関東一、帝京、早稲田実は激戦必至のブロックに!秋季東京都大会の見所を徹底展望!
10月17日に開幕する秋季都大会の大きな特徴は、この大会から夏の東西東京大会で準々決勝に進出したチームは、シードされることだ。シード校は本来16校となるが、東東京大会8強の都立城東が1次予選で敗れたため、15校がシードされた。
この夏の東西東京大会の優勝チームで、この大会でも優勝候補である帝京と東海大菅生が決勝戦まで対戦しないように組まれたことは、シード校制度の成果であるが、1次予選を勝ち抜いた64校が出場する都大会。1回戦から好カードがあり、強豪が集まる激戦区もあり、序盤から目が離せない展開になりそうだ。シード校を中心に大会を展望する。
清宮擁する早実、1回戦で修徳と対戦
注目の強打者・清宮福太郎(早稲田実)
1回戦屈指の好カードは、注目の強打者・清宮福太郎を擁する早稲田実と修徳の一戦だ。ともに伝統と実績のある強豪校。修徳の床枝魁斗は球威があり、昨秋は8強進出に貢献した。清宮、石郷岡大成ら早稲田実打線との対戦は、見どころ十分だ。
この試合の勝者は、3回戦でシード校の大森学園と対戦する可能性が高い。大森学園はこの夏でベテランの和泉隆監督が勇退し、東海大菅生出身の石黒隼が新監督に就任した。石黒監督が初陣でどう戦うか。投手と捕手の二刀流の松本哲郎が、勝敗のカギを握ることになる。
2回戦で昨夏の東西東京大会の優勝校が激突か?
好投手・市川祐(関東一)
1次予選でノーヒットノーランを達成し、今大会ナンバー1投手の呼び声高い市川祐を擁する関東一は優勝候補であるが、非常に厳しいブロックに入った。
1回戦で対戦する駒大高は、1次予選の2試合とも5回コールドで勝ち上がった。各打者がフルスイングをし、粗さはあるものの、一度勢いに乗ると手が付けられないだけに、関東一としても油断はできない。
勝てば、国学院久我山との対戦が予想される。昨夏の東東京大会優勝の関東一と西東京大会優勝の国学院久我山という、2回戦で当たるのは惜しい、注目カードになる。
国学院久我山はエースの高橋風太を中心に攻守にまとまりがある。関東一も初谷健心を中心とした打力があるだけに、総合力が問われる戦いになりそうだ。
この試合の勝者は、3回戦でシード校の世田谷学園か、1次予選で都立城東を破った都立日野との対戦になりそうだ。
例年好投手がいる世田谷学園は、この秋も、横手投げで変化球にキレがある建守伯がいる。都立日野のエース・木下孔晴は、伸びのある直球を軸に、都立城東相手に被安打5で完封した。どちらと対戦するにしても、好投手同士の対戦になる。
関東一のいるブロックの勝者が準々決勝で対戦するブロックもまた、激戦区だ。
このブロックの軸となるのが、秋季都大会で2連覇している国士舘だ。選手の大半は入れ替わったものの、永田昌弘監督は秋の戦い方を熟知しているだけに、やはり優勝候補となる。しかし2回戦で対戦が予想される八王子は難敵だ。八王子には身長191センチの長身投手・羽田慎之介がおり、国士舘の中心打者・清水武蔵との対戦は注目だ。
国士舘・八王子の勝者が3回戦で対戦するブロックには、日大鶴ヶ丘、東海大高輪台、シード校の実践学園と、私立の強豪が揃う。なお、日大鶴ヶ丘と都立東大和が1回戦で対戦するが、この両校は昨年の夏も1回戦で対戦し、この時は日大鶴ヶ丘が圧勝している。
現在東京にはセンバツ中止に伴う交流試合も含め、甲子園を経験した選手がいるのは、関東一、国学院久我山、国士舘の3校だけだ。この3校に、私立、都立の強豪がひしめき合う、トーナメント表の左下のブロックは非常に重い。
[page_break:3回戦で帝京・日大三の黄金カード実現か!?]3回戦で帝京・日大三の黄金カード実現か!?
帝京・武藤闘夢
今大会のトーナメント表は、左下だけでなく、右下もかなり重い。この夏の東東京大会優勝の帝京は、安川幹大、植草翔太らの投手陣に、武藤闘夢、尾瀬雄大らの攻撃陣といった戦力が充実している。ただ1回戦で対戦する堀越は侮れない。センバツ準優勝の経験がある伝統校も、近年は結果を出せずにいるが、修徳監督として実績を残している小田川雅彦が監督に就任して、力をつけている。谷井翼といった投手陣や三塁手の田倉正翔ら、経験豊富な選手もいる。
帝京は堀越に勝てば、2回戦は2年前の夏に敗れている都立小山台か青山学院の勝者と対戦するが、帝京の優位は動かない。
そして3回戦での対戦が予想されるのが、日大三だ。[stadium]神宮第二球場[/stadium]最後の試合となった昨秋の準々決勝の名勝負は、記憶に新しい。経験値を含めた実力では帝京が上回っているだろう。しかし昨秋は、帝京の中堅手で主将である加田拓哉の2度にわたる魂のダイビングキャッチが勝敗に影響を与えたように、長年のライバルであるこの両校の対戦は、単純に戦力だけで勝敗を予想することはできない。
帝京・日大三の勝者が準々決勝で対戦するブロックは、シード校の創価、日大豊山に、明大中野八王子と東京実の勝者や、近年結果を残している共栄学園あたりが絡んでくる。
日大豊山の左腕・玉井皓一朗は、今大会注目の投手の1人だ。昨秋4強の創価には、好捕手の小松稜平や打撃センスのいい高沢春佑らがいる。
有料観客試合というチャレンジ
エース・本田峻也(東海大菅生)
この夏、西東京大会に続き、帝京との東西決戦も制した東海大菅生は、この秋も、優勝候補の筆頭だ。エースの本田峻也、主力打者の千田光一郎、堀町沖永、スーパー1年生として鳴らした福原聖矢といったこの夏の経験者に加え、亜細亜大に進学した兄・翔暉と同様に強肩の小山凌暉ら新戦力も充実している。
今大会トップシードの東海大菅生は、1、2回戦の相手は、力の差がかなりある。3回戦は錦城学園か桜美林との対戦が有力だが、優位は動かないだろう。
東海大菅生が準々決勝で対戦するブロックは混戦模様。シード校の日大二と対戦する目白研心のエース・安保優太郎には、独特の落ちる球がある。早大学院には田村康介らの好打者がいる。
1次予選の代表決定戦で日体大荏原との守り合いを制した日本学園と、同じく明星との打ち合いを制した立正大立正との対戦も興味深い。この夏4強の東亜学園には、4番の鈴木浩太朗らが残った。東亜学園と日本学園は昨年の秋の2回戦で、[stadium]都営駒沢球場[/stadium]で対戦している。もし両校が1回戦に勝利すれば、2年続けて2回戦で、同じ場所で同カードという、チーム数、使用球場数の多い東京では珍しい対戦になる。
また早稲田実、大森学園がシードされているブロックが、準々決勝で対戦するのは、やはりシード校の佼成学園と二松学舎大附が有力だ。佼成学園は投手陣の柱である前野唯人らが、春先の自粛期間を経ながらも、力を伸ばしてきた。二松学舎大附は投打の軸になる秋山正雲らが注目される。
夏の大会が終わるのが遅かった分、新チームの始動が遅れた。例年のように合宿や遠征ができず、各校ともチーム作りに苦労していた。1次予選から本大会まで1カ月程度空いたため、1次予選からメンバーを変えてくるチームも少なくないはずだ。さらにこれから1カ月の長丁場。コンディションを整え、チーム力を上げていった高校が、栄冠を手にするのではないか。
なおこの大会は、今年になって初の有料観客試合になる。まだコロナの感染が収まらない中、様々な制約もあるが、一般の観客を入れて試合をすること自体、大きなチャレンジである。この大会が無事に終わることは、コロナで奪われた高校野球の日常の姿を取り戻す、貴重な一歩になるはずだ。
この秋は、明治神宮大会も中止になった。したがってこの大会は、今年の学生野球の最後を飾る大会になる。その意味でも来年につながる、非常に重要な大会である。
(記事=大島 裕史)
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