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東海大菅生の独走に待ったをかけるのは?春の都大会を徹底展望!

2021.03.29

 緊急事態宣言の延長の影響で1次予選は中止になったが、4月3日から秋季都大会と同じ64校で、2年ぶりに春季都大会が開催される。1次予選はなく、本大会のみ行われるのは、東日本大震災があった2011年以来のことだ。都立城東明星明大中野日体大荏原聖パウロ学園都立片倉など、秋は1次予選で敗れたチームがどこまで力をつけたか、みることができないのは残念だ。それでも秋季都大会は好投手が多く、接戦も多かっただけに、一冬超えて勢力図がどう変わるか、見どころの多い大会になりそうだ。

早実VS国学院久我山、国士舘VS明大中野八王子など、1回戦から好カード

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左から木暮(小山台)、清宮(早稲田実)、武藤(帝京)、大野(日大二)

 春季都大会の注目は、令和最初の春の東京王者はどこになるか、関東大会に進出する2校はどこか、とともに、夏のシード校になるベスト16はどこかである。2回勝てばベスト16であるが、1回戦から好カードが多く、シード校への道のりは波乱含みだ。

 1回戦の好カードの中でも熱戦が期待されるのは、早稲田実対国学院久我山だ。早稲田実はプロ注目の清宮 福太郎をはじめ、エースの田和 廉、攻守にセンスがある遊撃手の壽田 悠毅ら個々の選手のレベルが高い。国学院久我山は、秋はまさかの大逆転負けを喫したものの、エースの高橋 風太を中心に、早稲田実に十分対抗できる力がある。

 この試合の勝者は東海大高輪台と対戦する可能性が高い。東海大高輪台も秋は2回戦で逆転負けを喫しているが、チーム全体のレベルは高い。秋は球威があるものの、乱調で自滅した粕谷 祐天の成長も注目だ。

 国士舘明大中野八王子も好カードだ。秋はチーム作りが遅れていた国士舘であるが、攻守の中心である清水 武蔵をはじめ、力のある選手は多い。一冬超えた仕上がり具合が気になるところだ。明大中野八王子は横手投げの黒島 拓実と、秋は本調子でなかった本格派の井上 仁が、国士舘打線にどう立ち向かうか。勝者は秋8強の日大二との対戦が有力だ。日大二には東海大菅生を苦しめた左腕の大野 駿介がおり、このブロックのシード校争いはし烈だ。

 秋は2回戦で都立小山台にまさかのコールド負けを喫した帝京は、左腕・浅井 颯斗の粘りの投球で3回戦に進出した日本学園と対戦する。帝京は優勝候補に挙げられるほどの戦力があるが、秋は打ち込まれた植草 翔太安川 幹大ら投手陣の成長と、武藤 闘夢を中心とした打線のレベルがどこまでアップしたか。同じブロックに岩倉もおり、甲子園優勝経験校が2校入っている。

 秋は帝京を破り、日大三を苦しめた都立小山台は、1回戦で世田谷学園と対戦する。都立小山台木暮 瞬哉世田谷学園建守 伯と、横手投げの好投手の投げ合いが期待される。この試合の勝者が2回戦で対戦する可能性がある啓明学園には、小柄な左腕で、秋は桜美林を被安打4の失点1に抑えた巌 琉翔がおり、投手陣が充実したブロックだ。

 都立小山台の木暮とともに都立の双璧である好投手・木下 孔晴を擁する都立日野は、1回戦で立正大立正と対戦する。立正大立正には横手投げの山本 紘正、本格派の西川 拓磨という2人の好投手に、攻守の中心の松岡 拓海らがおり、実力は十分ある。同じブロックの東亜学園は、秋は本調子でなかった投手陣の柱である阿部 太一朗深堀 力斗が本来の投球ができるか?

 都立東大和川島 慶士は、秋は日大鶴ヶ丘に敗れたものの、被安打4、失点1の好投。この春1回戦で対戦する日大豊山には、左腕の玉井 皓一郎をはじめ力のある投手が複数おり、またも投手戦が期待できる。同じブロックには、独特の落ちる球を持つ左腕の安保 優太郎を擁する目白研心もいる。

 秋は1年生(新2年生)の杉江 敏希の好投が光った創価と、9回に逆転サヨナラ負けしたものの、4強の二松学舎大附を土壇場に追い詰めた成立学園の対戦も、好カードだ。

[page_break:元都立雪谷監督、相原健志が助監督就任の郁文館対駒大高]

元都立雪谷監督、相原健志が助監督就任の郁文館対駒大高

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左から甲斐(郁文館)、市川(関東一)星(日大三)、山本(日大鶴ヶ丘)

 近年力をつけている郁文館も注目のチームだ。日本ハムの投手だった田中 幸雄監督に加え、都立雪谷を甲子園に導き、この春日体大荏原の監督を退任した相原 健志が助監督として加わる。左腕の好投手・甲斐 一馬の他、台湾からの留学生が4人おり、旋風を起こす可能性がある。1回戦で対戦する駒大高も力のあるチームだけに、好試合が期待される。勝てば秋4強の二松学舎大附との対戦が有力。どちらが勝っても、2回戦は真価を問われる一戦になる。

 城西大城西には渡邉 寮修徳には床枝 魁斗という力のある投手がおり、この試合も投手戦か? 勝者は攻守に高いレベルにある佼成学園と対戦が有力だ。

 二松学舎大附佼成学園が順当に勝ち上がれば、秋に続いて3回戦での対戦になる。秋は佼成学園のエース・前野 唯人が登板できず一方的な試合となったが、果たして春は?

 投手と捕手の二刀流である松本 哲郎擁する大森学園錦城学園のカードも、昨夏の独自大会の3回戦と同一カード。その時は、3対1で大森学園が勝っている。

 秋4強で、東京屈指の右腕・市川 祐や強打者の初谷 健心らを擁する関東一は、秋は国学院久我山に奇跡の逆転勝利を収めた城北と同じブロックに入った。ともに1回戦に勝てば、秋に続いて2回戦での対戦になる。秋は5対0で関東一が勝ったが、試合の後半は城北のエース・島田 開斗の緩急をつけた投球に苦しめられた。

 秋準優勝の日大三と、2回戦での対戦が予想される堀越との試合も好カードだ。秋は打撃不振の日大三は、冬場は徹底的に打撃強化に取り組んだ。堀越の谷井 翼は、力のある投手だけに、その成果を発揮できるか注目だ。

 2回戦での対戦が予想される日大鶴ヶ丘早大学院は、日大鶴ヶ丘の左腕・山本 輝大と、田村 康介早大学院の中軸打者との対戦が注目される。

 身長190センチの左腕・羽田 慎之介を擁する八王子は、比較的恵まれた組み合わせとなったが、秋は羽田が肘の張りを訴え準々決勝を投げられなかっただけに、いかに羽田の負担を軽くすることができるか。

 センバツ出場の東海大菅生は、選手の層も厚く、戦力的には抜き出ているが、センバツ出場校は、春季都大会の1、2戦で苦戦することが多い。1回戦で対戦する都立八王子北とは戦力的にはかなり差があるが、気持ちの切り替えができないと、苦戦する可能性がある。

 それでも、秋優勝の東海大菅生を筆頭に、日大三関東一二松学舎大附という秋の4強を中心に優勝争いを繰り広げる可能性が高い。そこに帝京早稲田実など力のあるチームがどう食い込んでくるか?

 秋は準決勝と決勝戦以外は1週間に一度しか試合がなかったが、春の1~3回戦は、短い間隔で試合があるだけに、秋のようにエースだけでなく、2番手、3番手の投手など、チームの総合力が問われる。またコロナの自粛期間の影響で、秋は1年生が十分戦力にならなかったチームも多かったが、一冬越し、新2年生となったこの春、どんな選手が現れるのかも楽しみである。こうした選手の活躍によっては、秋とはかなり異なる勢力図になる可能性がある。

 また秋のベスト16は、東東京勢はわずか5校で、西東京勢は11校であった。春のベスト16も同様の感じであれば、シード校制度の意味が損なわれてしまう。東東京勢の奮起も期待したい。

(記事:大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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