【西東京大会展望】早実vs八王子など1回戦から好カード続出!激戦区・西東京を制するのはどこだ?
試練の年である。センバツに続いて、夏の甲子園大会も中止になった。そのうえ、新型コロナウイルス感染者が圧倒的に多い東京は、休校が続き、練習もままならなかった。それでも関係者の尽力と、加盟校の熱意により、東東京122チーム、西東京121チームが参加して、夏季東西東京都高校野球大会が開催されることになり、7月4日、三鷹市のJ:COMのスタジオで組み合わせ抽選会が行われた。
投球数制限が導入されるなど、新ルールが適用されるほか、試合時間は2時間20分を超えたら新しいイニングに入らない、試合ごとにベンチ入り20人の入れ替えが可能になるなど、本大会の特別ルールもある。
さらに東西のベスト8は、秋季都大会でシードされることも、今年度から初めて適用される。甲子園にこそ、つながらないものの、熱い戦いが予想される東西東京大会を展望する。今回は西東京だ。
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【東東京大会展望】シード校・堀越のブロックが最激戦区に!東東京は今年も熱い!
早実・八王子など1回戦から好カード
八王子・溝口雄大
西東京大会は早稲田実・八王子、佼成学園・国学院久我山というビッグカードが1回戦から登場する。
八王子・早稲田実は2年前の夏の4回戦で対戦し、この時は八王子が勝っている。さらに3年前の夏は早稲田実が勝ち、4年前は八王子が勝ち、5年前は早稲田実が勝つといったように、昨年を除き、夏は4年連続で対戦し2勝2敗と互角の戦いになっている。順番からいえば、早稲田実の勝利となるが、西暦の偶数年は八王子が勝っている。
今回の八王子はエース・溝口雄大を中心にまとまっており、実力はシード校と遜色ない。
早稲田実は秋季大会を辞退したため、この代は、公式戦を経験しないまま夏を迎えた。それでも清宮幸太郎(日本ハム)の弟・福太郎らがおり、実力がある。
1回戦屈指の好カードに勝ったチームは、帝京八王子と八王子実践という八王子対決の勝者と対戦する。帝京八王子は昨夏、八王子に勝っている。また八王子実践には、やや粗削りながら、注目の投手である後藤結人がおり、どちらが勝っても侮れない相手だ。
またこの試合の勝者が4回戦で対戦するブロックには、シード校の明大中野八王子と昭和一学園がいる。明大中野八王子はエースで主将の江口陽太を中心にまとまっており、秋は二松学舎大附に勝っている。昭和一学園は、秋は1次予選で敗れたものの、館慎太郎、風戸佑斗という、2人の好投手がいる。
そのため、明大中野八王子がシードされたブロックは、かなりの激戦区だ。
昨夏優勝の国学院久我山は甲子園に出場した分、新チームの結成が遅れ、秋はチームの形成途上の感じだったが、攻撃力はある。佼成学園は平澤燎らの投手陣が安定。佼成学園の練習場は西永福駅の近くにあり、井の頭線対決は、国学院久我山の攻と佼成学園の守の対決か。
この試合の勝者が4回戦まで勝ち上がった時に対戦するブロックには、都立武蔵野北、錦城などがいる。武蔵野北は、秋は1次予選で敗れたものの、エースの一井日向汰は、1次予選の2試合で奪三振24を記録している。また錦城の甲斐瑞輝は、秋の1次予選で日大三を苦しめた。
日大二・桜美林、監督同士の宿命の対決
杉崎成と森畑侑大
日大三のブロックには、秋季都大会で国士舘を苦しめた都立富士森や昨夏8強の都立豊多摩などがいるが、準々決勝までは問題ないだろう。
折笠利矩が投打で引っ張る秋8強の日大二は、順当なら3回戦で桜美林と対戦する。この両校は秋の2回戦で対戦し、日大二が6対1で快勝している。
桜美林の片桐幸宏監督と日大二の田中吉樹監督は、高校3年生の夏、西東京大会の決勝戦で対戦し、この時は片桐主将率いる桜美林がサヨナラ勝ちし、甲子園で全国制覇を果たしている。
この試合の勝者は、準々決勝で東海大菅生と対戦することが有力だ。東海大菅生は今年も投手陣が充実し、東京ナンバーワンのスラッガー・杉崎成を中心に攻守に高いレベルで整っている。ただ日大二が勝ち上がった場合、両校の対戦は接戦になることが多い。
なお、東海大菅生のブロックでは、都立東大和と都立昭和という、都立の強豪校が1回戦で対戦する。またこの試合の勝者と2回戦での対戦が予想される明学東村山は、打線が強力だ。
秋は森田賢太郎投手の好投と、バントなど小技を織り交ぜた攻撃で東亜学園などを破りベスト16に進出しシード校になった日本学園のブロックは、絶対的な強者がおらず混戦模様。
秋に桜美林とタイブレークになる接戦を繰り広げた都立練馬、日本学園と同じ世田谷区の強豪・世田谷学園、都立の強豪・総合工科、力のある球を投げる大塚優璃のいる啓明学園などが、8強を狙う。
東京屈指の好投手・森畑侑大を擁し、攻守とも充実している創価は、比較的恵まれたブロックに入った。
それでも都立の強豪・片倉と、近年力をつけている聖パウロ学園の対戦は好カード。工学院大附や伝統校の明大明治が8強を巡る争いにどう絡んでくるか。
優勝候補の創価、東海大菅生、日大三は比較的組み合わせに恵まれた感じだが、国士舘は4回戦が大きなポイントになる。
もっとも、チームの情報は秋季大会に依存せざるを得ず、チーム力もメンバー構成も大きく変わっている可能性がある。しかもどのチームも練習が不足しているのは致し方ない。それだけに、戦いながら強くなっていくチームが思わぬ旋風を巻き起こす可能性が例年にも増してある。
注目の東西優勝校対抗戦
昨秋東京を制した国士舘
東西東京大会の優勝校は、対抗戦を行うことになっている。夏の大会では、初の試みだ。もっとも甲子園大会では1977年第59回大会の早稲田実(東東京)4対1桜美林、95年第77回大会の帝京8対3創価、2010年の第92回大会の関東一10対6早稲田実(西東京)の3回あり、早稲田実が東西両方の代表で経験しているが、いずれも東東京が勝っている。
また東京が東西2代表のなったのは、1974年の第56回大会からなので、夏の東京ナンバーワン決定戦は、73年の第55回大会以来となる。この年は木製バット時代、最後の夏であったので、金属バットを使用するようになってからは初となる。
夏の大会では東東京勢が優位であるものの、最近の秋、春の都大会は7大会連続で西東京の学校が優勝している。
東西東京大会の優勝校が対戦する今回は、どういう結果になるか。歴史的な対戦を注目したい。
この夏、甲子園大会は中止になった。甲子園に代わるものはないかもしれない。それでも、苦難のこの年の球児たちの戦いは、きっと語り継がれる。対戦相手は決まった。感染者が増えている不安定な状況ではあるものの、誇りを持って戦ってほしい。
(文=大島 裕史)
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