沖縄の春を徹底展望!V候補尚学、英雄戻った興南
球春到来!68回目を数える沖縄県高等学校野球春季大会の抽選会が16日、北中城村立公民館にて行われた。
秋の上位校をシードに、各ブロックに振り分けられたそれぞれの展望を述べてみたい。
沖縄尚学ブロック
後間 翔瑚(沖縄尚学)
秋の優勝校沖縄尚学がシードのAブロック。51得点6失点と、ほぼ完璧な試合運びを見せた横綱が、一歩も二歩も他校をリードする。
そこに待ったを掛け、下剋上を狙う中部商と宜野湾が対戦。日本ウェルネス沖縄に敗れた中部商だが、二番手で登板した與古田が3回と1/3イニングを投げ僅か2安打と抑えた。イニングの先頭打者に対し、振り逃げワイルドピッチや四球など、投手陣が克服していたら沖縄尚学打線に対しても臆することなく立ち迎える。
対する宜野湾はコザに惜敗。6回まで湿っていた打線も、7回以降4本の二塁打を含む9安打5得点と潜在能力を見せている。互角の戦いが予想されるが、もしどちらかが波に乗る勝利を手にしたならば、沖縄尚学を食う番狂わせも十分考えられるだろう。
それでも沖縄尚学が勝ち上がった場合の対抗馬はやはり知念か。國吉 翔太・仲里 洸哉の1、2番コンビの攻撃力は他校の脅威。沖縄尚学打線を苦しめた投手陣には自信があるだけに、この冬でクリーンアップをはじめとした打線のパワーアップが成されているならば面白い。
そんな知念でも、八重山、前原、北山、コザ、那覇商と力あるライバルに囲まれており余談を許さないのがAブロックだ。
沖縄水産ブロック
松竹 嬉竜(未来沖縄)
秋準優勝の具志川商が選抜高等学校野球大会への出場を決めたことで、準々決勝で優勝した沖縄尚学と対戦している沖縄水産がシードとなったBブロック。大会屈指の左腕、KBC学園未来沖縄の松竹 嬉竜に対し11安打を浴びせた沖縄水産打線の破壊力は十分。やはりこのブロックでも頭ひとつリードしていると言えるだろう。
そのKBC学園未来沖縄が同じブロックに入った。秋16強入りした球陽の原動力であるエース仲村 周を攻略し、試合巧者嘉手納にも良い戦いで勝利し並みに乗れば、沖縄水産へのリベンジも見えてくる。
神山 寛希、伊波 一星ら投手陣を中心に秋ベスト8進出した石川を筆頭に、一年生中央大会に出場し照屋 英和を中心に経験豊かな選手が揃う小禄。安定したピッチングを見せた上原 紳之祐の沖縄工も、知念と互角の戦いをしただけに侮れない。
そんな中、ダークホースを挙げるとすれば北谷か。攻守で高いレベルを見せる植村 大志を中心とした野球は質が高い。二回戦で顔を合わせる可能性が高い石川と言えども、相当な苦戦が予想されるだろう。
与勝ブロック
大石竜樹(浦添商)
チーム打率.328、同出塁率.420で秋ベスト4進出を果たした与勝がシードのCブロック。照屋 寛成、新垣 央琳、比嘉 優、又吉 和輝と続く上位打線は沖縄尚学や日本ウェルネス沖縄らに比べても遜色ない。
一年生中央大会も4強進出しているナインの自信が、この冬のトレーニングにも一層の励みを生んだ。与勝の歴史に名を刻む夏の頂点をすでに見据えている彼らにとって、この春は通過点なのだ。
その与勝に待ったをかけそうなのが美里工。秋、興南打線に屈辱的な大敗を喫しただけに、相当量の練習を積んできたことが予想される。過去にも春でグンと成長した姿を見せて、夏へ一気に繋げてきた伝統をこの春でも見せることだろう。
八重山農戦でランニングホームランと三塁打を記録するなど、打線を引っ張った大石 竜樹ら伸びしろの多い選手が揃う秋ベスト16の浦添商に、復活を期す糸満、普天間両校の意地にも期待したい。
興南ブロック
山城 京平(興南)
秋3位の興南がシードのDブロック。大会最高投手の一人である山城 京平の存在が圧倒的。それでも優勝に届かなかった2020年の悔しさは、山城 京平自身が一番感じているだろう。
その山城 京平に大きな影響を与えるであろう人物が興南に現れた。2010年甲子園春夏連覇を果たした島袋 洋奨が、コーチとしてグラウンドに降りてきたのだ。
学生野球指導者資格を取った島袋 洋奨からの、経験を聞きながら技術的なことも直にみて聞ける日々は、他校が羨む環境だ。同じサウスポーである山城 京平の更なる成長が見られる春となるだろう。
その打倒興南の筆頭が日本ウェルネス沖縄だ。2020年春は日本ウェルネス沖縄が8-1とコールドで興南に勝利し、話題を読んだ。同年夏も日本ウェルネス沖縄と興南が顔合わせ。川平 真也の活躍で山城京平を崩し6-2で返り討ち。
三度の対戦となった同年秋は、興南が山城 京平の、意地の完封完投で1-0と見事リベンジした。そんな両者にとって互いに避けては通れない存在となっている。この春も対戦することがあれば4大会連続となる。大会ナンバーワンの打線を持つ日本ウェルネス沖縄か。大会最高左腕率いる興南か。
秋、興南を延長で苦しめた豊見城と、秋ベスト8の宮古の対決は一回戦屈指の好カード。豊見城は垣花琉陽、宮古は新里 勇人の両エース投げ合いとなるか!勝ち上がった方が興南への挑戦権を手にする可能性が高い。130キロ後半のストレートを武器とする山内 秀陸が主戦の首里も、虎視眈々と打倒興南を目論む。
(記事:當山 雅通)
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