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近江を止めるのはどこだ?滋賀学園、光泉ら力校が追随する!【滋賀大会展望】

2019.07.01

 7月7日に開幕する第101回滋賀大会の組み合わせ抽選会が27日に行われた。今大会は3季連続優勝中で春の近畿大会を制した近江が優勝候補の大本命と見られているが、どんな戦いになるだろうか。各ゾーンの戦いを展望していきたい。

大会日程・組み合わせ
第101回全国高等学校野球選手権滋賀大会

全国トップクラスの実力を誇る近江

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近江・林優樹

 Aゾーンに入った近江は全国でもトップクラスの戦力を揃えている。その核となるのが林優樹(3年)と有馬諒(3年)のバッテリーだ。チェンジアップを武器に1年秋からチームに欠かせない存在となっている林は絶対的エースに成長。今春にはU-18日本代表第1次候補に選出された。林をリードする主将の有馬も世代随一の捕手として注目を集めている。打っても中軸を任され、名実ともにチームの要だ。

 野手にもタレントが揃っている。住谷湧也(3年)は昨夏の甲子園で大会記録となる打率.769をマーク。今年に入って本塁打も増え、相手にとっては驚異の存在となっている。2年生遊撃手の土田龍空は攻守にセンスあふれる好選手。来年のドラフト候補として期待が持てる存在だ。

 春の近畿大会では板坂豪太(3年)が勝負強い打撃を見せて中心打者の一角に名乗りを挙げている。控え投手が踏ん張って林の負担を減らすことができれば、連覇は濃厚となってくるだろう。近畿大会で登板した教野純之介(3年)や藤居海斗(3年)の奮起に期待したい。

 近江と初戦で対戦するのが昨春の甲子園に21世紀枠で出場した膳所だ。当時のレギュラーはおらず、秋、春ともに初戦で敗退している。6人いるデータ班の力で戦力差をどこまで埋めることができるだろうか。

 秋準優勝の近江兄弟社もこのゾーンに入った。エース左腕の菊地凜(3年)を中心に攻守にまとまりがあり、今大会でも上位進出が期待される。4番を打ち、投手も務める横井覚(3年)が投打のキーマンとなりそうだ。近年は安定して8強以上に勝ち進むが、甲子園まであと一歩という結果が続いている。今年こそは殻を破りたいところだ。

 北大津虎姫は1回戦屈指の好カード。北大津は上位を打つ福山智己(3年)や4番捕手の山本朱夏(3年)ら能力の高い選手が多く、復権に期待がかかる。虎姫はエース左腕の藤元潤法(3年)が春は近江相手に好投を見せた。夏はさらに成長した姿を見せたい。

 秋4強の水口は突出した選手こそいないが、毎年のように総合力の高いチームを作ってくる。近江の存在感が大きいAゾーンだが、実力校が多く、序盤から見応えのある戦いが続きそうだ。

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綾羽・太田翔士

 Bゾーンのシード校は昨夏準優勝の綾羽伊藤千也(3年)、太田翔士(3年)、岡田雅英(3年)、小山孝治(3年)、早津康生(2年)と春だけで5人の投手が登板した。小刻みな継投で相手の反撃を封じていく。

 打線も昨夏を経験した磯谷太陽(3年)や桑名健介(3年)に加えて近藤大暉(2年)や伊藤彰馬(2年)らが一冬を越えて成長。今年こそは初の甲子園切符を掴むことができるだろうか。

 秋春連続8強と結果を残している高島は総合力の高いチーム。肩を痛めて春に登板できなかったエース・古谷秀磨の状態はどこまで上がっているだろうか。強肩で守備範囲の広い中堅手・梅村亮(3年)のプレーにも注目だ。

 秋8強の草津東と春8強の滋賀短大付の対決にも注目。草津東は昨年からの主力が多く残っており、投打のバランスが取れている。秋以降に急成長して春から4番に座る石津翔伍(2年)の長打力には注目だ。滋賀短大付は投手力が高い。エースの上藤佑太(3年)を中心に守り勝つ野球で上位を伺う。

 伝統的に安定した戦力を保っている伊香も侮れない存在。近年は連合チームで出場していた能登川は4年ぶりに単独チームでの出場を果たした。チーム一丸となって8年ぶりの勝利を掴みたい。

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彦根東、比叡山が同ブロック!

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滋賀学園・尾崎完太

 Cゾーンは滋賀学園が頭一つ抜けている。投手陣は左腕・尾﨑完太(3年)、右腕・竹本徹(3年)のダブルエースに加えて田上友一朗(2年)が春に台頭。信頼感の高い投手が多く、連戦も苦にしないのが強みだ。打線も比嘉天佑(3年)、谷田竜也(3年)、武川廉(2年)の中軸に力がある。春は近江の林に対して完封負けを喫したが、リベンジすることはできるだろうか。

 滋賀学園に対抗する候補としては野洲立命館守山八日市などが有力候補に挙がる。湖南農石部信楽甲南連合の健闘にも期待したい。

 最激戦ゾーンとなしそうなのがDゾーンだ。シード校の彦根東と伝統校の比叡山による好カードが初戦で実現した。
 彦根東は昨春の甲子園を経験した川嶋清太(3年)や山岡右京(3年)を中心に守りが堅い。打線は井上人太(3年)やこの春に台頭した森野隼人(3年)が軸となりそうだ。

 投手陣は制球力の高い左腕の中谷凌(3年)がエースとしてチームを引っ張る。控えにも勢いのあるストレートを投げる右腕の根元龍馬(3年)に左腕の市川大翔(2年)がいて2年ぶりの優勝に向けて戦力を整えてきた。

 対する比叡山は春こそ初戦敗退に終わったが、昨春の優勝経験者を中心に巻き返しを図る。投手は昨年から登板経験のある中澤嶺(3年)と中村隆一(3年)が軸となりそうだ。守備力の高い遊撃手の荒木相斗(3年)を中心に守り勝つ野球で4年ぶりの甲子園を目指す。

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光泉・吉田力聖

 今大会のダークホースとして注目を集めているのが光泉だ。最速144キロのストレートを投げるエースの吉田力聖(3年)はこの秋のドラフト候補。春先に痛めた肘の状態がどこまで回復しているかが気になるところ。2番手の伊藤有哉(3年)も最速145キロのストレートを投げ、安定感もある好投手。

 右横手投げの眞鍋裕大(2年)も一冬超えて成長し、県内屈指の投手陣を形成してきた。打線が援護できれば17年ぶりの甲子園も見えてくるだろう。

 ストレートとスライダーの出し入れが上手い千田岳良(3年)を擁する伊吹も上位進出の期待がかかる。下級生中心で秋8強まで進んだ八幡商も伝統校の意地を見せたいところ。激戦ゾーンを勝ち上がるのは果たしてどのチームか。

 大会全体を展望すると近江が大本命なのは揺るがない。近江を倒すチームが現れるか否かが大会の一つの焦点となりそうだ。打倒・近江の有力候補は滋賀学園か。近江兄弟社綾羽彦根東光泉といった有力校に力の差はなく、激しい戦いが予想される。聖地を目指す球児たちのハイレベルな争いを期待したい。

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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