縄尚学と1対3と接戦を演じた読谷。その試合4回途中から2番手で登板し、5.1回を投げ18打者に対し僅か1安打と沖尚打線に堂々と勝負することができた古堅 鈴之輔投手にも注目が集まる。

(文=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.16

【群馬】前橋が0封勝利、東農大二はコールド発進<春季大会>

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.17

「慶應のやり方がいいとかじゃなく、野球界の今までの常識を疑ってかかってほしい」——元慶應高監督・上田誠さん【新連載『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.1】

2024.04.16

【12球団4番打者成績一覧】開幕ダッシュに成功した4番はOPS1.1超のWBC戦士!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.11

【千葉】中央学院は成田と磯辺の勝者と対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード