例年、明治神宮大会ではその年の目玉投手やその地区を代表する先発型投手が活躍する傾向にある。
15年 早川 隆久(木更津総合-早大-東北楽天1位)
髙田 萌生(創志学園-巨人6位-東北楽天)
16年 三浦 銀二(福岡大大濠-法政大-横浜DeNA4位)
17年 市川 悠太(明徳義塾-東京ヤクルト3位)
18年 奥川 恭伸(星稜-東京ヤクルト1位)
19年 高橋 宏斗(中京大中京-中日1位)
必ずその世代を代表する投手がいた。今回紹介した投手は一定レベルの速球、変化球の精度を持ち併せ、完成度の高さは世代トップクラスだった。ただ今大会はスコアや能力的なものを見ても絶対的な投手が見当たらないのが現状だ。
とはいえ、まだ高校生。一冬で評価を大きく変える可能性を持っており、ポテンシャルが高い投手はいた。そんな剛腕投手たちを紹介したい。
広陵の2枚看板の進化に期待
まずは広陵の森山 陽一朗だ。この秋から急成長した投手で、最速143キロの速球、縦に鋭く落ちるスライダー、カーブとドロンとした曲がりで勝負する大型右腕だ。フォームを見ても縦回転を使う意識が見られ、今年、明治神宮大会に出場した投手の中では一番、速球投手に化ける要素がある。ただ神宮大会3試合では15.1回を投げて13失点と反省点が残る内容だった。
ストレートが抜けたり、走者を出した時の投球が汲々とした感じになるなど、課題は多い。出場が予想されている来春のセンバツまでそのすべてを克服することはできなくても、馬力もあり、スカウトの目をひく速球投手であることは間違いないので、どう化けるか注目をしていきたい。
そして広陵の松林 幸紀。175センチ78キロと、中背の体型から常時140キロ〜146キロの速球は球威抜群。松林は前チームから期待されていた投手で、角度のある速球を投げる森山と違って松林は平均球速、スピン量の高さで勝負する投手。角度では森山には敵わないので、現在の方向性は間違っていない。投げっぷりの良さを活かせる変化球習得ができれば、強豪大学の争奪戦になるような投手ではないか。