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第934回 春夏連続・松山聖陵か?今治西復権か?それとも済美3連覇か? 急成長選手多き愛媛、大混戦大会到来【愛媛大会展望】2019年07月15日
【目次】
[1]第1シード・松山聖陵、今年も厳しいブロックに
[2]夏初戴冠へ燃える帝京第五、3連覇期す済美らが今治西に挑戦
[3]すべての試合から目が離せない今治西ゾーン
雨天にたたられ7月13日(土)は開会式のみ、14日(日)も全試合中止。よって59校58チームによる57試合熱戦の最終章となる決勝戦は7月30日(月)10時から愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで行われることになった「第101回全国高等学校野球選手権愛媛大会」。センバツ出場の松山聖陵を第1シードに、今治西・帝京第五・八幡浜の順で決まったシード4校に加え、大会3連覇を狙う済美をはじめとするノーシード勢もシード校と互角以上の実力を有している。
そこで今回は春までの公式戦結果を振り返りつつ、超ホットな情報も交えながらシード4校のブロックごとに注目選手を交えながら大会を展望していきたい。
第1シード・松山聖陵、今年も厳しいブロックに

高校通算本塁打も10本を超えた松山聖陵の4番・大村 侑稀(3年・左翼手)
公式戦のここまで
<愛媛県地区別新人大会>東予・中予は4強、南予は2強までで打ち切り
東予 4強 新居浜西 今治北 今治西 新居浜商
東予 4強 新居浜西 今治北 今治西 新居浜商
南予 2強 帝京第五 大洲
<秋季愛媛県大会>16チーム参加
優勝 帝京第五(初優勝)
準優勝 聖カタリナ学園 3位 松山聖陵 4位 今治西
ベスト8 西条 八幡浜 今治北 済美
<秋季四国大会>
帝京第五(2年ぶり7回目の出場) 初戦<2回戦>敗退
聖カタリナ学園(初出場)初戦敗退
松山聖陵(2年連続5回目の出場)準優勝
<センバツ>
松山聖陵(2年連続2回目の出場)初戦敗退
<春季愛媛県大会>16チーム参加
優勝 今治西(6年ぶり10度目)
*春季四国大会代表校順位決定戦 松山聖陵8-5今治西
準優勝 八幡浜 ベスト4 宇和島東 今治北
ベスト8 新居浜西 聖カタリナ学園 新居浜南 帝京第五
<春季四国大会>
松山聖陵(4年連続5回目の出場)1勝・ベスト4
今治西(6年ぶり16回目の出場)初戦敗退
*第1シード・松山聖陵ゾーン
前回大会の松山聖陵は最速149キロ右腕・土居 豪人(千葉ロッテマリーンズ)を擁し初のセンバツ出場も初戦敗退。第1シードから捲土重来を期すも夏の愛媛大会では新田に初戦敗退。その新田は勢いに乗って決勝戦まで勝ち上がった。
それから1年、センバツ初戦敗退・第1シードスタートまでは昨年と同じ系譜をたどる彼らにって同じ轍は絶対に踏みたくないところだが……。今回も初戦は古豪・今治南vs最速142キロ右腕・真鍋 魁(3年・176センチ72キロ・右投右打・西条市立西条西中出身)を擁し、最終登録では愛媛県選抜「」秋山 拓巳(阪神タイガース)がエースだった2009年以来の頂点を目指す西条の勝者。負荷の極めて高い闘いとなりそうだ。
ただ、松山聖陵も一時は戦列を離脱していた平安山 陽(2年・177センチ80キロ・名護市立大宮中<沖縄>出身)が復帰後、最速142キロのストレートからスライダーを決め球にするスタイルを確立。春季四国大会以降、一塁手から左翼手に転じた大村 侑稀(3年・185センチ84キロ・右投右打・松山市立雄新中出身)も高校通算10本塁打を超え、主砲の風格が備わりつつある。
この関門を抜ければ昨夏、坊っちゃんスタジアムでアーチをかけた松野 誠士郎(3年・三塁手・178センチ89キロ・右投右打・愛媛松山ボーイズ出身)ら右スラッガーがそろう松山東や、試合運びの巧みな松山南などがいるとはいえ、準決勝への扉が大きく開かれることは間違いないところ。まずは7月21日(木)9時から坊っちゃんスタジアムで行われる松山聖陵初戦、主将の根本 大蓮(3年・投手・188センチ90キロ・右投右打・松山市立拓南中出身)いわく「春夏連続甲子園出場にかけてやってきた」意思を明確に示すべき舞台に注目したい。
*第4シード・八幡浜ゾーン
八幡浜は巧打の3番・石田 翔大(3年・左翼手・168センチ69キロ・右投左打・八幡浜市立愛宕中出身)、最速137キロを出す馬力も備える4番・山脇 康成(3年・一塁手兼投手・175センチ78キロ・右投右打・を中心とした「つながる打線」と、本格派の菊池 光陽(3年・170センチ70キロ・伊方町立伊方中出身)、70キロ台カーブを駆使する超軟投派・大田 龍輝(3年・161センチ55キロ・右投左打・大洲市立長浜中出身)、山脇、遊撃手兼任の主将・清水 一磨(3年・182センチ74キロ・右投両打・西予市立宇和中出身)による複数投手継投が奏功し春の県大会準優勝。
「強い者が勝つのでななく、勝ったものが強いと思うので、1対0でも勝てるようにしたい」と「一時はモチベーションコントロールが難しい時期もあった」と明かす清水は夏の戦いへ向け「練習試合でも先発含めいろいろな想定をしてきた」手ごたえを活かす覚悟で61年ぶり2度目の夏甲子園出場を見据えている。
もちろんライバル校も黙ってはいない。八幡浜と逆ブロックに目を転ずると松山商では「春以降バットの長さを84センチから85センチに変えて飛距離が出た」主将・大村 玄(3年・中堅手・松山リトルシニア出身)が29本・「足の運びを意識したら二塁送球タイムも(1.9秒台まで)上がった」佐藤 勇斗(3年・捕手・右投右打・181センチ90キロ・えひめ西リトルシニア出身)は21本まで高校通算本塁打を積み上げ、その松山商と初戦で対戦する新居浜西は左腕・秋月 大翔(2年・170センチ73キロ・左投左打・新居浜ヤングスワローズ出身)をはじめ、1年夏から公式戦経験豊富な選手たちがエントリー。また、新居浜南には「四国発」でも紹介した巨漢4番・近藤 隆聖(3年・一塁手・右投右打・176センチ106キロ・新居浜市立角野中出身)を昨夏県ベスト8を経験した選手たちがサポートする。
八幡浜と同ブロックも大洲、川之石と一筋縄ではいかない面々がそろい、川之江・柴垣 大(3年・174センチ75キロ・右投左打)、松山北・新宮 昇悟(3年・180センチ80キロ・右投右打・今治中央ボーイズ出身)は、いずれも身体能力の高い強肩ショートストップであり、前回大会準優勝、最速138キロ右腕・渡部 凱斗(2年・180センチ72キロ・右投右打・松山市立余土中出身)と二塁送球1秒9の吉川 晋平(3年・170センチ77キロ・右投左打・松山中央ボーイズ)バッテリーが生命線の新田と、主将の越智 海斗(3年・遊撃手・173センチ67キロ・右投右打・西条リトルシニア出身)も「気軽に話せることができるし相談もしやすい」と効果を強調する國政 隆吾(松山東~広島大)、鈴木 大夢(米子北~福井工業大)の「全日本大学野球選手権ホームランコンビ」がコーチ兼寮監として新たな風を吹かせている小松とが激突する1回戦は、大会の行方をも占う注目カードだ。
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- 寺下 友徳
- 生年月日:1971年12月17日
- 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
- ■ 経歴
國學院大學久我山高→亜細亜大。
幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。 - ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
- ■ 執筆実績
web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。
さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。 - ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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