打率6割超えのスラッガーや、高校生屈指の捕手など第103回甲子園を盛り上げる目玉野手6名
田村俊介(愛工大名電)、池田陵真(大阪桐蔭)、高木翔斗(県立岐阜商)
大会展望
【前編】今年の甲子園で全国制覇を狙える10校は?優勝候補筆頭がいない理由と大会予想を徹底展望
【後編】今年の甲子園で全国制覇を狙える10校は?優勝候補筆頭がいない理由と大会予想を徹底展望
8月9日に開幕する第103回全国高等学校野球選手権大会。今回は目玉投手に続いて、目玉野手8名を紹介したい。
まず今大会を代表するスラッガーとして田村 俊介(愛工大名電)を挙げたい。とにかく打撃技術が素晴らしい。構え方に安定感があり、スイング軌道も滑らかで、いろんなコースにも対応ができて、準決勝の中京大中京の畔柳から適時打を放つシーンを振り返っても、難しいボールを打ち返したものだった。左投手としても完成度の高い投球を演じるが、将来性は断然、打者。初めての全国舞台でどんなパフォーマンスを見せるか。
池田 陵真(大阪桐蔭)も実に頼もしい。大阪桐蔭の春夏連続出場は池田なしではなし得なかったと思わせるほど試合内外の貢献度が高い。センバツでは初戦敗退に終わり、チームがバラバラになりかけたが、しっかりとキャプテンとしてチームをまとめ、また打撃の調子が上がらなかった中でも、寮内にある自主練習で、ミートポイントの確認を行った。
大阪大会では準決勝の関大北陽戦では同点本塁打、決勝の興国戦ではサヨナラタイムリーと勝負強さを発揮した。決勝戦のサヨナラタイムリーについて池田は「相手投手(左腕の大江)は、スライダーの割合が多い投手でしたので、それを狙っていきました」と初球を捉えてサヨナラを決めた。大阪大会では、26打数17安打、2本塁打、14打点、打率.654、長打率1.115と恐ろしい成績を収めている。歴代の大阪桐蔭のスラッガーに負けない数字を持っているだろう。そして持ち味は抜群の強肩。シートノックではバックサード、バックホームするたびにどよめく強肩は魅力的。今年の高校生を代表する外野手として評価を高めることを期待したい。
高木 翔斗(県立岐阜商)は高校通算20本塁打の大型捕手。岐阜大会でも3本塁打を放っており、打撃面で成長が見られ、広角に鋭い打球が打てる。スローイングも鋭く、多くの好投手を導くリードセンスも素晴らしい。
高校通算35本塁打のスラッガー・前川 右京(智辯学園)も心身の成長が感じられ、奈良大会では、打率.643をマークした。右投手、左投手問わず、センター方向へ打ち返せる打撃技術の高さは超高校級。期待されるのは、長打や本塁打だが、センバツで果たせなかった全国制覇のためにも「つなぎ」の意識で打席に立つだろう。安打を重ねる中で、前川らしい一発が出ることを期待したい。
群馬大会で3試合連続本塁打を放った皆川 岳飛(前橋育英)は、スカウト期待の左のスラッガー。歴代の前橋育英の左打者と比較しても打球を遠くへ飛ばす技術は高い。スイングの鋭さ、打球の速さが今年のドラフト候補選手と比較してもトップレベル。今年の甲子園で、大きく評価を挙げる可能性を持ったプレイヤーだ。
高校通算63本塁打のスラッガー・松本 龍哉(盛岡大附)も打撃技術、飛距離ともにトップクラスの逸材。甲子園で実績を重ね、評価を上げることができるか。
その他にも全国レベルの野手は非常に多く、ぜひ甲子園で躍動することを期待したい。
(文=河嶋 宗一)