【東東京大会・準決勝展望】都立小山台vs上野学園、日大豊山vs関東一 ファイナルへ進むのは?
連日の雨の影響で、3日連続で試合をするチームが出るなど、大会関係者は日程のやり繰りに苦労したが、ついに4強が出そろった。準決勝のカードは、都立小山台・上野学園、日大豊山・関東一となった。両カードとも、第1シード対シードどころか、秋、春の都大会に出場すらしていないチームの対戦になった。ただ、いずれのチームにも好投手がおり、熱戦が期待できる。
上野学園・赤坂と都立小山台の上位打線との対決
安居院勇源(都立小山台)
昨夏の準優勝、春季都大会のベスト4と、安定した戦いぶりが目立つ都立小山台であるが、今大会の5回戦では安田学園に3点をリードされる。それでも9回に安打を集め、一挙4点を入れて逆転勝ちする底力もみせた。
崖っぷちから這い上がって来たことで、いい意味での開き直りや、思い切りの良さが出てきた。
エースの安居院勇源は飛び抜けた球威があるわけではないが、ここ一番で投げる球にはキレがある。1番・池本仁志、2番・佐藤晃は足があり、4番・吉田大晟で還すパターン。下位打線も、得点に絡む力がある。
上野学園の躍進を支えたのは、何と言ってもエースの赤坂諒だ。18、19、20日の3日間連投し、中1日で迎えた準々決勝では9回に最速149キロを記録した。スライダーのキレもいい。
昨夏は負傷で出場できず、故障上がりだった秋、それに春も1次予選で敗れたため、噂はあったものの、その実力はベールに包まれていた。この夏一気に解き放たれ、東東京大会を盛り上げる存在になっている。
赤坂と昨夏の準優勝を経験した都立小山台の池本、佐藤晃、吉田といった上位打線の対決が、勝敗を左右しそうだ。
打順は9番でも、上野学園は打つ方でも赤坂が軸になる。赤坂から1番の成川玲央にどうつなげるか。
赤坂はもちろん、都立小山台の安居院も、短い登板間隔の中でどう力を発揮するか。投手のコンディションも勝敗に影響しそうだ。
[page_break: 関東一の谷・土屋、日大豊山の瀬崎の投手戦か?]関東一の谷・土屋、日大豊山の瀬崎の投手戦か?
土屋大和(関東一)
関東一は準決勝進出の4校のうち、戦力が最も充実している。谷幸之助、土屋大和の2本柱がしっかりしているのが強み。谷は147キロの速球を投げることができるが、今大会では球速を130キロ台後半に抑えて、大崩れはしなくなった。安定感では、土屋がさらに上を行く。
打線では、準々決勝で本塁打を放った平泉遼馬の存在が大きい。主将の渋谷嘉人に当たりが戻ってきたのも好材料。俊足の1番・大久保翔太、1年生ながら抜擢された初谷健心ら、タレントが揃っている。
日大豊山は、秋、春とも1次予選で敗れたものの、横手投げのエース・瀬崎絢ら昨夏の経験者もおり、戦力は整っていた。
それにしても、ツーシームやスライダーなどを有効に使い、帝京を完封した瀬崎の準々決勝の投球は圧巻だった。
打線は際立った選手はいないものの、4番・秋山拳士を中心に少ないチャンスを物にする。福島直也監督を中心にベンチの雰囲気が明るいのも、好材料だ。
試合は、関東一の谷か土屋と、日大豊山・瀬崎の投げ合いか。得点力では関東一に分があるものの、日大豊山ベンチのノビノビと向かっていく姿勢も侮れない。日大豊山は昨夏の5回戦、4年前の決勝戦で関東一に大敗している。それを互いにどう意識するのか、しないのかも興味深い。
春季都大会で4強に残った都立小山台と関東一、ノーシードから勝ち上がった上野学園と日大豊山。今後の東京の高校野球の勢力図にも変化をもたらしそうな、注目の対戦になった。
なお、準決勝が行われる25日は今までと違い、夏の暑さが予想されている。暑さ対策も、勝敗の重要な要素になりそうだ。
文=大島 裕史
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