第949回 第101回全国高等学校野球選手権高知大会総括  森木 大智が蒔いた「熱闘」の種2019年08月15日

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【目次】
[1]「身近な全国トップ級」森木 大智がもらたした化学変化
[2]明徳義塾「明徳的令和スタイル」で頂点へ

 第1シード・明徳義塾の2年ぶり21度目の王座奪還、20回目の夏甲子園出場で幕を閉じた「第101回全国高等学校野球選手権高知大会」。決勝戦には2,000人以上の観衆が内野席をほぼ埋めるなど、過去最大級の「熱」を感じる大会となった。
 では、その要因はどこにあるのか?今回はあえて、最速148キロ右腕・森木 大智高知1年)をキーワードにして、その源流を探るとともに今大会を振り返ってみよう。

「身近な全国トップ級」森木 大智がもらたした化学変化



最速148キロを連発し高知決勝戦進出の立役者となった森木 大智(1年)

 「今大会の主人公は森木 大智高知1年・184センチ81キロ・右投右打・高知中出身)だった」。第101回全国高等学校野球選手権高知大会に関わった方々ならば、誰もが抱いた感想であろう。それほどまでに高知中(軟式)3年時、日本中学生初となる150キロをマークした「真のスーパー1年生」がもたらした反響は凄まじかった。

 まずは報道陣。登板ごとに20社以上の新聞・TVが訪れ、決勝戦ではその数は50人をゆうに超えることに。その人垣は試合前の監督取材で「すごいなあ」と明徳義塾・馬淵 史郎監督が思わず呟くほどであった。

 2つ目は大会レベル・モチベーションの向上。これは昨年、高知市立潮江中出身・明徳義塾の最速149キロ右スリークォーター・市川 悠太(東京ヤクルトスワローズ)の登板時にもあった現象であるが、各校の選手たちにとって森木は県内中学軟式野球部経験者の多くが対戦ないし、登板を見たことがる「身近な全国トップ級」。そんな彼に対し「高校でも対戦したい、打ち崩したい、高校では勝ちたい」自軍側から見れば「森木を援護したい」想いが常にポジティブな傾向を引き出していた。

 一例をあげれば高知は4試合でチーム6本塁打。ランニング本塁打2本を含むとはいえ、この数値はこの10年を見ても突出した数字である。また、岡豊の植田 ジゲン(3年・171センチ69キロ・右投右打・須崎市立浦ノ内中出身)は準決勝・明徳義塾戦で最速142キロを出して中盤まで0を並べ、高知商真城 翔大(3年・177センチ75キロ・右投左打・四万十市立中村中出身)はこの1年間で10キロ前後球速が増し、最速143キロ。真城は130キロ台のツーシームとシンカーもマスターし、大学でも早期の起用が期待される。

 さらに今大会では序盤に土佐が2回戦で高知西に1対2、土佐塾も初戦の2回戦で須崎総合に5対6という私学が公立校に敗れる波乱や、勝てば高知と対戦できる状況だった高知東vs高知高専が地方大会含め選手権史上初となる「延長16回タイブレーク決着」がとなる激戦があったが、これもそういったモチベーションが大きく影響したことは想像に難くない。

 もちろん、森木当人の存在感も抜群だった。準々決勝・高知東戦で最速148キロ・6回2安打8奪三振4四死球完封の夏デビューを飾ると、準決勝では2番手で4回を1安打5奪三振1四球無失点。「落ち着いて投げることを意識した」インローの最速148キロ・常時145キロ前後のストレートを主体にスライダー、チェンジアップも交えて前年覇者・甲子園2勝の高知商打線を完ぺきに抑えてみせた。

 

 2日連投となった決勝戦では3回からリリーフ登板し最速146キロ・7回119球・6安打4奪三振・7四死球・3失点(自責点同じ)と明徳義塾の洗礼を浴びた格好の森木。大会後「3年生やメンバーを外れた先輩たちは悔しいはずなのに「がんばれよ」と励ましてくれたのに、悔しい。自分の甘さが出た試合。自分のベストボールを出せるようにして次は必ず甲子園に行きたい」と話した右腕が、夏を経てどのような進化を遂げるかを楽しみにしたい。

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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