Column

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析

2022.01.26

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析 | 高校野球ドットコム
森下瑠大(京都国際)、米田天翼(市立和歌山)、森健人(東洋大姫路)山田陽翔(近江)

 2022年3月18日に開幕する第94回選抜高等学校野球大会の出場校発表が28日に行われる。今回はセンバツ出場決定において、議論になりそうな地区について分析をしていきたい。まずは近畿地区だ。

 近畿は大阪桐蔭(大阪)が昨年秋の明治神宮大会で優勝したことで、枠が増え、7枠となった。準決勝まで進出した4チームがほぼ有力。準々決勝敗退4チームから2チーム選ばれるのが例年の流れだが、今年は3チーム選ばれる。

 対象は京都国際(京都)、東洋大姫路(兵庫)、市立和歌山(和歌山)、近江(滋賀)。この4校から5枠〜7枠を考えていきたい。今回は地域性というのはあまり考えず、あくまで数字面や近畿大会の試合内容から分析する。

京都国際

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析 | 高校野球ドットコム
森下 瑠大(京都国際)

8試合 7勝1敗 60得点22失点

 京都1位の京都国際。昨夏甲子園ベスト4経験者の主力選手がそのままこのチームの主力選手となっている。小牧監督は新チームスタートが9月前になり、さらに緊急事態宣言の影響で練習試合がほぼできずに、公式戦に突入。苦しい試合も多かったが、それでも地力の高さを証明し、府大会優勝。近畿大会では履正社(大阪)戦で、エースの森下 瑠大投手(2年)が完封勝利。準々決勝の和歌山東(和歌山)戦では1点差負けとなったが、9回裏にエースの森下が「一発狙い」。見事、本塁打を打って、1点差ゲームに持ち込んだ。内容面ではベスト8敗退のチームの中では文句なし。

 また、苦しみながら、京都1位を勝ち取ったことについても、小牧監督、選手たちも良かったと考えている。

 森下のほかに145キロ右腕でもある平野 順大内野手(2年)、主将でチームをまとめる辻井 心捕手(2年)、武田 侑大内野手(2年)などポテンシャルが高い選手も多い。スコア、都道府県大会での順位を見ても、5枠目の筆頭となりそう。

[page_break:市立和歌山と東洋大姫路]

市立和歌山

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析 | 高校野球ドットコム
米田 天翼(市立和歌山)

11試合 9勝2敗 58得点21失点

 失点も少なく、準々決勝の天理(奈良)戦まで3失点以内に抑えている。エースの米田 天翼投手(2年)は2年秋の時点で常時140キロ前半の直球と、130キロ超えのカットボール、スライダー、カーブなど多彩な変化球を操り、先輩の小園 健太投手(DeNA)の影響を受けた投手だ。ただ、半田監督は課題は圧倒的に打力と語るように、近畿大会では2試合で合計3得点。他の近畿のチームと比べると、根本的に劣るように感じた。

東洋大姫路

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析 | 高校野球ドットコム
森 健人(東洋大姫路)

9試合 7勝2敗 27得点16失点

 兵庫最後の砦である東洋大姫路がいわゆる「地元枠」以外でも推せる内容といえば、完封勝ちが4試合ある。

 エースの22876投手(2年)は県大会の報徳学園戦でスミ1完封(延長10回)、加古川西戦で13奪三振、近畿大会の智辯学園(奈良)戦でも完封勝利。森は130キロ中盤だが、伸びのある快速球を内外角に投げ分け、翻弄する右投手。とにかく四球を出さない投手で、見ていて守りやすさがある。

 県大会以上の公式戦3試合で完封勝利しているのは強い。打線は市立和歌山同様、相対的に弱い。4番・賀川 新太外野手(2年)はパンチ力のある打者で、智辯学園戦では2安打を放ったものの、打撃が自慢のチームではない。

市和歌山と東洋大姫路はともに好投手を中心とした似たチームで、実力差はほとんどない。両エースは敗れはしたが準々決勝の試合で好投した。米田は天理、森は大阪桐蔭相手に登板した。

米田 8回 142球 9奪三振 3四球 5失点 自責点5
森  8回 128球 3奪三振 2四球 5失点 自責点3

 ともに5失点を喫したが、持ち味はよく出ている。米田は自慢の球威で強打の天理から9奪三振を記録し、森は3奪三振にとどまったが、2四球で、128球。近畿大会通しての防御率は1.59。あくまで主観だが、米田は球威こそ素晴らしく、22年度のドラフト候補として申し分ない投球だったが、若干、テンポが悪いように感じた。ただ、森は大人びているというか、リズムの良さがあった。

 エースを比較した場合でも、ドラフト候補・米田を擁する市立和歌山はポテンシャルが高いように映るが、トータルで見ると、森も負けていない。

東洋大姫路は森の完封勝利数、投手成績が選考にとって大きなアドバンテージになるかもしれない。同じ準々決勝敗退のチームに勝負できる材料である。

[page_break:近江]

近江

激論になりそうな22年選抜大会の近畿5枠〜7枠目!数字面から徹底分析 | 高校野球ドットコム
山田 陽翔(近江)

7試合 5勝2敗 47得点32失点

 神宮枠増加で、準々決勝敗退チームからの選出の可能性が高まったことで近江を推す声が出てきた。

 とにかく失点が多い。夏の甲子園ベスト4の投打の柱として活躍した山田 陽翔投手(2年)が激闘の影響で、右ひじを痛め登板ができず、控え投手が登板する形となった。そうした中でも勝ち上がれたのは主将の津田基内野手(2年)がまとめ、準備期間が短い中でも実力をつけることができたことが大きい。

 山田は打者として大きな存在感を示した。近畿大会では、7打数2安打1打点に終わったが、その前の滋賀大会3位決定戦の立命館守山戦で、満塁本塁打を放ってチームを救っている。とはいえ、ほぼ山田抜きで戦って、近畿大会ベスト8まで勝ち進めたことをどう評価するか。

 3位での近畿大会出場で、しかも数字面ではかなり不利な立場。選考委員の考え方次第といえそうだ。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.18

進学校対決は、「恐るべき9番打者」の活躍で青稜に軍配!【東京春季大会一次予選】

2024.03.18

白鷗大足利 プロ注・昆野に続く第2の投手は現れたのか?【練習試合】

2024.03.18

【センバツ】優勝候補は健大高崎と広陵! 健大高崎は超強力打線&2年生2枚看板、広陵は経験豊富な右腕・高尾に「スーパーエース」の予感!

2024.03.18

復活をかける「元・都立の星」東大和、部員12人でコールド発進!【東京春季大会一次予選】

2024.03.18

青森山田の橋場主将が選手宣誓!選抜開幕100周年、被災地への思いを語る<選手宣誓全文>

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.15

宮崎の中学から東海大相模へ! スーパー中学生・三渡琢真は超実戦派左腕!

2024.03.16

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.03.13

副業で高校野球の仕事に携わりたい人、大募集!営業、企画管理、編集など、あなたの“できる”を高校野球メディアで生かしてみませんか?

2024.03.13

学生インターン募集開始【2024春】 高校野球の編集・取材・撮影・企画運営など興味のあることに挑戦する半年間!月1回の記事添削講座も。

2024.02.25

取材歴13年「私の出会った個性派キャプテン」たち…叱咤激励型、調整型、高校・大学・社会人ですべて日本一の「殿堂入りキャプテン」も!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.8】

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.02.26

ポニーリーグの球春告げる関東大会が開幕! HARTY氏の大熱唱で協会創立50周年が華々しくスタート! 「まさにプロ野球さながら」

2024.02.24

【大学野球卒業生進路一覧】 2023年の大学野球を盛り上げた4年生たちの進路は?

2024.02.21

センバツ出場32校のユニホームを調べてみた! 漢字とローマ字どっちが多い?ワセダ文字は5校も! レッドソックス風も登場!