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智辯和歌山、市立和歌山以外にも逸材多数の和歌山県。初戦から激戦必至!

2021.06.27

 7月9日に開幕する第103回全国高等学校野球選手権和歌山大会。出場は39校で、春季大会で4強入りした智辯和歌山、市和歌山、和歌山東近大新宮がシード校となった。4つのゾーンに分かれて準々決勝まで戦い、準決勝は準々決勝で勝利したチームから順次抽選を行う。

 優勝争いは春夏連続の甲子園出場を目指す市和歌山と春の県大会を制した智辯和歌山の一騎打ちが予想される。智辯和歌山はCゾーン、市和歌山はDゾーンに入ったため、直接対決は準決勝以降となる。

注目は層の厚さがある智辯和歌山

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中西 聖輝(智辯和歌山)

 智辯和歌山はエースの中西 聖輝(3年)に安定感があり、今春には自己最速を147キロに更新。左の技巧派・高橋 令(3年)や140キロ台の速球を投げ込む大型右腕・武元 一輝(2年)といった投手も昨年から成長した姿を見せており、選手層に不安はない。打線も高校通算40発超えの徳丸 天晴(3年)や俊足巧打の宮坂 厚希(3年)、強肩強打の捕手・渡部 海(2年)などタレントが揃う。髙嶋 仁名誉監督の孫である高嶋 奨哉(3年)も三塁手のレギュラーに定着し、勝負強い打撃を見せている。

 その智辯和歌山と初戦で対戦するのが箕島だ。中川 虎生(DeNA)を兄に持つエースの中川 大雅(3年)は140キロ超えの速球を投げる左腕として注目を集めている。昨秋は0対13の7回コールド負けと大敗を喫しているが、夏に成長した姿を見せられるか。

 他にCゾーンで有力校に挙げられるのが昨夏の独自大会で準優勝の初芝橋本和歌山南陵だ。初芝橋本は昨夏から中軸を打つ川端 一正(2年)が投手としても台頭。松井 大空との2年生バッテリーで頂点を狙う。

 和歌山南陵は俊足と攻守が光る村田 寛知(3年)や長打力のある緒方 健心(3年)ら能力の高い選手が多い。右横手投げのエース・神之田 奏太(3年)に安定感が増せば、面白い存在となる。


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小園 健太(市立和歌山)

 市立和歌山小園 健太(3年)と松川 虎生(3年)の黄金バッテリーを軸に夏の甲子園を狙う。小園はセンバツを終えてからストレートに磨きをかけ、春季大会では150キロ前後の速球を連発。夏は圧巻のパフォーマンスを発揮してくれるのではないだろうか。他にも右下手投げの伊藤 晃宏(3年)や2年生の米田 天翼宮本 勇淵本 彬仁と力のある投手が揃っており、小園頼みになる心配もない。ポイントゲッターである松川と田中 省吾(3年)の前後の打者が機能すれば、課題の得点力も大きく向上するだろう。

 Dゾーンで対抗馬になりそうなのが、秋、春ともに8強入りしている耐久。エースの冷水 秀輔(3年)は春季大会で141キロをマークした本格派右腕。ロースコアの接戦に持ち込めば、強豪校相手にも勝機が見えてくる。

 田辺工は春に小出 隼海(3年)が智辯和歌山を6回途中まで無安打に抑える好投を見せた。90キロ台のカーブで緩急を上手く使えれば、厄介な存在となる。

 2強に次ぐ戦力を誇るのが、秋2位の和歌山東。1番を打つ佐々木 惇斗(3年)を起点に繋がりのある打線で勝機を見出す。中軸を打つ高橋 竜悟(3年)と上代 真大(3年)の強打にも注目だ。投手陣も右の田代 生成(3年)と左の山田 健吾(2年)の二人が安定しており、失点が計算できる。

 ところが、和歌山東のいるBゾーンはかなりの激戦区となった。特に県立和歌山商熊野は初戦屈指の好カード。和歌山商は制球力の高い左腕の宮田 率生(3年)や一発のある宮田 樹(3年)、俊足が光る吉田 新(3年)など力のある選手を揃えている。対する熊野關矢 舜(3年)が好守の遊撃手としてプロのスカウトからも注目されており、上位を狙える戦力を整えている。

 両校の勝者と2回戦で対戦する秋4位の向陽もシード校と遜色ない実力校だ。エースの田中 輝映(3年)は身長167㎝と小柄だが、最速144キロの速球を投げる本格派右腕。奪三振能力も高く、今大会での活躍にも期待がかかる。

 Aゾーンのシード校は春4強の近大新宮。右横手投げの三田 大知(3年)から左腕の新川 祐貴(3年)への鮮やかな継投策で、接戦をものにする。

 ダークホースとなりそうなのが高野山だ。4番を打つ渡邉 大和(3年)はプロ注目の強打者。甘く入れば、スタンド上段まで運び込む長打力を持っている。選手層の薄さが気がかりだが、個々の実力は申し分ない。ここ数年は夏の大会と相性が悪いが、実力を出し切りたいところ。

 春は初戦敗退に終わったが、日高中津も侮れない存在。このゾーンは実力が拮抗しており、旋風を巻き起こすチームが出てくるかもしれない。

 2強意外にも好チームが多く、大会序盤から接戦が多くなりそうな今夏の和歌山大会。激戦を勝ち抜いて甲子園の切符を掴むのはどのチームだろうか。

(文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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