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センバツ1勝の第1シード高松商中心も 各校タレント多く、波乱要素は十分【香川大会展望】

2019.07.13

 7月13日(土)に開幕。順調に進めば7月27日(土)12時30分より香川県高松市のレクザムスタジアムで行われる決勝戦まで38チームが参加し37試合の熱戦が展開される「第101回全国高等学校野球選手権香川大会」。センバツ1勝、23年ぶり20回目の夏甲子園と春夏連続聖地到達を目指す第1シード・高松商が中心ながら、各校にタレントも多く波乱の要素は十分にある。
 そこで今回は春までの公式戦結果を振り返りつつ、シード4校のブロックごとに注目選手を交えながら大会を展望していきたい。

大会日程・組み合わせ
第101回全国高等学校野球選手権香川大会

高松商・春夏連続出場のカギは「香川 卓摩の状態」

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高松商の最速142キロ左腕・香川 卓摩(3年)

公式戦のここまで
<秋季香川県大会>
優勝 高松商 3年ぶり27度目
準優勝 志度 3位 英明 4位 藤井学園寒川
ベスト8 小豆島中央 大手前高松 尽誠学園 香川中央

<秋季四国大会>
高松商(4年連続36回目の出場) 優勝<3年ぶり9度目> 
 
志度(4年ぶり8回目の出場)初戦敗退
英明(7年連続7回目の出場)初戦敗退

<明治神宮神宮大会>
高松商(3年ぶり3回目の出場)1勝・ベスト4

<県1年生大会>*県大会トーナメントは8強より
優勝 尽誠学園 準優勝 高松商 ベスト4 三本松 英明

<秋季県高野連招待試合>招待校:報徳学園(兵庫)
高松商●3-10 志度●5-7 英明●1-10 藤井学園寒川●4-7

<センバツ>
高松商(3年ぶり27回目の出場)1勝

<春季香川県大会>
優勝 四国学院香川西<11年ぶり3度目>
*春季四国大会代表校順位決定戦 高松商10-6四国学院大香川西
準優勝 尽誠学園 3位 藤井 4位 高瀬
ベスト8 大手前高松 藤井学園寒川 多度津 志度

<春季四国大会>
高松商(13年ぶり19回目の出場)1勝・ベスト4
四国学院大香川西(8年ぶり4回目の出場) 初戦敗退

<春季県高野連招待試合>招待校:横浜(神奈川)
四国学院大香川西●3-9 尽誠学園●0-14 高松商●9-16 藤井●6-8<8回終了時間切れ>

*第1シード・高松商ゾーン

 センバツでは四国勢唯一の1勝を春日部共栄(埼玉)からマークし、春夏連続と1996年以来20回目の夏甲子園を狙う高松商。今大会のテーマは横浜との県高野連招待試合で本格復帰したリードオフマン・飛倉 爽汰(3年主将・中堅手・167センチ61キロ・右投右打・高松市立龍雲中出身)も掲げる「自分たちのプレーを徹底する」である。

 そのキーマンとなるのはやはり侍ジャパンU-18一次候補にも選出された最速142キロ左腕・香川 卓摩(3年・165センチ62キロ・左投左打・東かがわリトルシニア出身)だろう。腰の状態を考慮しセンバツ以降、春季四国大会初戦で先発した他は長いイニングは投げていない香川だが、センバツで完封劇を演じたことからも明らかなように大一番へ向けての調整力は抜群。登板試合を定めれば結果は必ず残すだろう。

 となれば、他選手のサポートも不可欠。最速141キロ右腕・中塚 公晴(3年・172センチ71キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)や、リード面・二塁送球ばかりでなく打撃面でも成長著しい新居 龍聖(3年・捕手・170センチ67キロ・丸亀市立飯山中出身)。そして横浜戦では豪快な一発を放った5番・浅野 怜(3年・右翼手・166センチ62キロ・東かがわリトルシニア)ら打線の奮起が望まれる。

 ただし、高松商の初戦は四国選抜オーストラリア遠征でコーチを務めた箱崎 功監督が率いる曲者・坂出工。さらに秋8強の香川中央、昨年は準々決勝で高松商を破り準優勝した高松らも控える。

 なお、観音寺第一はかつてNPBでも名脇役として鳴らした笘篠 誠治・賢治兄弟の親類である笘篠 一輝(3年・捕手・166センチ90キロ・丸亀市立西中出身)が4番主将、早くも高校通算30本塁打に迫る田中 大貴(2年・遊撃手・175センチ70キロ・三豊市立三野津中出身)が1番を張る注目チーム。もし1番・リリーフ投手を務めるプロ注目のサンドゥ・シャーンタヒル(3年・中堅手・179センチ75キロ・右投左打・さぬき市立さぬき南中出身)がいる津田との対決が2回戦で実現すれば、タレント競演の楽しみな一戦となりそうだ。

*第4シード・藤井ゾーン

 2年生エース・山脇 歩真(183センチ82キロ・右投右打・三豊市立高瀬中出身)の丁寧なピッチングと「1人2ポジションを守れるように普段から練習している」(竹田 拓司監督)汎用性を駆使し、春の県高野連招待試合でも横浜(神奈川)に善戦した藤井。ただ、ゾーン突破には厳しい相手がそろったといえよう。

 初戦の相手は秋県大会8強の小豆島中央。その後も試合巧者の高松工芸や、130キロ後半のストレートを投ずる大西 弘貴(3年・右投右打・181センチ74キロ・香川県立高松北中出身)を中心に守備を鍛えてきた高松北や、その高松北と初戦で当たる多度津も実力者。真逆には春の県大会3位決定戦で藤井に0対1で敗れシード権を逃すも、エースの鈴木 康司(3年・171センチ69キロ・右投右打・三豊市立仁尾中出身)が最速134キロを出し実力の一端をのぞかせた高瀬が入った。

 そして大会連覇を狙う丸亀城西もこのゾーンに。今年は昨年は左翼手で出場した左腕・藤田 翔希(165センチ86キロ・左投左打・三豊市立三野津中出身)を4番・エースに、長打力のある藤澤 和弥(3年・左翼手・163センチ67キロ・右投右打・善通寺市立西中出身)らが前後を固める布陣。春先の練習試合ではセンバツを控えた市立呉(広島)を撃破するなど実力は持っている。大会開幕戦となる高松第一戦、1つ勝てば対戦することなる高瀬戦で結果を残すことができれば、ノーシードから駆け上がった昨年の再来も十二分に考えられる。

[page_break:強豪ぞろいの尽誠学園、四国学院大香川西ゾーン]

強豪ぞろいの尽誠学園、四国学院大香川西ゾーン

センバツ1勝の第1シード高松商中心も 各校タレント多く、波乱要素は十分【香川大会展望】 | 高校野球ドットコム
四国学院大香川西のエース・青山 友亮(3年)

*第3シード・尽誠学園ゾーン

 「春の県大会が終わってから振り込んだことで右中間方向にも長打が打てるようになった」4番・永尾 斗摩(3年主将・捕手・186センチ96キロ・右投右打・大阪八尾ボーイズ<大阪>出身)が高校通算本塁打30本を超えるなど、こと打線に関しては四国屈指のポテンシャルを有する第3シード・尽誠学園。ただ、このソーンには軒並み強豪がそろった。

 まず50メートル走6秒1の前川 遼太(3年・中堅手・162センチ63キロ・右投右打・高松市立龍雲中出身)や最速138キロ右腕・宮脇 大治(3年・179センチ72キロ・右投右打・高松市立国分寺中出身)らタレントぞろいの高松西は四国2年生屈指の強肩を誇る松野 一也(捕手・165センチ68キロ・丸亀市立南中出身)が中心選手の坂出商と初戦で激突。

 また、7月3日より「勢いを持たせて夏に向わせてあげたい」と話す元・京都翔英監督の太田 弘昭副部長が代行監督を務め、最速147キロ右腕・加茂 優太(3年・174センチ72キロ・右投右打・大阪生野リトルシニア<大阪>出身)も制球力をテーマに回復急な藤井学園寒川は、四国選抜オーストラリア遠征メンバーの井上 治樹(3年主将・遊撃手・176センチ74キロ・右投左打・善通寺市立西中出身)が「走塁への意識が高まった」ことで高知明徳義塾にも練習試合で勝利。最速140キロの内田 悠太(2年・175センチ66キロ・右投右打・高松市立国分寺中出身)も控える大手前高松高松東の勝者を待ち受ける。

 ちなみに尽誠学園の初戦も曲者・観音寺総合。「尽誠学園相手の練習は積んでいます」と土井 裕介監督も語るように「自分たちの野球をさせない」相手に対し、いかなる先手を打てるかも、尽誠学園が3年ぶり甲子園への扉を開けるためのポイントとなりそうだ。

*第2シード・四国学院大香川西ゾーン

 ゾーン9校中、6校が甲子園出場経験校というここも激戦区。四国学院大香川西は「細かいミスをなくして少ないヒットでも点を取りたい」と意気込み高校通算16本塁打(6月21日時点)の4番・広岡 寿将(3年主将・中堅手兼投手・右投右打・186センチ73キロ・箕面ボーイズ<大阪>出身)ら打線が、終盤のスタミナにやや不安のある最速136キロ右腕・青山 友亮(3年・175センチ72キロ・右投右打・京都ヤングベースボールクラブ<京都>出身)の負担を軽減できるかが頂点獲得への絶対条件だ。

 対抗馬の筆頭はボールの勢い、キレは完全に戻った最速143キロ右腕・黒河 竜司(3年・180センチ80キロ・高松市立屋島中出身)を大黒柱に下級生野手が躍動する英明。創部時からチームを率いた香川 智彦監督の勇退に、8年ぶ4度目の夏甲子園出場で華を添えたい。

 そして安倍 総星(3年・右翼手・174センチ75キロ・右投左打・東かがわリトルシニア出身)らフルスインガーのそろう志度と、ようやくケガから復帰したエース・主将の最速141キロ右腕・上杉 綸聖(3年・168センチ77キロ・右投右打・さぬき市立長尾中出身)を高校通算20本塁打を超える2年生・多田 聖一郎(左翼手・170センチ77キロ・右投左打・東かがわリトルシニア出身)らが支える三本松との1回戦は大会の行方をも占う好カード。1年夏から扇の要を張った岡本 匠平(3年・捕手・171センチ80キロ・右投右打・丸亀市立南中出身)が最後の夏を迎える丸亀がこの勝者を待つ。

文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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