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今年の近畿大会はドラフト候補が勢揃いだった!夏まで追跡したい7人の逸材たち

2019.05.31

 今年の近畿大会は逸材揃いだった。全学年に逸材が揃い、見所満載の大会だった。今回はレポートでお伝えきれなかった逸材や、ドラフト候補と呼ばれる選手の総括を行いたい。

 まずはドラフト候補と呼ばれる選手の総括から。関東大会もみてきた筆者からすれば、今年の近畿大会はドラフト候補が勢揃いで、見ていてワクワクさせられた。

140キロカルテットは夏まで追跡せよ!

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池田陽祐と松本陵人

 今回、3年生投手は140キロ超えが多く登場した。
146キロ 池田陽佑智辯和歌山
145キロ 鍵 翔太神戸国際大附
143キロ 松本凌人神戸国際大附
143キロ 上田大河大阪商業大高

 特に池田の成長には驚いた。センバツでは、140キロを超えることもごくわずか。ほとんどが135キロ~130キロ後半。すると2ヶ月経った池田は別人の投手へ成長していた。

 コンスタントに140キロ台を連発しており、智辯学園戦では145キロ以上を12球計測し、6イニングを投げて、平均球速は142.6キロと、プロの先発投手とほぼ変わらない平均球速だった。

 球速の大幅アップは体格面の成長が大きいだろう。1年秋は180センチ76キロだったが、現在は183センチ84キロとサイズアップしている。ネット裏かみても、今年、ドラフト上位候補として注目されている投手のストレートと比較しても変わりない。変化球は125キロ前後のスライダー、125キロ前後のフォークの精度も高い。

 ただ3本塁打を浴び、6失点。145キロ前後でも甘いコースに入ったり、ストレートを狙っている打者に対してストレートを投げ込んだ配球面のミスが課題となった。

 これからも怪我なく夏を迎えれば、ドラフト候補として注目されるだろう。また、変化球の精度を磨き、投球の幅を広げていけば、さらに評価が上がる投手だ。

 鍵は今春、肘の怪我で苦しんでいたが、近畿大会直前に復帰。常時130キロ後半~143キロで、最速145キロを1球計測。近年の神戸国際大附の速球派右腕といえば、平内龍太(現・亜細亜大)、岡野佑大(現・帝京大)の2人だが、その2人の高校時代と比較しても負けていないストレートを投げ込んでいる。

 スライダー、フォークの精度も高い。夏までパワーアップを遂げ、常時140キロ中盤~145キロで、最速140キロ後半までスピードアップして、安定感のある投球を見せれば、ドラフト候補として大きく評価が上がりそうだ。

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上田大河(大阪商業大高)

 松本は今年の高校生右サイドでは屈指の速球派ではないだろうか。東日本は横山陸人専大松戸)ならば、西日本は松本だろう。松本は冬場にウエイトトレーニングに励み、スクワットは270キロを持ち上げるほどの筋力を身に付け、今春、140キロ台に到達。この試合では右サイドから常時140キロ台を連発しており、馬力ならば、横山より上だ。

 125キロ前後のスライダー、125キロ前後のスプリットもあるが、単調な投球になることがあるので、緩急を使って、投球の幅を広げていきたい。サイドではなかなかいないパワー型の投手なので、夏には145キロ前後まで高めていきたい。

 最速148キロ右腕として注目される上田は春の大阪府大会決勝で右手に打球が直撃。診断の結果、打撲。しばらくはノースローでアイシングを行い、治療に努めた。大会直前に復帰し、最速143キロを計測。上田は「まだストレートのコントロールは良くなく、完成度はまだまだ」と語ったが、180センチ81キロと恵まれた体格から投げ込むストレートは威力抜群で、大学生のような球威あるストレート。

 さらに2種類のスライダー、チェンジアップ、カーブも器用に操り、スケールと実戦力を兼ね備えた右腕で、同時期の柿木蓮大阪桐蔭)と比較しても変わりないレベルにあり、ドラフト候補として注目すべき投手ではないだろうか。

 次ページではドラフト候補として注目される野手について迫っていきたい。
 

[page_break:智辯和歌山・黒川、京都国際・上野、近江・有馬のパフォーマンスを振り返る]

智辯和歌山・黒川、京都国際・上野、近江・有馬のパフォーマンスを振り返る

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上野響平(京都国際)

 智辯和歌山黒川史陽は5打数2安打3打点の活躍。黒川といえば捻りを大きく入れる打撃フォームが特徴だったが、以前よりもトップが投手方向への傾けが小さくなり、それと同時に首の傾けが小さくなったことで、的確にボールを捉えるようになった。

 智辯学園戦では右投手、左投手から二塁打1本ずつ打っており、対応力の高さを発揮した。セカンドの守備を見ると以前より足運びは良くなり、セカンドらしさが出てきた。

 黒川はキャプテンシーが優れ、投手、内野手を声をかけながら、引っ張る様子が見られる。今年の高校生セカンドでは数少ない強打のセカンドなので、実戦で結果を残し、評価を高めていきたい。

 内野手では京都国際のショートストップ・上野響平は前評判通りの守備を披露した。
 深めに守っているので、三遊間の深い位置にも追いつけて、さらに踏ん張ってワンバウンスローやダイレクスローもできる肩の強さもある。捕球してから送球するまでの持ち替えも非常に速い。

 ポテンシャルは高いが、ポカが多いショートは見られるが、上野の場合、どの場面でも冷静に判断して守備ができているので、ミスがない。全国トップクラスのショートストップではないだろうか。

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有馬 諒(近江)

 身体能力の高さだけではなく、レポートでも紹介したようにグラウンドの特性を考えて守備ができるのが魅力。高いレベルの世界で活躍するには、身体能力の高さだけでは勝負できず、事前準備や対応力が必要になるが、上野にはそれが備わっている。

 本人が課題とするのは打撃。神戸国際大附戦で2安打を記録したが、アベレージヒッタータイプ。夏まで捉える打球に少しずつ力強さが出てくればもっと評価が上がる選手となるだろう。

 有馬諒近江)は捕手として力量が抜けており、イニング間のスローイングでは最速1.84秒で、常に1.90秒~2.00秒台を計測。二塁ベースに向かって、一直線に向かって伸びていくので、質が高い。

 リード面でも、3投手の持ち味を発揮しながら、配球を組み立てる様子が見られた。打撃面を振り返ると8回裏に二塁打を放ったが、これは低めに落ちるチェンジアップを捉えたもの。有馬は打撃の形がよく、スクエアスタンスで構える姿は力みがなく、腰が据わっていて、変に力が入っていないので構え遅れがない。

 また、両膝の使い方がよく、踏み込んだ時、膝がうまく「割れ」ができているので、体が突っ込まず、低めの変化球を捉えることができる。今年の高校生捕手では最も守れる捕手。打撃フォームも良いのでこのままいけば、高校生ナンバーワン捕手として評価される日もそう遠くないのではないだろうか。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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