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第1シード・富岡西、悲願の夏初甲子園か? 徳島商、徳島北、池田らが激しく迫る【徳島大会展望】

2019.07.13

 7月13日(土)に開幕。順調に進めば7月28日(日)14時30分より徳島県鳴門市の[stadium]オロナミンC球場[/stadium]で行われる決勝戦まで30チームが参加し29試合の熱戦が展開される「第101回全国高等学校野球選手権徳島大会」。センバツ21世紀枠初出場で優勝した東邦(愛知)に善戦した第1シード・富岡西が悲願の夏初甲子園を目指す中、徳島商徳島北池田のシード勢をはじめ、各校も激しく富岡西に迫る展開が予想される。
 そこで今回は春までの公式戦結果を振り返りつつ、シード4校のブロックごとに注目選手を交えながら大会を展望していきたい。

大会日程・組み合わせ
第101回全国高等学校野球選手権徳島大会

「浮橋 幸太のサポート」が富岡西・春夏連続出場の絶対条件

第1シード・富岡西、悲願の夏初甲子園か? 徳島商、徳島北、池田らが激しく迫る【徳島大会展望】 | 高校野球ドットコム
第1シード富岡西投打の大黒柱・浮橋 幸太(3年)

公式戦のここまで
<徳島県新人ブロック大会>準優勝まで中央大会出場
*中央Aブロックは甲子園出場(大会不参加)の鳴門が2位扱い
中央Aブロック 優勝 城東 準優勝 生光学園
中央Bブロック 優勝 鳴門渦潮 準優勝 徳島北
西部ブロック 優勝 阿波 準優勝 池田
南部ブロック 優勝 富岡西 準優勝 阿南工新野阿南光連合

<徳島県新人中央大会>8チーム参加 *雨天のため4強で打ち切り
ベスト4 鳴門 鳴門渦潮 富岡西 池田

<秋季徳島県大会>
優勝 川島(初優勝)
準優勝 徳島商 3位 富岡西 4位 池田
ベスト8 鳴門渦潮 鳴門 城東 阿南工新野阿南光連合

<秋季四国大会>
川島(4年ぶり4回目の出場) 初戦<2回戦>敗退
  
徳島商(6年ぶり30回目の出場)1勝・2回戦敗退
富岡西(11年ぶり5回目の出場)ベスト4

<センバツ>
富岡西(21世紀枠・初出場)初戦敗退

<春季徳島県大会>
優勝 徳島北(初優勝)
*春季四国大会代表校順位決定戦 富岡西11-1徳島北(7回コールド)
準優勝 徳島商 ベスト4 鳴門渦潮 池田
ベスト8 城西 阿南光 城東 鳴門

<春季四国大会>
富岡西(3年ぶり3回目の出場)準優勝
徳島北(初出場)初戦敗退

<徳島県総体協賛ブロック大会>
中央Aブロック 優勝 徳島商 準優勝 城北
中央Bブロック 優勝 板野 準優勝 生光学園
西部ブロック 優勝 池田 準優勝 川島
南部ブロック 優勝 富岡西 準優勝 小松島

*第1シード・富岡西ゾーン

 センバツ・東邦戦での戦いで得た「展開力の必要性」を、相手のスキを確実に得点へとつなげた春季四国大会準優勝で体現した富岡西。同大会決勝戦では安藤 稜平(3年・右翼手・182センチ78キロ・阿南市立阿南中出身)が豪快なアーチを放つなど「各打者のヒットゾーンが広がりつつある」(小川 浩監督)打線の成長が見られていることも大きい。

 ただ、これらの「夏・甲子園初出場」建築も全試合完投が見込まれる最速144キロ右腕・高校通算19本塁打の浮橋 幸太(3年・174センチ78キロ・右投左打・阿南市立阿南第一中出身)という大黒柱あってこそ。そこに「ノーサイン野球の積み上げはできたし、四国大会後は守備トレーニングを重点的にやってきた」と主将・坂本 賢哉(3年・一塁手・174センチ74キロ・右投左打・阿南市立那賀川中出身)語った成果を加えられれば、彼らと阿南市の悲願は達成の時を迎えることになるだろう。

 一方、このゾーンには最速139キロ左腕・大西 祐吾(3年・175センチ75キロ・左投左打・東みよし町立三好中出身)といった好選手がいる池田辻(池田高校辻校)や「春の県大会で出た課題を繰り返しやってきたことがチーム力アップにつながっている」(山田 耕太郎監督)阿南高専が初戦で激突し、城西のエース・柿久保 天翔(172センチ63キロ・徳島市加茂名中出身)は走力にも長ける2年生リードオフマン。開幕戦・脇町阿波西の隣接校対決にも注目したい。

*第4シード・池田ゾーン

 1992年以来27年ぶり10回目の甲子園を狙う池田にとっては、難しい相手がそろった。

 最速142キロ右腕・井村 多朗(3年・右投右打・176センチ78キロ・徳島中央リトルシニア出身)擁する城東は2年生二塁手・森本 夢叶(173センチ62キロ・右投左打・徳島市徳島中出身)など打者にも俊足がそろい、「夏は彼次第」と山根 浩明監督も全幅の信頼を寄せるエース・細谷 海斗(3年・177センチ81キロ・右投右打・阿波市立阿波中出身)が春のケガから完全復活した秋の県大会王者・川島もこのゾーン。さらに強肩・成松 佑馬(3年・3年・捕手・右投両打・阿南市立阿南第二中出身)をはじめ潜在能力の宝庫である阿南光は、いきなり前回大会準優勝、最速143キロ右腕・上原 優人(3年・165センチ61キロ・右投右打・徳島中央リトルシニア出身)を絶対的エースとする生光学園と激突する。

 ただ、池田も「選手の力を出すための準備はしてあげたい」井上 力監督の下で戦力整備を着々と進めている。4番は高校通算15本塁打の小角 翼(3年・捕手・178センチ84キロ・東みよし町立三好中出身)、最終的に遊撃手へ落ち着いた桝田 洸(2年・176センチ76キロ・右投右打・三好市立池田中出身)も長打力を備える。投手陣も春以降、ミニキャンプで体重を8キロ落とし身体のキレを出した最速143キロ右腕・白川 恵翔(3年・178センチ82キロ・右投右打・美馬市立江原中出身)が好調を維持。さらに最終登録変更では春にセンバツ出場校・啓新(福井)との練習試合で138キロを出した豊田 隼人(3年・181センチ71キロ・右投右打・三好市立池田中出身)が背番号「19」で加わった。

 池田が次々と襲い掛かるライバルたちを下し「名門復活」へ道筋を描けるか。それとも、新たな時代を他校が切り開くのか。このゾーンの7試合は一瞬たりとも目を離せない。

[page_break:タレント両輪の徳島商、連覇狙う鳴門初戦は宿命の「鳴門市ダービー」]

タレント両輪の徳島商、連覇狙う鳴門初戦は宿命の「鳴門市ダービー」

第1シード・富岡西、悲願の夏初甲子園か? 徳島商、徳島北、池田らが激しく迫る【徳島大会展望】 | 高校野球ドットコム
鳴門2本柱の右腕・竹内 勇輝(3年)

*第2シード・徳島商ゾーン

 タレント両輪がいる徳島商が一歩リードか。3番・石上 泰輝(3年・遊撃手・173センチ71キロ・右投左打・鳴門市第一中出身)逆方向に長打を連発するなど春以降成長の歩みが止まらず、高校通算30本塁打に到達した4番・村田 龍哉(3年・右投右打・徳島松南ヤング出身)は、三塁手からの守護神としても期待が集まる。あとは森影 浩章監督も認める「継投のタイミング」が奏功すれば8年ぶり24回目の夏甲子園出場の可能性は一気に高まってくるだろう。

 対して、このゾーンには2つの注目カードも控える。高校通算16本塁打も放った強肩捕手・村田 和至(3年・177センチ75キロ・右投左打・阿波市立吉野中出身)がいる阿波は、「ストレートの最速は136キロですが、回転数は2200回転。僕も驚いています」と島 一輝監督が明かす左腕・後藤 謙晋(3年・172センチ78キロ・左投左打・阿南市立羽ノ浦中出身)がエースナンバーを背負う城南と対戦。

 最速138キロをマークしながら外野手が主戦場だった小松島西大河 悠也(3年・185センチ85キロ・右投右打・徳島市南部中出身)は、県総体協賛ブロック大会Bブロック優勝、2年前の大会準優勝時からレギュラーを張る主将・豊富 優大(3年・173センチ72キロ・右投右打・板野町立板野中出身)も「冬の身体づくり・食トレの成果が出てきた」手ごたえを得て夏に挑む板野と激突する。

 さらにこの2カードを勝ち上がった者同士が再び激突し、準々決勝への権利を争う同ゾーン。鮮烈な争いの中でタレントたちが限界を突破してくれることにも期待したい。

*第3シード・徳島北ゾーン

 最速142キロ右腕・河野 勇真(2年・175センチ75キロ・右投右打・徳島藍住リトルシニア出身)の起用法含めた春の県王者・徳島北や、「勢いのあるボールが投げられるようになっている」(福井 健太監督)徳島科学技術の最速143キロ右腕・近藤 駿(3年・181センチ90キロ・右投右打・徳島松南ヤング出身)の動向なども気になるところであるが、ここはやはりこのカード・鳴門vs鳴門渦潮の「鳴門市ダービー」をクローズアップしたい。

 夏の連覇を目指す鳴門は北海道日本ハムファイターズコーチも務めた同校OB・大貝 恭史外部コーチの指導もあり、4番の浦 和博(3年・右翼手・左投左打・172センチ74キロ・徳島東リトルシニア出身)は高校通算30本塁打をマークするなど打線は好調だけに、最速136キロ左腕・西野 知輝(3年・174センチ72キロ・左投左打・鳴門市第一中)を最速140キロ右腕・竹内 勇輝(3年・170センチ70キロ・右投左打・那賀町立相生中出身)らがサポートする投手陣の出来がポイントになるだろう。

 対して鳴門渦潮は、遊撃手4番スタートが濃厚の有持 泰成(3年・177センチ75キロ・右投右打・徳島東リトルシニア出身)をはじめ、鈴木 連(176センチ73キロ・右投右打・徳島市加茂名中出身)、仁木 登真(174センチ75キロ・右投右打・鳴門市鳴門中出身)の2年生右腕2枚もそろって140キロ超え。他に2枚の左右変則投手も備える。

 あとは「接戦の中でランナーを返す練習をしてきた」と自らも俊足の主将・奥 和也(3年・三塁手・右投右打・177センチ77キロ・大阪ニューヤング<大阪>出身)が語った攻撃を継投策の中でいかに効率よく出せるかに注目したい。

 竜虎激突は順調に大会が進めば7月16日(火)14時半から。大会自体の構図をも決めかねない一戦が、今から楽しみである。

文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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