高橋宏、下ら令和最初の神宮大会で輝いた好投手たち【明治神宮大会】
第50回記念明治神宮大会は中京大中京が優勝を決めた。今大会で飛躍した投手は誰か?そんな投手たちをまとめて紹介していきたい。
明治神宮大会
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存在感を示した4人の好投手たち
高橋宏斗(中京大中京)
まず大会で一番評価の投手といえば、高橋宏斗(中京大中京)だろう。
足を上げた時、三塁方向を見ながらバランスを整えて投げる姿は千賀滉大(ソフトバンク)を模倣し、横回転のフォームから繰り出す140キロ後半の速球、130キロ前半のカットボール、落ちる130キロ台のツーシームを投げ分け、合計3試合で、15回を投げ、16奪三振、防御率1.80の好投を見せ、優勝に貢献。今大会の活躍で、一躍世代を代表する投手と認識づけた。タイプ的に有原航平にように高速系変化球を習得しながら、打たせて取るタイプの剛速球投手に育つ可能性を持っている。
高橋に次ぐ好投を見せたのが下 慎之介(健大高崎)だろう。3試合で防御率0.90の好投を見せた。182センチの長身から繰り出す130キロ後半の速球、キレのあるスライダー、チェンジアップ、カーブを低めに集めるピッチングは完成度が高い。何よりピンチの場面でも粘り強さが印象に残った。このまま平均球速が高めれば、ドラフト候補に挙がっていく素材の良さがあった。
3人目は片山 楽生(白樺学園)も面白いだろう。縦回転を意識した投球フォームから投げ込む130キロ後半の速球、120キロ後半のカットボールの精度は非常に高かった。調子が悪かった全道大会と比べればしっかりと立て直しを見せてくれた。
4人目は松島元希(中京大中京)。164センチと小柄ながら躍動感あふれる投球フォームから繰り出す最速143キロのストレートと縦に鋭く落ちるカットボールは魅力があった。また不用意に真ん中に集まり打ち込まれるところはあるが、内容自体は良かった。
若杉晟汰(明豊)
1回戦で敗れたが、倉敷商の福家悠太は分厚い太ももをいかした躍動感あふれる投球フォームから投げ込む直球は130キロ中盤でも勢いがあり、スライダー、チェンジアップも精度も悪くなかった。また技巧派左腕・永野司もスライダー、チェンジアップを駆使しながら淡々と打者を抑える投球が目についた。さらに体ができて、常時130キロ後半まで速くなれば、もっと評価される左腕となるだろう。
ただ今大会は前評判と比べると、思うように力を発揮できなかった投手が多かった。天理の長身右腕・達 孝太(1年)は[stadium]神宮球場[/stadium]の硬いマウンドに苦しみ、130キロ前半にとどまった。それでもまとめてしまうピッチングセンスはさすがだが、来春まで出力を高めて、世代を代表する右腕にふさわしいピッチングを見せていきたい。長身右腕・橋本拳汰(健大高崎)も130キロ中盤にとどまり、140キロを超える速球が見られなかった。
九州大会は不調で苦しんだ若杉晟汰も、要所で130キロ後半の速球が決まったりと、好投手らしいピッチングは見せてくれた。追い込んでからのウイニングショット、制球力など、投球術の細かな部分で課題が見られる。優位にピッチングを組み立てられる投球術を習得できるかがカギとなりそうだ。
明徳義塾は130キロ前半の速球を投げ込んで大型左腕・代木大和、躍動感溢れる投球フォームから130キロ台の速球を投げ込んだ畑中 仁太も粗削りだが、素材は素晴らしいものがある。
今大会は大型投手・高橋の活躍があったものの、140キロを超えた投手はほとんどおらず、ブレイクは翌年に持ち越しという印象を持たせた大会となった。明治神宮大会に出場した投手は来春、成長を見せることができるか、注目をしていきたい。
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記事=河嶋 宗一