【U-15アジアチャレンジマッチ総括】ほとんどが強豪校内定のU-15代表。「未来の甲子園のスター」は何人出るか?!
侍ジャパンU-15日本代表の優勝で幕を閉じたU-15アジアチャレンジマッチ。日本代表は3試合連続でのコールド勝ちを収めるなど、圧倒的な力を見せて優勝を勝ち取った。今回はそんな日本代表の選手たちの活躍を、打者と投手に分けて総括していく。ちなみに代表選手のほとんどが強豪校の進学が内定しているだけに、ぜひ来春以降のガイドブックとして、見返していただければ幸いだ。
前評判通りの活躍を見せた海老根と福原
松山市代表戦で本塁打を放った海老根優大(京葉ボーイズ)
今大会で目立ったのは、日本代表の打撃力の高さであった。3試合で35得点を挙げた日本代表だが、能力の高い選手はやはり多かった。
中でも特に高いパフォーマンスを見せたのは、大会前から評判の高かった海老根優大(京葉ボーイズ)だ。初戦の松山市代表戦で5対2と3点リードした場面で打席を迎えた海老根は、ノーボールツーストライクからの3球目をフルスイングし、打球はレフトスタンド中段へ一直線。もはや高校生も顔負けの打球で、守備でも俊足を活かして好捕を連発した。前評判の高さはダテではなかったことを国際舞台でしっかりと証明した。
また2年連続のU-15日本代表入りを果たし、全試合で1番打者を務めた福原聖矢(安仁屋ヤングスピリッツ)も大きな存在感を見せた。11打数5安打と記録もしっかりと残しただけでなく、右方向に打つ、カットする、長打を狙うといった「意思のある打撃」が感じられ、また守備でも本職では無いセカンドを華麗にこなした。高校では本職である捕手としての活躍に意欲を見せており、進学先での起用法にも注目だ。
2年連続でU-15日本代表に選ばれた福原聖矢(安仁屋ヤングスピリッツ)
岡西佑弥、酒井優夢(ゆうむ)の橿原ボーイズコンビは、岡西が主将としてチームを引っ張り、酒井も9打数6安打7打点の成績を残して堂々の最優秀選手賞を獲得。橿原ボーイズの監督であり、日本代表ではコーチを務めた古谷武士コーチも「予想以上に活躍してくれて、非常に感心しています」と話すなど、橿原ボーイズにとっても充実の代表戦となった。
全試合で3番打者を務めた井坪陽生(八王子シニア)は、今大会は9打数1安打と決して納得の出来る成績は残せずに、大会後には「力んでしまいました」悔しさを口にした。それでも端々で見せる強いスイングや、投手としても130キロ台を記録する身体能力は特筆すべきものがあり、高校野球での活躍を期待させる「大器の片鱗」は見せた。
その他にも、荒々しくも強いパンチ力で打てる捕手の可能性を示した渡部海(住吉ボーイズ)や、好守で躍動感溢れるプレーが持ち味の八谷晟歩(佐賀フィールドナイン)、いぶし銀の活躍を見せた大勝朱恩(浦和シニア)など、日本代表に相応しい楽しみな選手が多く目に付いた。
国際舞台でも動じなかった仲宗根と田上
松山市代表戦で好リリーフを見せた仲宗根大斗(安仁屋ヤングスピリッツ)
投手陣では、まず初戦の松山市代表戦でチームの窮地を救う好リリーフを見せた仲宗根大斗(安仁屋ヤングスピリッツ)の名前を挙げたい。最速133キロを記録したストレートには伸びがあり、松山市代表戦は緊急登板であったにも関わらず2回と3分の1を投げて、無安打無失点4奪三振を奪う好投。3日目のチャイニーズ・タイペイ戦でも1イニングを完璧に抑え、最も目立った投手だったのではないだろうか。
また優勝の懸かったチャイニーズ・タイペイ戦で先発マウンドを託された田上遼平は、プレッシャーをもろともしない強靭なメンタルを発揮して見事スターターの役割を果たした。ジャイアンツカップの際もピンチの場面でも顔色一つ変えない姿が印象的で、田上自身も「ピンチの場面でのピッチングが持ち味」と自信を持っている。田上の役割が、日本代表に良い流れを呼び込んだと言っていい。
世代ナンバーワン左腕の呼び声もある西田稀士郎(佐賀フィールドナイン)
一部の高校野球関係者の間で「世代ナンバーワン左腕」の呼び声もあった佐賀フィールドナインの西田稀士郎は、球速が120キロ台中盤に止まるなど万全のコンディションとは言えない中での投球であった。観戦した佐賀フィールドナインの若林暁生監督によれば、今は身長がかなり伸びている時期で、急な体の成長からフォームのバランスを崩してるとのこと。本来はしなやかなフォームから、130キロ台中盤の伸びのあるストレートも投げ込める投手なので、まずは焦らずにしっかりと体を作って欲しい。
その他にも、184センチ87キロの巨躯から力強いストレートを投げ込むマーガード真偉輝(宜野湾ポニーズ)や、130キロ前後の直球を四隅に突く制球力を持った尾崎悠斗(糸島ボーイズ)、今大会は不調もジャイアンツカップでは130キロ台後半のストレートを連発した前田尚哉(東練馬シニア)など、投手にも将来性豊かな素材が多く見られた。
前回大会では、山村崇嘉(東海大相模)や度会隆輝(横浜)、仲三河優太(大阪桐蔭)などが出場しており、U-15チャレンジマッチはこれまで世代を代表するような選手を多く輩出してきた大会だ。今大会に出場した選手の中からも、高校野球界を盛り上げる選手が現れることを期待したい。
(記事=栗崎 祐太朗)