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広陵が一歩リードする状況 中国大会への出場権3枠を掴むのはどこだ?【秋季広島県大会 展望】

2019.09.19

 令和最初の夏は広島商業が広島代表として出場し、これで、大正、昭和、平成、令和と四元号全てで甲子園に出場経験のある高校となった。初戦で岡山県代表の岡山学芸館にあと一歩のところで逆転を許し、四元号目の勝利とはならなかったが、小技に足技連打に堅守と伝統的でありながらも、近代野球にフィットする形を見せたことは特筆に値する。

 だが9月14日から開幕した、44チームによる秋季広島県大会で広島商は2回戦で広島新庄の前に敗れ去った。春に満開の桜を見るために頂点を目指す戦いは既に波乱が巻き起こっているが、この秋を勝ち抜くチームはどのなのか。

優勝候補の筆頭格・広陵を追うチームとは

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広陵の注目スラッガー・宗山塁

 今年は鳥取県で開催される中国大会、そこに出場できるのはこの中で三校だけだ。優勝候補の筆頭として挙げられるのはやはり広島広陵だ。春のセンバツで優勝を二回経験している中井哲之監督は去年こそ県大会は準決勝で広島商業に敗れ涙を呑んだものの、破壊力抜群の打線は夏を終えても健在だ。

 注目は、夏の大会、一年生ながらベンチ入りし代打の切り札としての活躍を見せた三木太陽(一年)。左打席から豪快な長打を飛ばす一年生の主砲はこの秋どこまで成長していくか楽しみな逸材だ。ほかにも選抜の土を踏んだ二年生の宗山塁、クリーンアップを張った経験のある渡部聖弥もいる。長打単打を小刻みに打ち込み、県大会制覇まで一気に駆け上がりたいところだ。

 それを追う次点には広島商業だったが、2回戦で敗退。その広島商業を破ったのは、北部地区の雄である広島新庄だ。夏は尾道商業に敗れ、ベスト8に終わったが、長らく北部地区が一度も甲子園に出場できなかったジンクスを破ったのは実に印象深い。選手の育成能力に長け、投手を中心とした守りを土台としてチームの安定感を強める名将迫田守昭監督の指揮にも注目が集まる。

 一年生二年生の若いメンバーを使う粘り強さもさることながら、常にチーム力の向上、育成を続ける手腕には脱帽せざるを得ない。そんな広島新庄は今年も夏を経験した選手たちが豊富に残っている。二年生に秋田駿樹、一年生に秋山恭平と夏を経験した両投手がおり、投手力は上々。レギュラーナンバーを付けた選手も複数名おり、中国大会までの道のりに一手付けた情勢になっている。

[page_break:市立呉など、大会を通じて急浮上するチームは現れるのか?]

市立呉など、大会を通じて急浮上するチームは現れるのか?

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市立呉ナイン

 去年、今年と二年連続で甲子園の土を踏んだ市立呉は、堅守が持ち味。去年は初戦で開幕試合に登場し苦渋をなめたが、安芸大会での戦いぶりは玄人のそれである。
 今年も選抜出場に向けてしっかりとしたチーム作りを進め、三年連続の選抜出場に向けて準備は万全だ。私立校として、県内の高校野球界ではしっかりとした足場を固めている山陽は伝統の強打が健在。同じく強豪校としてのプライドを胸に勝利を目指す。

 公立校のダークホースとしては、高陽東の二校も目が離せない。高陽東は今年の夏、如水館を破って、堂々の四回戦進出を決めた。四回戦でこそ広島新庄と打撃戦の末10対12という結果で敗れたが、集中打で試合を決める力がある。

 は投手を中心とした守りを重視したオーソドックスなスタイル。打線にも繋がりがあり、つなげて取った一点を、しっかりとした守りで九回まで最少失点で切り抜ける力を持っている。

 今年の夏、ベスト4に名乗りを挙げた尾道商業は夏の大会の経験者七人がチームを引っ張る。公立校として複数回の甲子園出場経験を持つ総合技術もまた面白い存在だ。ここ数年は伸び悩みが見られるが、それでも県内の二番手集団の中にはぴたりとつけており、いつも波乱を起こす高校として注目が集まる。

 最後に注目校としてあげるのは瀬戸内高校。2013年に現オリックスの山岡泰輔を擁して甲子園出場。その際に先述の広島新庄のエースとしてマウンドに立った田口麗斗との投手戦は今でも伝説として残っている。今年の秋も古豪新鋭名門強豪と十人十色だ。

 毎年秋口に行われる秋季県大会は、全く何が起こるか見当もつかない。名門校が破れる、その逆で、まるで注目されなかったチームがするすると勝ち上がり中国地区大会への切符をつかみ取るのも大いにありうる。一昨年の市立呉も、前評判が決して高かったわけではなかったが、県大会を勝ち上がったのち、如水館を破るなどの活躍を見せての選抜出場だった。

 秋季県大会は、私立公立の力の差が一番縮まり、最も平等に近いスタートラインに立てる大会だ。高校生の伸びしろが計り知れない分、一年前まで全く見向きもされなかった選手が現在主力として活躍することもある。経験さえつけばどこまでも伸びていける時期、その経験を積む貴重な機会となる秋季大会がどうなるのか非常に楽しみである。

(文=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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