コロナ禍があっても千葉は戦国千葉だった【2020年総括】
戦国千葉といわれる千葉。各県同様、コロナ禍があった中でも例年通り、戦国千葉が盛り上がった。
夏、秋ともに保護者、野球部員のみによる無観客試合で実施されたが、どんな1年だったのか。
躍進を見せた木更津総合、専大松戸
高い総合力を見せた木更津総合(左)と専大松戸(右)
夏の独自大会で優勝した木更津総合は、大エース・篠木 健太郎(木更津総合)が圧巻の投球を見せ、並み居る強豪校を抑えた。ロースコアを守り切る野球は完成度が高く、投手陣では篠木以外で、142キロ左腕・吉鶴 翔瑛が目立っていたが、この夏で右サイドの川端 光明、左腕・熊谷 尚也も好投も光った。
また秋でも篠木の背中を見てきた大型右腕・島田 舜也は成長を見せ、優勝に貢献。
1年生から公式戦を経験してきた秋元 俊太、山中 海斗の好野手も成長を見せた。この秋には、1年捕手・中西 祐樹など期待の野手も成長を見せている。
準優勝の専大松戸は、3年生全員がベンチ入りし、強打、機動力を絡め、順調に勝ち上がった。当時、2年生ながらベンチ入りした右サイドのエース・深沢 鳳介が成長を見せ、県大会と関東大会で力投を見せ、ベスト4入り。
初のセンバツ出場へ前進した。打線は1年春からレギュラーとして活躍した左の主砲・吉岡 道泰を中心とした各打者の能力は高く、関東大会で強打の健大高崎打線を肌で味わった専大松戸はこの冬でどんな成長を魅せるのか。
夏ベスト4の八千代松蔭は中央学院、千葉黎明から逆転サヨナラ勝ち。主将・永戸 涼世はバットコントロールが非常に高く、安定した遊撃守備もレベルが高く、また他の3年生もここ一番の強打を魅せる意外性を持った選手が多く、見ていて怖さがあった。新チームになっても強さは引き継がれ、突出した実力を持った選手はいないが、ベスト8進出を決めた。この春以降も注目チームとなりそうだ。
夏に躍進を魅せる市立船橋はブロック予選から東葉、東京学館船橋、習志野をコールドで破り、さらに本大会では千葉学芸に大勝。複数投手陣を使い分け、ミート中心の打撃で次々と相手投手を攻略する攻撃は驚異であった。
[page_break:東京学館、千葉学芸、千葉英和の新鋭たち。そして苦しんだ習志野、中央学院 ]東京学館、千葉学芸、千葉英和の新鋭たち。そして苦しんだ習志野、中央学院
存在感を見せた東京学館(左)、千葉学芸(真ん中)、千葉英和(右)
秋では東京学館が躍進を見せた。大会3本塁打を放った大型遊撃手・粟飯原 龍之介、130キロ後半の速球を投げ込む根本 匠、高い守備力とパンチ力ある打撃が光る三塁手・平尾 匠と役者が揃い、成田、専大松戸と目標としていた強豪校を破り、準優勝。初の関東大会出場を決めた。
秋4強の千葉英和は県大会2回戦で中央学院に逆転勝利。その勢いのまま県大会4位まで勝ち上がった。ユニフォームもイエローからスクールカラーのグリーンに一新し、ニュー・千葉英和として躍進を見せた。ベスト8の千葉学芸はドラフト候補・有薗 直輝などタレント揃いのチームで、更に守備も堅く、完成度の高い野球を披露。来年以降も躍進を期待させる内容だった。
前評判が高かった中央学院は夏ではブロック予選決勝で敗退。秋では2回戦で逆転負け。投打の戦力はトップクラスなだけにどこも寄せ付けない実力を身につけることができるか楽しみだ。
そして習志野もこの1年、苦しんだ。夏では市立船橋に敗れ、秋では県立船橋に敗れ、県大会に出場することなく、敗退。どの学校もそうだが、今年は無観客試合により、偵察活動ができなかった。
また、2019年の習志野にあった感性の鋭さが欠けていたこと。さらには投手力についても、強いストレートを投げられ、絶対的なウイニングショットを持った投手がおらず、そこそこの能力を持っていても、怖さがなかった。とはいえ、習志野はもともと選手のレベルが高いチーム。
課題が明確となって、そこに向かって取り組んでいけば、春になれば恐ろしい強さを持ったチームになる予感がある。
来春、無事に開催されているか分からない。ただ戦国千葉がさらに盛り上がり、歴史を紡いでいくには、多くの人々が見られる有観客試合になることが一番。
来年は無事に大会ができるための戦いから始まりそうだ。
(記事:河嶋 宗一)