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【千葉総括】注目のシード校、夏は躍進に期待がかかるノーシード校を徹底総括!

2019.05.13

 今年の春季千葉県大会は習志野の優勝で幕が閉じた。前回はベスト4に入った戦力を紹介したが、今回はシード校や注目のノーシードを紹介したい。

 盤石な野球を見せた習志野が優勝!Aシードを獲得した4チームを総括!

シードに入った成田、千葉明徳は選手のポテンシャル自体は県内上位

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最速140キロをマークした根本優輝(成田)

 ベスト8へ進出したチームを振り返ると、成田千葉明徳の2チームはポテンシャルが高く、しっかりと完成度を高めていけば、夏も上位進出が期待できるチーム。成田はエース・杉田翔夢が不調。その中、木更津総合戦で最速140キロを計測した根本優輝が台頭。またほかの投手陣も奮闘し、しっかりと穴埋めを行った。

 打線では強肩強打の捕手・古谷将也(2年)が木更津総合戦で篠木健太郎から2安打を記録するなど、好投手相手にも結果を残した。古谷と同学年の松本憲信は鋭いクリーンヒットは放つものの、昨秋ほどの大爆発は見られなかった。だが、この春は投手やセンターを務めたりと、潜在能力の高さは示した。

 ベスト8の千葉明徳は最速138キロサイド・山越健司、138キロ右腕・平 翔太郎、130キロを超える小栗 武尊山崎 貴斗と130キロ越えが4人もいる。

 県内でも上位レベルの投手陣であり、このまま伸びていけば、長丁場の千葉を勝ち抜くことができるだろう。そして打線もスラッガー・福井令央長嶋 悠人など打力が高い選手が揃い、選手のポテンシャルの高さは、ベスト4入りしたチームと比較しても負けていない。ただその能力をこの春は発揮できていない。この夏はすべての力を発揮できるのか。

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中央学院エース・畔柳舜

 東海大市原望洋習志野に12失点を喫し、コールド負け。右サイドの八木原諒を含め、投手陣全体の底上げが課題となるだろう。ベスト8入りした千葉学芸拓大紅陵、シードの暁星国際を破り、健闘を見せた。今年のチームは1、2年生の主力が多く、好投手・小芝 永久、名門・佐倉シニア出身でいきなり4番を打つ有薗 直輝などこの夏だけではなく、来年以降も期待が持てるチームだった。

 ベスト16入りしたチームを見ると、中央学院専大松戸横山陸人に抑えられる形となったが、好打者は多く、投手陣は135キロ前後を計測する畔柳舜、左腕・近藤直弘、1年生ながら好投を見せた細谷 怜央も130キロ台を超え、夏でも活躍に期待がかかる。例年、夏にかけて守備・走塁をきっちりと仕上げるチームだけに、シードとはいえ、どのブロックに入るか注目される。

 また木更津総合に接戦を演じた佐倉も楽しみなチームだ。エース左腕・齋藤 正貴が注目されるが、齋藤に頼らない投手づくりができたこと。地区予選・県大会を振り返っても齋藤が登板せずに勝利した試合もあったが、接戦を制することができたのは、チームスローガンである守備力を鍛え上げたこと。

 野球部訪問和田宗矩主将は「守備力が高くて、投手も良ければ失点は少なくなる。強い相手にもそれを発揮できれば、高いと思っていた差も、徐々に縮まって対等に戦えると思います」と語っていたが、この春の佐倉の戦いはまさにそれを体現したものだった。

[page_break:夏は脅威!ノーシードに回った実力校は?]

夏は脅威!ノーシードに回った実力校は?

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スライダーを得意とする綾部郁海(我孫子)

 ノーシードではシード入りがかかった2回戦で強豪と接戦を演じたチームに注目したい。その中で投打ともに実力のある選手が揃う市立船橋千葉明徳と4対7と接戦を演じており、投手陣の底上げがうまくいけば、上位進出していてもおかしくない。また、140キロを超える速球を投げ込む箱山優含め2年生レギュラーが多い日体大柏、コールド負けしたとはいえ、県内屈指の遊撃手・長岡秀樹大竹隼平など打力が高い打者を揃える八千代松陰は投手陣を底上げをしたい。

 惜しくも佐倉に敗れたが、東海大浦安は、東海大で長く助監督を務めてきた瀬戸康彦監督が就任し、立て直し中。毎年、潜在能力が高い選手を揃えるだけに、夏では公式戦で実力を発揮できるチームに仕立て上げたい。

 木更津総合に接戦を演じた市立柏は野手がタレント揃いで、スラッガータイプの3番・浦邉 悠揮、速球派にも強く、投手も兼任する頼れる主将・五十嵐 尉、強打の三塁手・深谷拓未、俊足巧打の外野手・倉島 京佑の4人は覚えておきたい。

 我孫子のエース・綾部郁海は最速139キロのストレートと縦横のスライダーを自在に操り、1回戦の柏南戦で13奪三振を記録。シード校としては嫌な投手ではないだろうか。さらに打力も高い。

 一発勝負の夏ということもあって、ノーシードに回った学校が上位に入っていてもおかしくない。まさかではなく、そういう可能性があってもおかしくないと思わせるチームが多いのが今年の千葉である。つまり、今夏も高校野球ファンの間で戦国千葉と叫ばれるのは間違いない。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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