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U-18代表1次候補投手10人を徹底分析!センバツ未出場の有力投手も紹介

2022.04.15

 日本高野連はセンバツ決勝戦後、今年9月のU-18ワールドカップの高校日本代表1次候補メンバー29人を発表した。

 最終的には、春夏の甲子園に出場していない選手も選考対象とし、代表20人が夏の甲子園後に決まる予定だ。今回は1次候補に選ばれた10投手を徹底分析し、さらに未出場組の投手も紹介する。

U-18代表1次候補投手10人を徹底分析!

U-18代表1次候補投手10人を徹底分析!センバツ未出場の有力投手も紹介 | 高校野球ドットコム
榎谷礼央、宮城誇南、越井颯一郎、山田陽翔、米田天翼

 榎谷 礼央投手(3年=山梨学院)は昨秋の関東大会、センバツ大会でも好投を見せた本格派右腕。140キロ前半の速球とカットボールを武器に、ゲームメイクができる。センバツでは思うように球速が伸びていないのが気になったが、投球の基礎ができていけば、楽しみな存在だろう。

 安定感抜群の宮城 誇南投手 (3年=浦和学院)も1次候補に名を連ねている。センバツでは3試合、23.1回を投げ、わずか3失点。甲子園の舞台では直球が本調子ではなかったようだが、それでもアウトローに直球とスライダーを厳しく投げ込んだ。メンタル面、技術面ともに優れ、どの代表監督でも日本代表として選びたいと思わせる。

 越井 颯一郎 投手(3年=木更津総合)はセンバツでも快投を見せた速球派右腕。140キロ前半の速球は伸びがあり、この直球を内外角へ投げ分ける制球力の高さもある。このままいけば、夏には140キロ台中盤から後半も期待できる。

 山田 陽翔 投手(3年=近江)はセンバツで大きく成長した姿を見せた。省エネ投球として130キロ後半〜140キロ前半の速球を内外角に投げ込み、リミッターを外した時の145キロ前後の速球の威力も抜群だった。スライダー、フォーク、ツーシームといった各種の変化球の精度の高さも光った。また打撃も非凡なものがあり、センバツでは持ち味を発揮できなかったが、これからは投打ともあふれるセンスの高さを発揮していきたい。

 米田 天翼 投手(3年=市和歌山)は2年生まで140キロ後半の速球で押すスタイルだったが、センバツでは140キロ中盤の速球にスライダー、ツーシーム、カーブを駆使する総合力の高い投手へ成長していた。花巻東(岩手)戦では直球主体、明秀日立(茨城)戦ではカーブ主体と、相手打線に応じて配球を組み立てるセンスの高さも光った。更に平均球速が高まれば、評価が上がりそうだ。

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U-18代表1次候補投手10人を徹底分析!センバツ未出場の有力投手も紹介 | 高校野球ドットコム
川原嗣貴、前田悠伍、冨田遼弥、香西一希、大野稼頭央

 川原 嗣貴 投手(3年=大阪桐蔭)は今年のセンバツで大きく成長した姿を示した大型右腕だ。140キロ前半の角度と重量感を兼ね備えた直球は、大学生や社会人投手とひけをとらない。フォーク、カットボールも鋭く、自分の強みを発揮している。

 球速には、まだまだ伸びしろを感じさせ、大阪桐蔭から高校日本代表入りした投手と比較しても負けていない。海外の打者にも通用しそうなタイプと言える。夏まで強みを伸ばして行けば、代表入りする可能性が高い。

 前田 悠伍 投手(2年=大阪桐蔭)は、2年生で唯一、1次候補入りを果たした。実力的にも23年までの高校野球をリードする存在だ。すでに代表入りできるだけの能力は十分に持っている。直球は140キロ前後ではあるが、回転数は抜群で空振りを奪える。さらに左投手として必須武器であるチェンジアップも使いこなし、左打者相手にも使える。投球の幅は広く、打者を見ながらの投球もできる。直球と見間違えるようなカットボールも強力で、世界でも通用する投手になりそう。直球のさらなるレベルアップを図り、圧倒的な存在になることを期待したい。

 冨田 遼弥投手(3年=鳴門)はセンバツ初戦で敗れはしたが、全国制覇を果たした大阪桐蔭打線を3失点に抑えたことで、評価が高まっている。140キロ前後の速球を内外角に投げ分け、スライダーなど変化球も器用に使いこなし、ゲームメイクに徹する。OBの河野竜生投手(日本ハム)の高校時代と比較しても負けていない。

 香西 一希 投手(3年=九州国際大付)は、常時120キロ台の投手では日本一の左腕なのではないか。センバツ後も、120キロ前後の左腕を多く見てきたが、香西ほど球が高めに浮かない投手は見たことがない。質の高い直球を内外角に投げ分けた上に緩急も使える。おそらく全力投球すれば、130キロ台の直球は投げられると思う。しかし、打たせないために腕の出どころを見にくくして、質の高い直球をコントロールよく投げることを意識した投球スタイルを追求した、その姿はまさに技巧派左腕のお手本とも言える。

 大野 稼頭央 投手(3年=鹿児島大島)は躍動感のある投球フォームから繰り出す140キロ前後の速球と、鋭く曲がるスライダーや、カーブを使い分ける本格派左腕。センバツでは守備の乱れから大量失点を喫したが、十分に素質の高さは示した。更に場数を踏んで、パワーアップを遂げることができるか注目だ。

センバツ未出場の有力投手も紹介

 センバツの舞台で好投、もしくはポテンシャルの高さを見せた投手陣たちも、夏の甲子園を終えるまで、最終的な評価は大きく変わる可能性はある。

 センバツ未出場組である140キロ後半の速球を投げ込む門別 啓人投手(3年=東海大札幌)の直球の威力は、今年の高校生左腕ではトップクラスだろう。また、多数の球団が注目した森山 暁生投手(3年=阿南光)も全国レベルの左腕。センバツ出場辞退となったが、京都国際森下 瑠大投手(3年)も有力で、今年は左腕投手が豊富で、最終的な代表メンバーは例年より左腕が多めになるかもしれない。

 191センチのサブマリン・松平 快聖投手(3年=市原中央)は、今年の高校生ではあまり見たことがない投球の軌道をしている。韓国は必ずアンダースローを1人入れているのだが、松平は短期決戦では強みになりそうだ。

 夏へ向けて練習時間も確保できて、多くの投手がパワーアップすることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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