大阪桐蔭の全国制覇から分かる複数投手制は必須項目。絶対的なエースだけのチームは優勝不可能か
別所 孝亮、川原 嗣貴、前田 悠伍
トーナメント表
・浦和学院、近江などが属するブロック
・大阪桐蔭、國學院久我山などが属するブロック
・ベスト8以上の組み合わせ
今センバツで圧倒的な優勝を収めた大阪桐蔭。注目したいポイントは投手陣の働きになるが、近年の優勝校を見ると、複数投手制は必須項目といっていい。その根拠を紹介していきたいと思う。
今センバツの大阪桐蔭の登板投手は、
川原 嗣貴投手(3年)
別所 孝亮投手(3年)
前田 悠伍投手(2年)
南 恒誠投手(2年)
の4名だった。
今大会、エース級の活躍を見せた川原は
3月24日 鳴門戦 9回 108球 9奪三振 1失点
3月30日 國學院久我山戦 7回 92球 8奪三振 2失点
3月31日 近江戦 2回 29球 2奪三振 0失点
連投は1回のみ。それでも先発→リリーフで、決勝戦で登板したのは、西谷監督が「川原は昨年の近江戦で決勝打を許してしまい、悔しい思いを一番持っているので投げさせました」と語るように、選手の意気、モチベーションを引き出して投げさせた。連投はどうしても球速は落ちるが、選手のモチベーションを考えながら投手運用するのはありだといえる。
そして2年生世代では屈指の投球を見せた前田悠伍は、次の通り。
3月28日 市立和歌山戦 6回 86球 12奪三振 無失点
3月31日 近江戦 7回 112球 11奪三振 1失点
登板は2試合のみ。さらに中2日と登板ペースとしてはまずまず。
2回戦の広島商戦が不戦勝となったことで、かなり余裕を持って運用できたのが大きいが、この2人を思い通り投げられたのも、攻撃力で圧勝して勝ち上がれたこともあるが、別所と南の存在も大きい。
別所は
3月38日 市立和歌山戦 2回 28球 1奪三振 無失点
3月30日 國學院久我山戦 2回 50球 2奪三振 2失点
南は
3月38日 市立和歌山戦 1回 17球 3奪三振 無失点
内容も良かった。
大阪桐蔭の例から見る全国制覇するための投手運用
歓喜の輪を作る大阪桐蔭ナイン 東京スポーツ/アフロ
大阪桐蔭の例を見ると、
・先発完投型の投手が2枚
・先発完投型投手を休ませる強力なリリーフ型投手1〜2枚
計3人〜4人で運用するには現在の甲子園では望ましいといえる。
実際に21年のセンバツ優勝の東海大相模(神奈川)、準優勝の明豊(大分)も複数投手を採用し、選手権優勝の智辯和歌山も4投手が登板した。
投手陣に目がいきがちだが、リリーフを運用できるためには
・5試合中、1試合は圧倒的な大差で勝利できる攻撃力が必要
ということが分かる。大阪桐蔭は準々決勝以降から3試合連続で2ケタ得点を挙げたが、運用する側からすれば、接戦よりやりやすいのは明白だ。
ただ、こういう試合運びはなかなかできないからこそ、どのチームも複数投手制で勝つために苦労している。改めて22年センバツの大阪桐蔭がどれだけ突出しているのかが分かるが、全国制覇をするには理想として目指さないといけない「チーム像」であることは間違いない。
(文=河嶋 宗一)