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【秋季東京都大会】立て直しを見せた国士舘、都立の健闘、底力見せた帝京 様々な色を見せた東京の秋

2019.12.07

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台風19号の被害を受ける中での開幕

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優勝し歓喜の国士舘

 10月12日に開幕予定であった秋季都大会は、台風19号の影響で2日間中止となり、14日の開幕になった。この台風の影響で、河川敷で練習していた日体大荏原東京実錦城学園などのグラウンドは水没。都立小山台大森学園がひと月に数回利用していた多摩川緑地広場硬式野球場(旧巨人軍多摩川グラウンド)が使えなくなるなど、本大会の出場チームの中にも、被害を受けた学校があった。

 それ以外にも大会の前半は悪天候により、大会本部も5回の日程変更を余儀なくされた。秋季都大会は、準決勝、決勝を除けば、1週間間隔で試合が行われることになっていた。しかしこの時期は、学校によっては中間テストなども行われているという事情もあり、序盤から2日連続で試合をするチームがあった。

 天候不順の中、曇り空の中で行われた明大中野八王子二松学舎大附の試合は、午後3時過ぎには暗くなり、ナイターに。二松学舎大附は照明が目に入り、外野手が打球を見失っての落球が致命傷になり、初戦で敗れた。

大会中にチームを立て直した国士舘の優勝

 優勝した国士舘も、2回戦、3回戦は2日連続の試合となり、内容的にも悪かった。準々決勝も本来の出来ではなかった。しかし準決勝では大幅なコンバートを断行。打順も入れ替えてチームを立て直した。

 中学生の時は外野手や捕手で、高校に入ってから投手になった、エースの中西健登が準決勝、決勝とも2安打の完封という圧巻の投球をしたこともあり、2年連続で優勝を果たした。

 昨年の優勝の立役者で、中心的な役割を期待された主将の鎌田州真黒澤孟朗が十分に力を発揮できなくても、清水武蔵や齋藤光瑠らが活躍した。コンバートに対応する能力の高さや、選手の層の厚さ、秋季大会の戦い方を熟知したベテラン・永田昌弘監督の采配も光った。

 しかし明治神宮野球大会は、2年連続で初戦敗退。東京は決勝戦が一番遅く、コンディションや気持ちの切り替えが難しいのは確か。けれどもこれは、東京の球場事情を考えれば仕方がないこと。簡単ではないことは分かるが、乗り越えていくしかない。

[page_break:激戦区を勝ち抜いた帝京の底力]

激戦区を勝ち抜いた帝京の底力

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準優勝の帝京

 シード校制度のない秋季都大会では、序盤から強豪同士が対戦することが毎年のようにあるが、今大会では、帝京関東一日大三東海大菅生という優勝候補が同じブロックに入った。

 まず帝京関東一日大三東海大菅生が3回戦で対戦。帝京小松涼馬の6打点の活躍で関東一に打ち勝ち、日大三は終盤に打線が爆発。児玉悠紀柳舘憲吾の投手リレーで逃げ切った。

 [stadium]神宮第二球場[/stadium]最後の試合となった帝京日大三の一戦では、中堅手で主将の加田拓哉が2度にわたるダイブしての好捕でチームを救い、柳沼勇輝の好リリーフに、武者倫太郎の初球スクイズで勝ち越し準決勝進出を決めた。

 準決勝では初スタメンの尾瀬雄大のサヨナラ打で創価に競り勝った。ベテラン・前田三夫監督の勝負手が的中しての8年ぶりの決勝進出であった。

 決勝戦は力を出し切れず、国士舘に完敗した。決勝戦だけをみればセンバツは厳しいかもしれないが、決勝戦までの戦い全体を評価してほしいと思う。

 激戦区で敗れた関東一には重政拓夢初谷健心といった好打者がいるし、東海大菅生は主将の玉置真虎を中心に攻守に高いレベルでまとまっている。帝京と名勝負を繰り広げた日大三も含め、本来なら上位に入り、センバツの出場争いに加わる力はあったと思う。

都立の難関校の健闘

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城東のエース・林平太郎

 それでも4強に入った創価都立城東も力は持っていた。創価のエース、右腕の森畑侑大は、今大会を代表する好投手だ。1番打者としてチームの得点を導き出した島本康平、好守の遊撃手・谷藤大二郎など選手個々のレベルも高かった。

 都立城東のエース、左腕の林平太郎は、球威があるわけでもなく、相手チームの監督が、なぜ打てないのか、不思議に思うような投手であったが、クロスして入る変化球に打ちにくさがあった。

 今大会は飛び抜けた選手はいなかったが、今後の成長が楽しみな選手は多かった。日大二を8強に導いた折笠利矩は投打に魅力のある二刀流。東海大菅生の左腕である新倉寛之広瀬楽人日大三戦で好投した角田匠安田学園)、球持ちがよく、見た目以上に球威がある石川隆二(錦城学園)、二松学舎大附戦での魂の入った投球が光った江口陽太明大中野八王子)などは印象に残る好投手だった。

 初戦で敗れたものの後藤結人八王子実践)の球威は魅力があったし、宮下大地(日体大荏原)も好投手であった。

 また都立国立岩倉を破り、都立青山安田学園に善戦した。2年連続東東京大会で準優勝した実績からは物足りないかもしれないが、都立小山台日大二と好試合を繰り広げるなど、都立の難関校の健闘は、ほかの都立勢にも勇気を与えるものだった。

 1次予選で敗れた学校の中にも館慎太郎昭和一学園)のような好投手もいる。それに秋は出場辞退した早稲田実の存在もある。試練はあるかもしれないが、この冬、たくましく成長し、春以降の活躍を期待したい。

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記事=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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