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夏季愛知県大会展望 抜けて強い中京大中京に対して至学館、享栄、愛工大名電などがどこまで抵抗するか

2020.06.25

 去る5月20日に日本高校野球連盟から、今回のコロナウイルス感染拡大防止のために夏の選手権大会の中止が発表された。それを受けて、一早く県として独自の大会を開催することを発表した愛知県。その後に各都道府県で独自大会の開催案が提示されたが、対応が早かったということもあり、愛知県が先陣を切る形で7月4日から開催されるが、その組み合わせも決まったので、大会展望をしてみた。

私学4強がそれぞれ別々のヤマに

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中京大中京・髙橋宏斗

 移動のリスクも減らしていくということもあって大会はベスト8までは、各地区ブロックでの戦いとなっている。加盟校の多い名古屋地区ブロックは一部知多地区と尾張地区に絡むこととなった。

 知多地区ブロックでは1校がベスト8に残れる可能性があるが、伊加田光君と青柳翔太君という投打の軸がしっかりしている東浦を筆頭に、2回戦で当たる可能性のある日本福祉大附と知多翔洋の勝者にチーム力のある大府あたりが追う。ただ、このブロックにはベスト8決定戦のところで、名古屋地区の昨春のセンバツ王者の東邦中部大一が絡む。この両校は2回戦で当たる可能性が高いのだが、知多勢にとっては、この壁は厚いかもしれない。

 他の名古屋地区では、昨秋の東海王者で、明治神宮大会も制して今季は実力ナンバー1と評判の高い中京大中京と昨秋の県大会2位の愛工大名電。早々とプロ志望を打ち出した上田洸太朗君が注目されている享栄と、いわゆる私学4強がそれぞれ別々のヤマに入ったので、この4校がそのままベスト8に進出する可能性も高い。

 中京大中京は4回戦で栄徳と当りそうだが、ここが最初の壁となるか。このゾーンでは、名市工芸と名市工との対戦が初戦で対戦するが、これは好試合になりそう。名市工の宮崎武幸監督にとっては名市工芸は母校でもあるというのも興味深い。この勝者が中部大春日丘中京大中京への挑戦権をかけて戦いそうだ。

 愛工大名電は4回戦で愛知と名城大附の勝者と当りそうで、ここは注目したい。また、このゾーンには至学館も控えている。初戦が難敵菊華だが、エース渡邉都斗君は昨夏からの経験も豊富。専用グラウンドが完成して2年目、練習メニューも変わり打力は確実に向上している。麻王義之監督も、「今、中京大中京を倒せるとしたらウチが一番手ではないか」と言うくらいにチーム力としては自信を持っている。愛工大名電とベスト8を賭けての戦いとなれば見ものだ。

 享栄のいるゾーンでは大藤敏行監督の教え子でもある鈴木将吾監督の率いる愛産大工が3回戦で挑むことになりそう。その勝者が、尾張地区の大成小牧南あたりとベスト8を競うことになりそうだ。

[page_break:昨夏に甲子園初出場を果たした誉と愛知啓成が対戦]

昨夏に甲子園初出場を果たした誉と愛知啓成が対戦

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岡崎工の好左腕・柵木和陽

 尾張地区では、初戦で昨夏に初出場を果たしたと実力校の愛知啓成という好カードが決まった。この勝者がベスト8まで勝ち上がりそうだが、4回戦では愛知黎明が待ち受けることになるか。その勝者に誠信が挑むことになりそうだ。

 東三河ブロックは1校だが、昨秋県3位で東海大会にも進出した豊川とベスト4の豊橋中央が4回戦で当たりそうだが、この勝者が昨夏の県準優勝校桜丘と当る可能性が高い。ここへ、初戦で豊橋中央と当たる進学校の時習館豊橋商、伝統校の成章国府あたりの公立勢がどこまで食い下がれるかだ。初戦の組み合わせとしては豊橋西小坂井成章蒲郡なども面白そうだ。

 2校の枠がある西三河ブロックは混戦だ。初戦の顔合わせとしても西尾東西尾、岡崎工と岡崎学園刈谷北豊田大谷豊田西と科技豊田など好カードが多い。力としては一昨年の東愛知代表校の愛産大三河がややリードかと思われるが、昨秋の県選抜代表メンバーにも選出された好左腕投手・柵木和陽君のいる岡崎工や毎年夏にチーム力を上げてくる西尾東などが4回戦までに当たる。昨秋の全三河大会でベスト4に食い込んだ安城もこのゾーンにいる。自粛期間中にも選手たちの意識を維持させ続けることに余念のなかった豊野の戦いぶりも楽しみだ。3回戦で刈谷と当れば面白い。

 昨夏のベスト8に残った安城東も今年の夏の戦いがどうなるか注目したい。このゾーンは杜若豊田西豊田大谷などもいるがまったく混戦。どこがベスト8に残っても不思議ではない。

 ベスト8以降は再抽選ということになるが、総合力としては中京大中京が抜けていることは否めない。エース高橋宏斗君と心境著しい左腕の松島元希君の両輪は安定している。打線も印出太一君と中山礼都君、西村友哉君ら確実性の高い打線で層は圧倒的に厚い。

 対抗馬として挙げられるとしたら至学館で、5回戦の相手と予想されるのが昨秋の準優勝校愛工大名電との戦いで真価が問われる。さらには、チーム力としては享栄豊川あたりが続いていきそうだ。新体制となった東邦の戦いぶりも見逃せない。それらに、西三河ブロックからの2校がどう挑んでいくのかということになるだろう。

(文=手束仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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