二松学舎大附のブロックに実力校が揃う!春の東京都大会を徹底展望!
都大会のトーナメント表
・國學院久我山、帝京などが属するブロック
・修徳、関東一などが属するブロック
・日大三、東海大菅生などが属するブロック
・都立狛江、二松学舎大附などが属するブロック
・ベスト8以上の組み合わせ
4月1日から春季都大会が開催される。秋季都大会に出場した64校に、3年ぶりに行われた1次予選を勝ち抜いた48チームが、春の東京王者を決める戦いを繰り広げる。またベスト16に入れば、夏の大会でシードされる。優勝争いと夏の大会のシード校の行方を展望する。
二松学舎大附のブロックに実力校が揃う
布施東海(二松学舎大付)
秋季都大会のベスト16の学校はシードされ、1回戦は免除される。シード校を含めた7チームが1ブロックを形成し、勝ち抜いた16チームが夏の大会のシード校になる。その中で最も厳しい戦いになりそうなのが、二松学舎大附がシードされているブロックだ。
このブロックでは二松学舎大附のほかにも、東亜学園、都立雪谷、日大豊山の4校が、甲子園出場経験がある。共栄学園、実践学園もシード校の常連だ。1次予選から勝ち上がってきた都立雪谷には渡邊顯人、御園拓夢という好投手がおり、日大豊山には東京を代表する好捕手の狩野光晴がいるだけに、東亜学園・都立雪谷、日大豊山・共栄学園の対戦は、1回戦屈指の好カードだ。もちろん実力は、秋の準優勝校でセンバツにも出場した二松学舎大附がリードしているが、センバツ出場校は春季大会で苦戦することが多いだけに、油断はできない。
センバツで大躍進を遂げた國學院久我山は、今大会も優勝候補で、実力的には準々決勝までは無難に勝ち上がりそうだ。しかし準々決勝までは、5日から10日までの6日間で3試合を戦わなければならず、センバツの激戦を終えたばかりのチームには、かなりの負担になる。対戦相手よりも、気持ちの切り替えや、コンディションの調整が重要になる。
秋4強の関東一と日大三も、シード校となる3回戦までは、特に問題ないだろう。関東一がシードされているブロックでは、1回戦で日大桜丘と都立東大和が対戦する。日大桜丘は50年前のセンバツの優勝校で、都立東大和は44年前の春季都大会で準優勝し、元祖都立の星になった学校であり、東京の高校野球の歴史を感じさせるカードだ。
堀越がシードされたブロックにも甲子園経験校が集まった。堀越のほか岩倉、国士舘、都立国立といった伝統校が揃う。1次予選から勝ち上がった岩倉も中心打線に力があるが、小田川雅彦監督率いる堀越と、永田昌弘監督率いる国士舘という、ベテラン監督が率いる両校の争いか。国士舘は、秋は不振であった投手陣がどこまで立ち直ったかが、鍵となる。
秋不振と言えば、秋は本来の投球ができなかった星野翔太を擁する八王子の戦いも注目される。八王子はセンバツ前の練習試合で浦和学院に連勝している。八王子では、星野以外にも、片山悠真、佐野シモンといった大型投手の仕上がりも気になるところだ。初戦は台湾からの留学生・姚柏宇投手を擁する郁文館の対戦が有力。粕谷祐天、宮路空夢という速球投手を擁する東海大高輪台なども同ブロックにいるが、本来の力を発揮すれば、力は八王子が抜き出ている。4回戦で予想される関東一との対戦は好カードだ。
夏の大会にも影響する帝京・創価の一戦
高橋 蒼人(帝京)
春季都大会前半のクライマックスは、勝てば夏のシード校になる3回戦だ。3回戦で最高の大一番になりそうなのが、帝京・創価の一戦だ。秋は準々決勝で國學院久我山に逆転負けしたが、エースの高橋蒼人に小島慎也、渡邉礼らの強打者を擁する帝京は、今大会でも優勝候補。しかし秋はコンディション不良で登板回避した杉江敏希が本来の投球をすれば、創価にも勝機は十分ある。この試合で敗れた方は、夏はノーシードになる。それだけにこの試合は、夏の大会にも影響を及ぼすことになる。
3回戦で予想されるカードとしては、修徳・明大中野の一戦も注目だ。修徳には東京屈指の大砲である佐藤大空がいる。明大中野もひと冬越えて、筋力が大幅にアップ。阿保快人、加藤健太郎といった強打者に、大型投手の中村海斗を擁しており、力対力の対決になりそうだ。
秋は強力打線でベスト16に入った明大中野八王子のブロックには、日大鶴ヶ丘、都立日野といった西東京の強豪が集まった。日野の左腕・松本蓮は、1次予選の8イニングで1人の走者も出していない。その実力は本物か。真価が問われるブロックになる。
この大会、都立校では狛江、日野台、城東、小山台の4校がシードされている。秋は8強に進出した狛江は、初戦で東京成徳大高との対戦が予想される。東京成徳大高の須藤竜童は、秋は関東一を苦しめた好投手。狛江としては、投打にわたりチームを引っ張る山崎 優の出来が鍵を握る。
1年生の夏から主戦投手として登板している林慈央の成長で、秋はベスト16に進出した日野台のブロックには、早稲田実業が入った。秋は2回戦で関東一にコールド負けした早稲田実業であるが、石島光騎、壽田悠毅ら力のある選手がいるだけに、チームをどう立て直すことができたか。早稲田実業は、2回戦で豊南との対戦が予想される。豊南の弓田悦彦監督は、早稲田実業のサブマリン投手として春夏の甲子園で準々決勝に進出。早稲田実業の和泉実監督の2年先輩になる。
小山台は日大二との一騎打ちか。都立城東は初戦での対戦が予想される大森学園との試合が重要になる。
秋はエースを欠いてベスト16に進出した安田学園は、本来のエースの山田怜央らがどこまで復調したか。初戦での対戦が予想される駒大高は超攻撃的チーム。このブロックは、上野学園、都立高島、錦城学園、駿台学園という個性的なチームが揃った。また今大会唯一の連合チームである、都立日本橋・芦花の戦いぶりも注目される。
[page_break:西の両雄・日大三と東海大菅生 準々決勝で再度激突か?]西の両雄・日大三と東海大菅生 準々決勝で再度激突か?
小池 祐吏(東海大菅生)
仮に上位にシードされた学校が順調に勝ち上がれば、準々決勝は國學院久我山・帝京、修徳・関東一、日大三・東海大菅生、狛江・二松学舎大附というカードになる。これは秋の準々決勝と同じ組み合わせだ。シード校もランクごとに抽選に加わっているが、どういうわけか同じ配置になった。もちろん、準々決勝が秋と同じカードになるとは限らない。そうした中で、再戦する可能性が最も高いのは、日大三と東海大菅生の一戦だ。
秋は日大三がサヨナラ勝ちしたが、今大会は、両校とも優勝候補。東海大菅生はエースの鈴木泰成がどこまで投げるか不明だが、大型右腕の日當直喜らも成長。打線は福原聖矢、小池祐吏らタレント揃い。日大三は、秋は準決勝で國學院久我山に屈辱の5回コールド負けを喫したが、例年ひと冬越えるとたくましくなる。注目の捕手・川崎広翔のほか、富塚隼介、浅倉大聖らが並ぶ打線は迫力がある。
今大会は、夏のシードがかかった3回戦から中1日で4回戦になる。各校とも、エースの負担を減らし、夏に向けての新戦力を発掘する意味からも、4回戦は総力戦で臨むはずだ。
優勝候補は秋4強の國學院久我山、二松学舎大附、関東一、日大三に東海大菅生、帝京、八王子といったところか。秋の成績を基にしたランクでは、1回戦免除のシード校、1次予選免除の秋季都大会出場校、1次予選から参加のチームとなる。しかしこの冬もコロナの影響で、練習や練習試合を思うようにできなかったチームが多い。その点では、1次予選から公式戦を経験しているチームが有利な面もある。それがこの大会の波乱要因になっており、1回戦から目が離せない戦いが続きそうだ。
新3年生は入学した時からコロナの影響で、高校野球の日常の姿を経験していない。コロナへはまだ警戒が必要であるが、この大会が、高校野球の日常を取り戻すさらなる1歩になってほしいものだ。
(文=大島 裕史)