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【秋季東京大会準決勝展望】関東一vs東海大菅生の横綱対決と日大三と二松学舎の好左腕対決は激アツ!

2020.11.13

 秋季東京都大会も、準決勝と決勝戦を残すのみとなった。この秋からシード校制度が採用されたこともあり、準決勝は東海大菅生関東一二松学舎大附日大三という、実力も実績も東京の高校球界を代表する文字通りの4強の対決になった。激戦必至の準決勝を展望する。

横綱対決!カギを握る走塁のキーマンは、東海大菅生の福原

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市川 祐(関東一)、福原 聖矢(東海大菅生)

 東海大菅生は左の本田峻也関東一は右の市川祐と、東京を代表する左右の好投手の対決。打線も東海大菅生千田光一郎堀町沖永小池祐吏といった上位打線に加え、下位打線の小山凌暉岩井大和なども当たっている。関東一は4番の井坪陽生の打撃が不安定なのが気になるが、1年生の夏に甲子園を経験している初谷健心を中心に、力はある。

 一発長打で決まる可能性も十分にあるが、両投手の力を考えれば、大量点は望めない。

 そこで物を言うのが、走塁だ。ノーヒットでも点を取る野球を目指す東海大菅生は、このチームになって、積極的な走塁が目立つ。都大会4試合の盗塁は20。そのうち福原聖矢は6盗塁を決めている。市川は右投げだけに、塁に出ると積極的に走ることが予想される。その一方で、左腕の本田の牽制がうまいこともあって、捕手の福原は盗塁を許していない。

 関東一は、盗塁の数は6個と東海大菅生に比べて少ない。しかし選手個々の身体能力は高く、俊足の選手も多い。関東一の足攻は盗塁だけでなく、相手の一瞬のスキを突き、一つ先の塁を狙う走塁にある。特に1番の鎌倉滉太や、3回戦以降2番に定着した立花大地の走塁は見応えがある。

 両チームとも守備は安定しているだけに、一つ先の塁を巡る攻防が、勝敗の行方を左右するのではないか。一瞬たりとも目が離せない一戦になる。

[page_break:二松学舎大附・秋山、日大三・宇山 左腕の好投手の対決]

二松学舎大附・秋山、日大三・宇山 左腕の好投手の対決

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宇山 翼(日大三)、秋山 正雲(二松学舎大付)

 二松学舎大附は1回戦の成立学園戦で、3点リードされて迎えた9回裏に追い上げ、代打・柴田怜英の代打逆転3ランでサヨナラ勝ちして完全に勢いに乗った。

 1回戦で「一度は死んだ」という思いが、市原勝人監督の采配に、思い切りの良さをもたらしている。

 1番・永見恵多、3番・瀬谷大夢、4番・関遼輔ら打線も好調だが、チームの大黒柱はやはり、左腕のエース・秋山正雲だ。4試合30回を投げて奪三振は38。大江竜聖(現巨人)の高校生時代を彷彿させるフォームから、140キロを超える速球に、カーブ、チェンジアップなどを駆使する。ただ準々決勝では172球と、投球数が多いのが気になる。

 一方日大三は、ある程度力の差があった1,2回戦こそ猛打を発揮したものの、3回戦、準々決勝とも7安打と、やや打ちあぐねている。特に4番や5番打者に当たりが出ないのが気になる。

 そうした中で打線のカギとなるのが、1年生の夏から公式戦を経験している1番の星憂芽だ。星はチャンスメークと同時に、好調の下位打線を受けての得点源にもなりうる。

 日大三は猛打のイメージが強いが、このチームでは、投手陣の柱である左腕の宇山翼を中心とした守りが優れている。宇山は制球もよく、大崩れしないので、安心してみてられる。守備も、守備範囲が広く強肩の遊撃手・鎌田慎也をはじめとして、安定している。

 二松学舎大附の秋山の投球数の多さを考えれば、日大三は後半に勝負となるが、二松学舎大附の粘り強さ、勝負強さを考えると、早い回に先制して、逃げ切りたいところだ。

 二松学舎大附は5年前の秋季都大会で、2回戦で早稲田実を破り、3回戦で日大三に快勝している。今回も早稲田実日大三の順で対戦しているが、今回はどうなるか?

 

 舞台を[stadium]神宮球場[/stadium]に移す準決勝から、観客数の上限が5000人から1万人に上がる。この準決勝、決勝が今年の高校野球の最多観客数になることは間違いない。しかも、明治神宮大会が中止になったため、今年の学生野球、最後の公式戦になる。コロナ禍に苦しんだこの1年を締めくくり、来年の希望へとつながる好ゲームを期待したい。

(記事:大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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