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【千葉大会総括】令和最初の千葉大会はノーシード8校がベスト16!戦国千葉に相応しい大会に

2019.07.29

 今年の千葉は習志野が優勝を決めた。令和最初の千葉大会は結果を振り返れば、戦国千葉に相応しいものだった。

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第101回 全国高等学校野球選手権 千葉大会

抜群の安定感を示した習志野

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エース・飯塚 脩人(習志野) ※春季大会で撮影

 毎年戦力図が入れ替わる千葉県。今年はベスト16ではノーシードが8校、ベスト8になっても4校が残り、そしてノーシードの八千代松陰が決勝戦まで勝ち上がり、令和最初の千葉は戦国千葉に相応しい大会結果となった。

 その中で優勝した習志野の安定感は抜群だった。エース・飯塚 脩人、左腕・山内翔太を中心にバランスよく投手起用。飯塚になるべく負担をかけない形で運用し、勝負所の準々決勝の成田戦、準決勝の木更津総合戦を持って行った起用は見事。また山内も決勝戦で1失点完投勝利を挙げ、盤石の試合運びを見せた。また打線は根本翔吾高橋雅也などの上位打線を中心に着実に点を重ね、試合の主導権を握る試合運びは隙がなかった。東邦明豊といった選抜上位チームの敗退が相次いでいる中、この安定感は脅威。チームは選抜よりもさらに成熟し、今年の甲子園でも優勝候補として臨むことになりそうだ。

 準優勝の八千代松陰市原中央はAシードの専大松戸、Bシードの千葉明徳を破るなど快進撃を見せた。投げては右サイドの川和田悠太が連日の好投。昨秋の一次予選ではまだ今のようなエースという立場では地道に努力を重ね、八千代松陰には欠かせないエースへ成長。130キロ前後の直球ながら、変化球を内外角に丁寧に投げ分けるピッチングスタイルは右サイドのお手本のような投球だった。また千葉県ナンバーワンショート・長岡秀樹、強打の外野手・大竹隼平を中心に力強い打線も印象的だった。

 4連覇がかかった木更津総合は準決勝で敗れたが、習志野と死闘を演じたチーム力の高さは全国レベルと印象付けるものだった。篠木健太郎根本太一の2人の速球派右腕は夏に向けて調子を上げていき、根本は147キロを連発するなど、肩の故障を克服し、復活を示したピッチングとなった。

 打線も習志野の飯塚から5得点を取るなど、秋、春の打線の内容から考えれば想像以上の成長を遂げてくれた。大会を振り返れば集中打でビッグイニングを作るなど、木更津総合らしい打撃内容を示し、しっかりと夏に仕上げてきた。

 その中で新チームもエースとして期待される篠木、左腕・吉鶴翔瑛、スラッガー・斎藤匠を中心に投打で力強いチームに育て上げることを期待したい。

[page_break:しっかりとチームを仕上げればどこがベスト16入りしてもおかしくない]

しっかりとチームを仕上げればどこがベスト16入りしてもおかしくない

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加來壮太郎(千葉市川) ※春季大会で撮影

 ノーシードからベスト4まで勝ち上がった市原中央は右腕・入口翔太、左腕・伊藤駿介を使い分けながら、粘り強く勝ち上がり、打線も突出とした能力を持った野手はいないが、内野の間を抜く打撃スタイルで着実に点を積み重ね、勝ち上がった。まだ2年生の主力選手も多く、上位進出候補として期待される。市原中央木更津総合が属する第8ブロックは拓大紅陵東海大市原望洋と強豪校が多く、この秋の一次予選から激しい戦いとなりそうだ。

 またノーシードからベスト8まで駆け上がったのは八千代松陰市原中央以外では千葉市川、市立船橋。千葉市川はエース・加來壮太郎を中心に堅い守備で逃げ切るスタイル。秋、春と上位進出がなく、また進学校ゆえ、あまり練習時間が取れない千葉市川のようなチームが勝ち上がったのは、各校にとって大きな励みとなったはずだ。

 市立船橋は投打ともに総合力が高く、準々決勝で木更津総合に敗れてしまったが、戦力自体はベスト4・決勝に勝ち進んでいてもおかしくなかった。それは千葉明徳専大松戸にも言えることで、多くの学校は決勝に進んでもおかしくない。それだけ拮抗していた。

 また今回、ノーシード8校がベスト16入りしたように、夏までにチームを仕上げれば、どのチームにも可能性があるということを示した千葉大会ではないだろうか。

 改めて戦国千葉の奥深さ、面白さを伝えてくれた大会だった。

 そして8月20日から早くも秋季大会一次予選が行われる。ここから2020年へ向けての熱い戦いが繰り広げられる。

文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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