センバツ選考も難航か 2020年もハイレベルだった近畿地区の2021を占う
群雄割拠の近畿地区 ひと冬超えた姿に期待
2020年の秋季近畿大会を制した智辯学園
新型コロナウイルスの感染状況により今後が読めない部分もあるが、来年も近畿の高校野球ではハイレベルな戦いが見られそうだ。
近畿地区のセンバツ出場枠は6。今秋の近畿大会で4強入りした智辯学園、市立和歌山、京都国際、大阪桐蔭は選出が濃厚だ。残りの2枠は8強の龍谷大平安、智辯和歌山、神戸国際大附、天理で争うことになりそうか。兵庫1位で準々決勝も1点差負けだった神戸国際大附は選ばれる可能性は高いが、残り1校の選考は難航しそうだ。
優勝した智辯学園を奈良大会決勝で倒している天理は準々決勝で大阪桐蔭に7回コールド負け、京都1位の龍谷大平安も智辯学園に3対8と点差をつけられた。智辯和歌山は2点差負けだが、3位校と市立和歌山にこの秋だけで3度敗れているのが評価に響きそうだ。来年1月29日の選考会がどのような結果になるのか注目したい。
続いて府県ごとの勢力図を見ていこう。滋賀県は滋賀学園と近江が近畿大会に出場。両校の直接対決は滋賀学園がサヨナラ勝ちを収めており、力は拮抗している。滋賀学園はエースの阿字 悠真(2年)に注目。最速146キロのパワー型投手で、来年のプロ入りを目指している。野手陣も落合 克己(2年)や20841(1年)など伸びしろのある好素材が揃っており、一冬越えた姿が楽しみだ。
近江は山田 陽翔(1年)が投打の柱として活躍する一方で、左の技巧派・副島 良太(1年)など他の投手の台頭が著しい。新野 翔大(2年)や明石 楓大(2年)など実績のある野手もおり、戦力は非常に充実している。
この2校を追う存在が秋4強の綾羽と比叡山、公立では北大津に力がある。夏の大会後から元阪神の伊藤文隆監督が就任した光泉カトリックにも注目だ。
京都では初の甲子園出場が有力な京都国際に注目。投打の中心となる森下 瑠大、平野 順大など1年生に有力選手が多く、これからさらに強くなりそうな気配がある。
秋の大会を制した龍谷大平安は繋がりのある打線と堅守が武器。柱となる選手が出てくれば、面白い。秋2位の乙訓は近畿大会で好投を見せた北見 隆侑(2年)に注目だ。他にも秋4位の東山やポテンシャルの高い選手が多い京都外大西、京都翔英や立命館宇治なども力がある。北部では秋8強の綾部や好左腕・遠藤 翔海(2年)を擁する京都共栄に注目だ。
大阪は近畿大会準優勝の大阪桐蔭が中心になるだろう。最速150キロ左腕の松浦 慶斗(2年)や最速154キロ右腕の関戸 康介(2年)を中心に投手層が厚い。打線もプロ注目の4番・池田 陵真(2年)や俊足が武器の野間 翔一郎(2年)など相手にとっては脅威となる選手を揃えている。実力を出し切れば、全国制覇も十分に狙えるだろう。
秋は4位に終わった履正社は春までにどこまで戦力を整えてくるだろうか。好投手・高橋怜央(2年)を擁する東海大仰星と旋風を巻き起こした山田は近畿大会の経験を次に繋げていきたい。
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望むは「ハイレベルな戦い」と「有観客での試合開催」
西川侑志(神戸国際大附)
兵庫は神戸国際大附のセンバツ出場が有力だ。右肘の状態に不安があるエースの阪上 翔也(2年)は冬の間にどこまで状態を回復できるだろうか。西川 侑志(2年)は打てる捕手として期待が持てる。
近畿大会初出場を果たした東播磨は機動力が武器、進学校の長田は安定した守りで70年ぶりに近畿大会の切符を掴んだ。惜しくも4位に終わったが、神戸村野工も存在感を示している。
明石商は昨秋から中軸を任されている福本 綺羅(2年)の打棒に期待がかかる。戦力が充実しているのが報徳学園。長身左腕の久野 悠斗(2年)に昨年からレギュラーの南條 碧斗(2年)、下井田 悠人(2年)、湯水 海(2年)と実力のある選手が揃っている。秋に報徳学園を倒したのが神戸弘陵。エースの時澤 健斗(2年)は最速144キロの本格派投手で、来年のドラフト候補にも挙がっている。
奈良は智辯学園と天理が抜けている。近畿王者の智辯学園は1年春から公式戦のマウンドに上がっている西村 王雅(2年)と小畠 一心(2年)が盤石。打線も前川 右京(2年)、山下 陽輔(2年)を中心に強力だ。センバツでは5年ぶりの優勝を目指す。
天理は身長193㎝右腕の達 孝太(2年)が注目を集めている。昨年より球速が伸びており、来年はより進化した姿を見せてくれそうだ。野手も4番の瀨 千皓(2年)や好守が光る遊撃手の杉下 海生(2年)などタレントが揃っている。
奈良大附は右横手投げの二宮 知也(2年)に期待。秋に奈良大附を下して3位になった畝傍は県勢初となる21世紀枠での甲子園出場に期待がかかる。
和歌山は秋の県大会を制した市立和歌山が近畿大会で4強入り。小園 健太(2年)、松川 虎生(2年)のバッテリーを筆頭に貝塚ヤングで全国制覇した時のメンバーが多く、来年は勝負の年となる。
智辯和歌山も十分に力はある。1年春から4番に座る德丸 天晴(2年)はプロ注目の強打者。エースの中西 聖輝(2年)には安定感があり、失点を計算できる。春、夏は市立和歌山にリベンジしたいところだ。
秋2位の和歌山東は2強を倒して、初の甲子園出場を目指す。プロ注目の左腕・中川 大雅(2年)擁する箕島や夏準優勝の初芝橋本、秋4位の桐蔭、和歌山商、日高中津、高野山なども上位を狙う力があり、好ゲームが多く見られそうだ。
来年の近畿はどの府県でもハイレベルな戦いが期待できる。新型コロナウイルスの感染が収まり、有観客で大会が開催されることを願いたい。
(記事:馬場 遼)