10月に緊急事態宣言が解除された沖縄県。春と夏の大会ではチーム父母らのみとなる観客制限試合を行っていたが、秋の大会ではようやく一般にも解放。とは言え、スタンドでの声を出しての応援は遠慮してもらうなど、最低限のウイルス対策と息子たちの勇姿を見届けたい父母の想いの両方に応えるべく、東奔西走した県高野連の先生方の努力が大きい一年であった。大会総括の前に、まずは先生たちへ心から感謝を申し上げたい。

具志川商の頑張りと興南、沖縄尚学の強さが光った


 3大ニュースでも取り上げたが、今年一番の吉報が具志川商の21世紀枠選出であった。県勢7年振りの選抜高等学校野球大会出場だけでなく、堂々たる1勝を挙げたことも大きかった。「おらが町から甲子園」のように、地元から聖地を目指そうじゃないかという機運が今後も広がりそうな足跡を残してくれたナインだった。

 一方で、春季県大会で優勝した興南は5試合7失点と鉄壁の守りが光り、夏の選手権沖縄大会で優勝した沖縄尚学は5試合38得点の攻撃力で他校を圧倒。さらに秋季県大会6試合65得点で優勝した興南と、甲子園優勝経験のある私学2強の伝統的な強さと鍛えられた攻守は健在。打倒興南、打倒沖縄尚学を果たせないと上には行けない県立校にとって大きな目標、高い壁という形はこれからも続きそうだ。

日本ウェルネス沖縄が初優勝


 そんな中、私学二強に待ったを掛けたのがこれまた私学の日本ウェルネス沖縄。一年生中央大会準々決勝でぶつかった興南沖縄尚学興南が打撃戦を制し勝利。一年生中央大会では4年連続対戦している沖縄尚学に、2019年から3連勝した勢いで準決勝も快勝した興南は、2019年、2020年に続く大会三連覇を目指していた。それまでの3試合で35得点の興南に対し、初めて決勝進出を果たした日本ウェルネス沖縄も負けじと3試合30得点。さぞかし派手な空中戦になるかと思いきや、興南平山 航多日本ウェルネス沖縄・安里幸大の両先発投手が好投を見せた。7回から継投に入る日本ウェルネス沖縄に対し、興南は平山航多が9回まで投げ切り5安打10奪三振。しかし打線が日本ウェルネス沖縄投手陣を攻略出来ない興南日本ウェルネス沖縄は延長10回表のタイブレークを守り切り、その裏1点を挙げ見事大会初優勝を遂げた。

中部地区勢の活躍が目立つ秋



秋季県大会準優勝の前原

 昨年夏の沖縄夏季大会で準優勝したKBC学園未来沖縄と合わせ、私学4校の強さが目立つようになった沖縄県。しかしセンバツ出場の具志川商や、夏の選手権沖縄大会準優勝の中部商、同大会ベスト4の豊見城知念、秋季県大会準優勝の前原、同大会ベスト4の北山と県立校の頑張りも沖縄の高校野球を語るに外せない。
 ここに秋季県大会の面白いデータがある。2013年の63回大会から今年の71回大会まで、中部の高校がベスト4に最低でも1校入り続けている。

63回 美里工
64回 美里工中部商
65回 嘉手納
66回 美来工科
67回 石川
68回 嘉手納
69回 嘉手納具志川
70回 具志川商与勝
71回 前原

※62回大会のベスト4は、宮古宜野座沖縄尚学興南

 興南沖縄尚学沖縄水産を筆頭に浦添商知念糸満首里那覇などなど那覇地区と南部地区に押され気味だった中部地区。特にここ2年は具志川与勝具志川商が大会初のベスト4入り(具志川商は決勝進出)を果たし学校野球部OBを喜ばせ、今年はさらに古豪前原が49年振りの決勝進出でオールドファンを楽しませた。中部地区の連続記録がどこまで続くのか、中部地区に住む者として個人的に楽しみである。

(記事:當山 雅通