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今年の近畿は神宮Vで復権した大阪桐蔭がリード、岡田監督就任の東洋大姫路も見逃せない

2022.01.04

 夏の甲子園で智辯和歌山が優勝、明治神宮大会で大阪桐蔭が優勝と近畿勢の活躍が目立った2021年の高校野球。今年はどんな1年になるだろうか。秋までの戦いぶりを振り返りながら、2022年の近畿地区を占っていきたい。

大阪桐蔭が一歩リード

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前田悠伍(大阪桐蔭)

 ここ数年と同じように今年も大阪桐蔭が高校野球界をリードするのではないだろうか。この秋は明治神宮大会で初優勝。公式戦無敗で1年を終える可能性を残している。秋に躍進する原動力となったのが1年生左腕の前田 悠伍だ。最速145キロのストレートと多彩な変化球をコーナーに投げ分ける投球術はとても高校1年生とは思えない。

 その一方、明治神宮大会では前田以外の投手が投げている時の失点がやや多いのが気になった。2年生投手の奮起がこれからの課題になりそうだ。

 大阪桐蔭と互角に渡り合える力を持っているのが京都国際。夏の甲子園4強の主力が多く残っており、全国制覇を狙える戦力を整えている。特に注目を集めているのが、エースの左腕の森下 瑠大(2年)。秋の近畿大会では投手として2試合で13回無失点、打撃では8打数4安打1本塁打2打点と投打に渡る活躍を見せた。

 右のエース・平野 順大(2年)がこの1年で安定して結果を残すことができなかったが、ノビのあるストレートには飛躍の可能性を感じさせる。野手にも武田 侑大(2年)や辻井 心(2年)といった実力者がおり、来年は注目の一校になりそうだ。

 来春のセンバツに出場できるかは微妙だが、近江も全国上位クラスの力を持っている。秋は投打の柱である山田 陽翔(2年)が右肘を痛めた影響でマウンドに上がることができない中で近畿大会8強まで勝ち進んだ。近畿大会の2試合で17得点と攻撃力は高く、山田が投手として復活できれば、投打のバランスがとれたチームになるのではないだろうか。

 センバツ出場が絶望的なチームでは智辯和歌山神戸国際大附の戦力が充実している。智辯和歌山塩路 柊季(2年)、武元 一輝(2年)と140キロを超える本格派右腕を擁しており、野手も岡西 佑弥(2年)、渡部 海(2年)といった強打者が残っている。秋は県大会準決勝で敗れたが、夏の甲子園連覇は十分に狙えるだろう。

 神戸国際大附は秋の県大会準々決勝で明石商に敗れるも戦力は全国屈指。本格派左腕の楠本 晴紀(2年)や好守の内野手・山里 宝(2年)などタレントが揃っており、来夏は今年の8強を超える成績が期待できそうだ。

 3年連続のセンバツ出場が確実な天理は投球フォームをスリークォーターに変えて覚醒した南澤 佑音(2年)と勝負強い打撃の光る主将の戸井 零士(2年)が投打の柱としてチームを引っ張る。選手層が厚くなれば、来年も全国でも上位の結果を残せそうだ。

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岡田監督就任の東洋大姫路にも注目

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森健人(東洋大姫路)、岡田 龍生監督

 新体制に注目が集まるのはやはり東洋大姫路だろう。藤田 明彦監督が来年3月末で退任し、4月から一昨年夏の甲子園で履正社を優勝に導いた岡田 龍生監督が就任することが決まっている。今年の東洋大姫路はエースの森 健人(2年)を中心に守り勝つ野球を展開してきたが、履正社で強力打線を作り上げてきた岡田監督はどんなチーム作りをしていくのだろうか。

 昨年の秋は和歌山東が近畿大会で準優勝して、来春の甲子園出場を確実にした。今後、甲子園初出場が期待できるのは京都大会準優勝した塔南だろう。1番投手を務める野原 元気(2年)は龍谷大平安を完封している好投手だ。滋賀では近年、安定して上位に進んでいる綾羽立命館守山にチャンスがある。大阪では秋に4強入りした星翔に期待だ。

 プロ注目の逸材として注目していきたいのが、市立和歌山米田天翼(2年)と京都外大西西村瑠伊斗(2年)。米田は最速148キロの本格派右腕で、小園健太(3年・DeNA1位)にも見劣りしない実力を持つ。西村も投手として最速147キロを記録する一方で、秋の京都大会では5試合で5本塁打と打者としても非凡な才能を発揮した。高校球界を代表する二刀流として注目されていきそうだ。

 ここで紹介した意外にも今年に期待が持てるチームや選手は数多くいる。一冬越えた球児たちの成長が楽しみだ。

(記事:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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