「敗れる姿が想像出来ない」具志川商を止めるのは?夏の沖縄大会展望【前編】
コロナ禍により、沖縄県は緊急事態宣言が出された。それにより昨年同様部活動も禁止となる。県は6月の20日をメドにし、それ以降は様子を見る考えだ。当初23日から開幕を見込んでいた沖縄県高等学校野球連盟は、開幕日を7月3日へと延期。他の都道府県と違い、夏の大会では一貫して土日開催を続けてきた沖縄県だが今年は平日開催もやむなしとなる。
昨年の夏はシード4校のうち、日本ウェルネス沖縄だけがベスト4。他のシード校に加え、興南、沖縄尚学も早々に姿を消した。練習不足という壁や練習試合にも乏しい中では、いかに強豪校と言えども蓋を開けてみないと分からないのが監督さんたちの本音だろう。それを踏まえながら、今夏の展望を見ていこうと思う。
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・興南、沖縄水産、日本ウェルネス沖縄など強豪揃うブロックを制すのは?沖縄大会展望【後編】
Aブロックの展望
新川 俊介(具志川商)
昨年秋の準優勝時点では、正直なところ力不足感が見られた具志川商だったが秋の九州地区高校野球大会での一勝が彼らを変えた。
熊本東海大星翔との一戦で2点を先制された具志川商。しかしその裏すぐに2点を返し同点とすると、2回と5回にも1点ずつを奪う。投げては2回以降立ち直った新川 俊介が初回の失点のみに抑え見事完投した。それが選抜高等学校野球大会での一勝になり、去った春の九州地区高校野球大会優勝に繋がった。現時点で間違いなく東の横綱であり、当然のごとく優勝候補筆頭である。
具志川商の強みは投打のバランスにも見られる。エース新川 俊介だけでなく、九州で好投を見せた田崎陽誠、山田 極登や伊波 勢加と他の投手陣も実力を発揮した。攻撃では大城 勢武太と新川 俊介、狩俣 伊吹と長打力、勝負強さに秀でる打者がズラリ。それに加え、マークされても誰もが走ってくる機動力と隙が無い。もう一人の監督として、ナインからの信頼が厚い粟国 陸斗主将の存在がさらにチーム組織力を高める。このブロックでは頭一つどころか、二つも三つも抜けている具志川商。長年沖縄の高校野球をみてきたが、敗れる姿が想像出来ないチームは久しぶりだ。
そんな具志川商ストップ一番手として名を挙げそうなのが、秋春四強の与勝と沖縄工。ダークホースは、このブロック一の好カードとなる北谷-知念の勝者。那覇商、嘉手納、美来工科、那覇工、読谷はとにかく良い形で勝利し波に乗れば面白い展開となるだろう。
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大石根 励(美里工)
春四強の美里工がシード。準々決勝の浦添商戦では5回まで2安打も、終盤4イニングで7安打を集め8点を奪った。敗れたものの、準決勝の興南戦でも9回に3安打を集める粘り強さを見せて相手をヒヤヒヤさせた。今夏であと1本が出てくれば、歴代の先輩たちが築いてきた「逆転の美工」として夏の頂点にも立てる。投げては春の好投でエース格となった平良 月が心強い。長い手から繰り出されるサイドからの投球には、興南も僅か2点のみと苦しめられた。
対抗馬は好投手擁する宮古と首里と球陽に、春の大会興南戦と1点差ゲームを演じた具志川、そして中部地区大会で優勝した中部商だろう。二回戦で顔を合わせそうな中部商-首里の戦いで、勢いをつけた方が一気に勝ち上がる可能性も捨てきれない。
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・興南、沖縄水産、日本ウェルネス沖縄など強豪揃うブロックを制すのは?沖縄大会展望【後編】
(文=當山 雅通)