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昭和の名門・県岐阜商の復権。東海地区の2021年高校野球を占う【岐阜、三重編】

2021.01.05

 東海地区のこの秋の県大会は愛知県、岐阜県、静岡県で前年優勝校が連続優勝を果たした。

 愛知は中京大中京、岐阜は県岐阜商、静岡は藤枝明誠だった。また、三重県は三重が復活した。これらのチームを中心に2021年の東海地区高校野球は展開されてしていくであろう。

 そんな東海地区の2021年を展望してみた(愛知展望は別途掲載)。前編となる今回は岐阜、三重の2021年を展望していきたい。

岐阜:県岐阜商に追随するチームは?

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2年連続で秋季東海大会準優勝を果たした県立岐阜商

 岐阜県では戦前からの実績のある昭和の名門・県岐阜商が、令和の新時代になって改めて安定した存在となってきている。昨秋に続いての県大会制覇でその安定ぶりを示した。前年チームからの経験も豊富な野崎 慎裕君と松野 匠馬君という左と右の両投手に大島 成憧君もいて投手陣の層は厚い。それらを注目の高木 翔斗捕手がリードしていく。

 高木君は主将でもあり打っても4番でチームを引っ張る存在。もっとも、鍛治舎巧監督は、「まだまだ、もっと成長していってもらわないと、頂点は目指せない」と、期待が大きいだけに求めるレベルも高く評価は厳しい。もちろん、高木君はそれに応えていくだけの自覚も能力もあるであろう。

 この秋は、例年とは異なり地区予選がなくいきなり県大会で4つのヤマが決まった岐阜県大会。県岐阜商は厳しい組み合わせだったが土岐商、市岐阜商、麗澤瑞浪と難敵を下しての4強進出。美濃加茂海津明誠などを下してきたライバル中京と準決勝で対戦。県岐阜商が7回に逆転で勝っている。中京は東京都出身の小田康一郎君が引っ張るが、例年に比べてやや小粒なのは否めないところであろうか。

 反対ゾーンでは岐阜第一大垣商が勝ち上がってきた。岐阜第一は投打の軸として阪口 樂君が注目されている。準決勝では大垣商に敗れ県3位で東海大会進出を果たしたが、2回戦では静岡1位の藤枝明誠に競り勝つなどしてベスト4進出を果たしている。福知山成美で何度か甲子園へ導いている田所孝二監督としても、そろそろ岐阜県でも実績を示したいところである。

 大垣商は2年連続で東海地区大会に進出するなどこのところは安定している。その核となっているのが左腕谷口 優輝君と下野 翔矢君のバッテリーだ。この秋のチームは夏の経験のない選手たちばかりの戦いとなったが、後藤 孝太郎主将を中心にチームはまとまっていき一戦ごとに力をつけていったのは有賀竜也監督の地道なチーム作りの成果と言ってもいいであろうか。

 秋のベスト8ということで言えば4回戦で夏季大会を制して、この秋ももちろん実力校だった大垣日大にサヨナラ勝ちした多治見工が来春にはどんなチームになっているのか楽しみだ。また、夏も大垣日大と接戦を演じている岐阜総合学園や曲者の海津明誠も面白い存在になっていきそう。

 他には帝京大可児岐阜聖徳学園美濃加茂といった私学勢に岐阜各務野、進学校ながら夏はベスト4まで進出した大垣北岐阜、実績のある岐阜城北などの戦いぶりも気になるところだ。

[page_break:三重:海星、津田学園、三重などの甲子園常連校はどんな戦いぶりを見せるか]

三重:海星、津田学園、三重などの甲子園常連校はどんな戦いぶりを見せるか

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海星のエース・山崎泰幹

 三重県では沖田展男監督が復帰した三重が夏季大会初戦敗退から立て直した。松阪・牟婁地区を危なげなく勝ち上がり、県大会でもシードの初戦で高田にコールド勝ち。桑名工海星と下して地区予選1位決定戦以来再度対決した松阪商にも3対1と返り討ち。堀田 琉生君、近藤 祐生君という180cmを超える大型右腕と小柄ながら切れのいい左腕尾崎 凌矢君の投手陣に、スケールの大きな遊撃手品川 侑生君がシュアな打撃でチームを引っ張っている。

 松阪商は創立100年を迎えたが、2位校として東海大会進出を果たしたとともに21世紀枠の県推薦校にもなった。高山 公平君と北村 音湧君のバッテリーを中心として守りからリズムを作っていく戦い方だが、彼らは打線でも中軸を任されている。また、北村君は状況によっては投手としてマウンドに登ることもある。

 秋季県大会ベスト4ということで言えば海星が機動力野球を持ち味として面白い存在となりそうだ。森下晃理監督も、「打てなくても何とか点を取っていく野球をしていきたい」という方針だが、東海地区大会では常葉大菊川を下してその成果を示した。

 2018年夏に悲願の初出場を果たして一躍県内でも注目校の一つとなったのが白山だ。この秋もベスト4まで進出したのは立派だ。その原動力となったのは182cmの大型投手町 健大君だ。県大会では伊勢鈴鹿、昨秋の優勝校近大高専などに快勝しての進出となった。

 中勢地区予選第一代表戦では白山に7対1と快勝している津商出口 慶人君がいる。夏季大会でも津田学園に対して好投して自信を得ている。ただ、この秋の県大会では初戦で桑名工に屈した。

 毎年好投手を輩出している津田学園は184cmの窪田 勇成投手がいて、注目度は高い。準々決勝で松阪商には屈したものの力はあるだろう。

 桑員地区の代表決定戦で津田学園桑名工に相次いで敗れて県大会出場を逃したいなべ総合は来春の巻き返しが期待される。四日市工も地区予選代表決定戦を勝ちきれず、春の挽回を狙っている。菰野は、四日市工海星にも大勝して県大会進出したが、初戦で松阪商に屈している。投手育成には定評があるだけに、左腕池田陵真君らの春へ向けての成長を期待したい。

 宇治山田商皇學館伊勢工伊勢の南勢地区勢もどこまで躍進してくるのかも楽しみだ。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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