3年ぶりに春季東京都大会1次予選が行われ、準々決勝からはブラスバンドやチアガールの応援も加わった。今年の春季都大会は、高校野球が日常の姿に戻りつつあることを印象付けた大会になった。とはいえ、コロナにより辞退せざるを得なくなった学校もあり、二松学舎大附のように感染者が出て、辞退寸前になっていた学校もあった。大半の学校が何らかの影響を受け、練習不足の学校も多かった。
エース不在が目立つ大会で光った帝京・高橋の力投

帝京・高橋蒼人
コロナとは直接関係がないかもしれないが、この大会は、背番号1の存在が目立たなかった。4回戦から準々決勝までは中4日から6日あったが、準々決勝で背番号1が先発したのは、帝京の高橋 蒼人投手(2年)と二松学舎大附の布施 東海投手(3年)だけだった。
もちろん今は球数制限もあり、エースが1人で投げ抜く時代ではないものの、柱となる投手が少なかったのは残念だった。その傾向は、特に西東京勢に言える。
今大会で夏のシード権を得るベスト16に残ったのは東東京勢が10校、西東京勢が6校だった。西東京勢6校のうち、東海大菅生は本来のエースである鈴木 泰成投手(3年)はベンチ入りすらしておらず、日大三の矢後 和也投手(3年)も大事をとって登板せず、國學院久我山はもとより継投。日大鶴ヶ丘、駒大高、早稲田実業も背番号1の存在感は薄かった。復活が期待された八王子の星野 翔太投手(3年)は1回戦で、2回途中で降板。投手力の差が、東西東京の差にもなった。
エース失墜の印象が強いこの大会で異彩を放ったのが、帝京のエース・高橋 蒼人だった。高橋は準々決勝でセンバツ4強の國學院久我山を完封。秋に比べ、球威が増し、制球も良くなり、成長を強く印象付けた。