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今年の東海大会は中京大中京、県岐阜商、藤枝明誠が中心か?各校、戦力が充実

2020.10.21

 昨年に続いて1位校として出場する学校が3校。昨年もこの大会で優勝を争った愛知の中京大中京、岐阜の県岐阜商と昨秋ベスト4の静岡県の藤枝明誠だ。この3校に三重県1位の三重を軸とした戦いになっていきそうだ。

圧倒的な強さを見せる中京大中京が軸になるか

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畔柳亨丞(中京大中京)

 地元1位の三重に挑むのは大垣商至学館の勝者となるが、愛知県3位の至学館は、戦いながらチーム力を上げていくタイプ。名古屋地区予選から県大会を通じて、徐々にチーム力を充実させてきたが、この大会でも最も波乱を起こしそうな存在だ。

 県大会準決勝では中京大中京に力負けしたが、「確実に力の差は縮まっているという実感はある」と、麻王義之監督は十分な手ごたえを感じている。「どことやっても接戦、終盤までもつれ込んだらこっちのペース」という野球は健在だ。

 夏のチームのような投手の柱がいないだけに、継投となっていくであろうが、例年のように様々なタイプの投手が打者の打ち気を巧みに外していくのが至学館の投手陣の特徴。

 大垣商の打線が、それにどこまで対応していかれるのかというところも見どころになろう。その勝者と戦う三重は、受けて立つと足元を救われかねない。

 三重は、夏の独自大会では初戦で桑名西に敗退と不本意な結果だっただけに、秋季県大会は引き締め直して挑んで1位となった。昨秋の大会後に復帰した沖田展男監督としても、この秋にかける思いは強いであろう。

 昨秋の王者中京大中京は、前年のチームほどの分厚い戦力ではないがこの秋は戦いながら力をつけていき県大会を制したのはさすがだった。県大会を通じて安定感を増していったエース畔柳亨丞君を中心に、しっかりとしたチームとしてまとまってきた。

 圧倒的な強さを示した前チームを受けての新チームは、スタートの秋季大会では名古屋市地区予選では二次トーナメントでは星城に破れるなどで必ずしも絶対的強さではなかった。しかし、「先輩たちが残してくれたいいものを受け継ぎ、自分たちのやれることを、選手個々がそれぞれに見極めながら吸収していってくれた」と、高橋源一郎監督が言うように、試合を重ねていくうちに、チームとしてのまとまりも上がっていった。

 このあたりは、やはり全国屈指の名門校と言っていいであろう。

 こうして、前チームとはまた違った形でつないでいく野球に徹底していかれるチームとして成長していっている。

[page_break:2年連続決勝進出を狙う県立岐阜商も注目]

2年連続決勝進出を狙う県立岐阜商も注目

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野崎慎裕(県岐阜商)

 その中京大中京に挑むのは常葉大菊川海星の勝者ということになる。海星は積極的な機動力野球を導入してきてニュースタイルとなって挑んでくるのでひと波乱起こす可能性は秘めている。常葉大菊川は2008年春の全国制覇時の捕手だった石岡諒哉監督の采配も注目される。

 昨秋、神宮枠でのセンバツ代表を逃した藤枝明誠は、今年こそはすっきりとセンバツの座を掴みたいという思いは強い。前チームに比べると、「完成度としてはまだまだ50%程度ですが、その分伸びしろは多いので楽しみ」と光岡孝監督が言っていたように、試合経験を積んでいきながらチームが作られているという感じである。

 ダイナミックに足を上げて歯切れのいい投球をする左腕小林輝君はリズムに乗ったら、そう簡単には崩されないであろう。打線は川瀬譲二君が軸になるが、進境著しい1年生の青木廉征君を中軸に起用することもありそう。

 この藤枝明誠に挑むのが松阪商岐阜第一の勝者だ。松阪商は県大会では菰野津田学園白山といった難敵を下しての進出だけに、勢いはありそう。

 岐阜第一は3位決定戦で苦しみながらも強豪の中京に競り勝ってきており勝負強い。福知山成美を何度も甲子園に導いている田所孝二監督。そろそろ岐阜県でも、成果を示したいところでもあろう。

 県岐阜商は先の甲子園での交流試合でも実績のある松野匠馬君と野崎慎裕君がおり、投手力は評価が高い。

 また、彼らをリードする高木翔斗君は186㎝90kgと体格にも恵まれており、打っても4番を任されており強肩強打で注目の存在となっている。今大会の本命に推す声もある。また、鍛治舎巧監督も昨秋は惜しくも逃した東海王者の座を獲得へ執念を示す。

 挑むのが愛知県2位の東邦と昨秋の東海大会ベスト4でセンバツの出場権も得た加藤学園だ。加藤学園はこの秋は静岡県3位として出場となるが、1年生ながら甲子園でもそのセンスの良さを披露した遊撃手の太田圭哉君に勝負強い雨宮快成捕手も注目だ。

 昨年のチームに比べてやや不安視されていた投手陣は、大会を通じて石山拓真君、岩間昂生君に1年生の船橋知聖君、吉村海音君らも自信を得てきている。

 鈴木唯斗君を軸に金森有由夢君、柳瀬太陽君らの強烈な破壊力のある東邦打線をどこまで抑えられるかがカギとなる。東邦はエース知崎滉平君がどんな投球を見せるかだ。また、秋季大会を通じて近藤玲矢君も成長しており、層も厚くなってきている。

 いずれにしても、県岐阜商の初戦はこの勝者となるので好試合が期待される。

 最終的には、昨秋の決勝と同じ中京大中京と県岐阜商という顔合わせになることも予想される。そして、それを地元の三重海星松阪商が崩すのか、静岡勢が食い込んでいくのかというところも興味深い。原則としては無観客での開催となるが、質の高い戦いが期待できるだろう。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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