静岡商や浜松商の古豪復活か、それとも加藤学園など新勢力台頭か？！令和最初の静岡大会は混迷極める【静岡大会展望】

　春季県大会で2003（平成15）年以来の優勝を飾った名門浜松商。その後の東海地区大会でも準優勝を果たして、確実に古豪復活を示している。その浜松商とともに古豪復活の期待を担っている静岡商。令和の新時代に昭和の歴史を感じさせる商業校が台頭してきた静岡大会。一方で、加藤学園ら新しい勢力も台頭してきている。そんな静岡大会の、この夏を占ってみた。

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第101回 全国高等学校野球選手権 静岡大会

浜松商は湖東遼馬が安定感のある投球を見せる

　春季大会の結果から第１シード浜松商、第２シード加藤学園、第3シード常葉大橘、第4シード浜松工、さらに第5シードとしてベスト8の4校で飛龍、静岡商、常葉大菊川、浜松西となっている。

　その一方で、昨秋の県大会を制した御殿場西、準優勝の清水桜が丘、3位校の静岡と東海地区大会進出した3校に、昨夏準優勝で主戦が残る島田商、好投手を擁する静清、U-18日本代表候補の紅林弘太郎君を擁する駿河総合、力のある東海大静岡翔洋、個々の能力が高い日大三島、一昨年夏の代表校藤枝明誠などがノーシードだけに、組み合わせそのものも注目された。

　春季県大会優勝校浜松商の初戦は星陵と袋井商の勝者となったが、そこに勝てば３回戦で早くも静岡と対戦しそうな組み合わせとなった。まずはここが大会前半の最大の山となりそうだ。その勝者がベスト8に進みそうだが、立ちはだかるのは富士市立か。

秋準優勝の清水桜が丘も非常に力を持ったチームだ

　そして、ベスト8で争うのは、開幕戦を戦う東海大静岡翔洋と聖隷クリストファーという開幕戦ではもったいないと言われるような強豪対決の勝者となる可能性が高い。それを阻止したいのが浜松修学舎か。また、シードの進学校浜松西も手ぐすねを引いている。このゾーンを上がってベスト4に進出したところが代表に最も近い存在とも言えそうだ。浜松商は湖東遼馬君と瀬戸口優太君の2人の投手が、春季大会のように機能していけば、やはり一番手と言っていいであろう。

　浜松工と常葉大菊川のゾーンでは、まず浜松工の初戦が磐田南と清水桜が丘の勝者で、これもシード校浜松工の初戦としては気が抜けない相手となる。この勝者がベスト8まではいきそうだが、そこに浜名、富士宮西あたりが抵抗を示すかがみどころとなる。

　また常葉大菊川にも、初戦で沼津商と戦う磐田東がぶつかりそうで、序盤の好カードの一つと言える。さらに、この勝者が静岡市立と戦いそうな組み合わせで、実力接近の好試合が予想される。最終的には、シードの両校でベスト4を争いそうだが、もちろん必ずしも順当にはいかない可能性もありそうだ。

加藤学園は2年生エースの肥沼竣が鍵を握る

　反対ゾーンでは、今季では唯一、秋も春もベスト4以上に進出している加藤学園が中心となっていく。冷静沈着な主将林口泰地君がチームを引っ張っていく加藤学園だが、2年生投手肥沼竣君をどうリードしていくかもポイントとなる。ベスト8までの山の中では清水東、3年前の準優勝校袋井あたりが立ちはだかってきそうだ。

　そしてベスト8で当たりそうなのはシード校の飛龍となりそうだが、その飛龍も初戦の相手が一昨年の代表校藤枝明誠と沼津城北の勝者となる。この2回戦の勝者が有力ではあるが、今大会ノーシードの名門掛川西や古豪島田商もいる。春は浜松西に西部大会で屈して県大会進出を逃した掛川西の捲土重来も期待したいところである。

常葉大橘の注目エース・市川大晴

　常葉大橘はエースの市川大晴君が注目されているが、浜松商とともに名門復活を示している静岡商のゾーンとなった。その静岡商の初戦は静岡学園と知徳の勝者という、これまた序盤の好カードとなる。さらに、ここを勝ち上がったとしても、次の3回戦では昨秋の県大会王者の御殿場西と当りそうだ。

　他にも浜松学院、静清、浜松開誠館という中堅私学も並んでおり、かなり厳しいゾーンだとも言える。一方、常葉大橘は3回戦ではU-18日本代表候補紅林弘太郎君がいる駿河総合がおり、そこを越えても先には大型投手福原俊吾君がいる日大三島や春季東武大会で加藤学園と接戦を演じている三島南などがいる。

　いずれにしても今年の静岡大会は、開幕カードでの強豪対決をはじめ、各シード校の初戦に難敵が多く、3回戦進出の32校が決まる前までの序盤の戦いで有力校がつぶし合っていく。それだけに、逆に間隙をぬって勢いづいた伏兵があれよあれよと、2016（平成28）年の袋井（準優勝）、その前年の磐田南（ベスト4）のように上位に駆け上がっていく可能性も大いにありそうだ。

文＝手束 仁

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