Column

大阪桐蔭の全国制覇から分かる複数投手制は必須項目。絶対的なエースだけのチームは優勝不可能か

2022.04.02

大阪桐蔭の全国制覇から分かる複数投手制は必須項目。絶対的なエースだけのチームは優勝不可能か | 高校野球ドットコム
別所 孝亮、川原 嗣貴、前田 悠伍

大阪桐蔭の全国制覇から分かる複数投手制は必須項目。絶対的なエースだけのチームは優勝不可能か | 高校野球ドットコムトーナメント表
浦和学院、近江などが属するブロック
大阪桐蔭、國學院久我山などが属するブロック
ベスト8以上の組み合わせ

 今センバツで圧倒的な優勝を収めた大阪桐蔭。注目したいポイントは投手陣の働きになるが、近年の優勝校を見ると、複数投手制は必須項目といっていい。その根拠を紹介していきたいと思う。

今センバツの大阪桐蔭の登板投手は、

川原 嗣貴投手(3年)
別所 孝亮投手(3年)
前田 悠伍投手(2年)
南 恒誠投手(2年)

の4名だった。

今大会、エース級の活躍を見せた川原は

3月24日 鳴門戦 9回 108球 9奪三振 1失点
3月30日 國學院久我山戦 7回 92球 8奪三振 2失点
3月31日 近江戦 2回 29球 2奪三振 0失点

 連投は1回のみ。それでも先発→リリーフで、決勝戦で登板したのは、西谷監督が「川原は昨年の近江戦で決勝打を許してしまい、悔しい思いを一番持っているので投げさせました」と語るように、選手の意気、モチベーションを引き出して投げさせた。連投はどうしても球速は落ちるが、選手のモチベーションを考えながら投手運用するのはありだといえる。

 そして2年生世代では屈指の投球を見せた前田悠伍は、次の通り。

3月28日 市立和歌山戦 6回 86球 12奪三振 無失点
3月31日 近江戦 7回 112球 11奪三振 1失点

 登板は2試合のみ。さらに中2日と登板ペースとしてはまずまず。

 2回戦の広島商戦が不戦勝となったことで、かなり余裕を持って運用できたのが大きいが、この2人を思い通り投げられたのも、攻撃力で圧勝して勝ち上がれたこともあるが、別所と南の存在も大きい。

別所は

3月38日 市立和歌山戦 2回 28球 1奪三振 無失点
3月30日 國學院久我山戦 2回 50球 2奪三振 2失点

南は

3月38日 市立和歌山戦 1回 17球 3奪三振 無失点

 内容も良かった。

大阪桐蔭の例から見る全国制覇するための投手運用

大阪桐蔭の全国制覇から分かる複数投手制は必須項目。絶対的なエースだけのチームは優勝不可能か | 高校野球ドットコム
歓喜の輪を作る大阪桐蔭ナイン 東京スポーツ/アフロ

 大阪桐蔭の例を見ると、

・先発完投型の投手が2枚
・先発完投型投手を休ませる強力なリリーフ型投手1〜2枚

 計3人〜4人で運用するには現在の甲子園では望ましいといえる。

 実際に21年のセンバツ優勝の東海大相模(神奈川)、準優勝の明豊(大分)も複数投手を採用し、選手権優勝の智辯和歌山も4投手が登板した。

 投手陣に目がいきがちだが、リリーフを運用できるためには

・5試合中、1試合は圧倒的な大差で勝利できる攻撃力が必要

 ということが分かる。大阪桐蔭は準々決勝以降から3試合連続で2ケタ得点を挙げたが、運用する側からすれば、接戦よりやりやすいのは明白だ。

 ただ、こういう試合運びはなかなかできないからこそ、どのチームも複数投手制で勝つために苦労している。改めて22年センバツの大阪桐蔭がどれだけ突出しているのかが分かるが、全国制覇をするには理想として目指さないといけない「チーム像」であることは間違いない。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.25

筑波大新入生に花巻東、國學院栃木、北陸の甲子園組! 進学校からも多数入部!

2024.04.24

【佐賀】敬徳と有田工がNHK杯出場を決める<春季地区大会>

2024.04.24

【福島】田村、日大東北、只見、福島が初戦を突破<春季県大会支部予選>

2024.04.24

【春季四国大会逸材紹介・香川編】高松商に「シン・浅野翔吾」が!尽誠学園は技巧派2年生右腕がチームの命運握る

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!