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盤石な野球を見せた習志野が優勝!Aシードを獲得した4チームを総括!

2019.05.08

 4月27日から開幕した千葉県大会はセンバツ準優勝の習志野が見事、専大松戸を延長の末、破り、優勝を決めた。そんな千葉県大会を総括。まずは、夏のAシードが確定した4チームを総括していきたい。

試しながら勝つことを実践した習志野

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エース・飯塚脩人

 選抜出場チームの大会後の春季大会は難しい。本当は夏を向けて、いろんな選手を使って育てていきたいが、上位まで勝ち進めないとシードが得られない都道府県になると、どうしても勝つためのオーダーになる。またモチベーションも上げにくい。センバツ優勝の東邦は初戦敗退を喫し、ベスト4の明石商もベスト16で終わった。そんな中、習志野は見事に優勝を果たした。

 春季大会の習志野を見ると、「試しながら勝つ」という試合運びだった。まず投手。エース・飯塚 脩人は2試合登板、左腕・山内翔太は1試合登板にとどまった。そんな中、好投を続けたのが右腕の山本 慶都杉山 隆玄。2人ともストレートのスピードが130キロを超え、他チームではエースになっていてもおかしくない力量があり、夏へ向けて試合を経験できたのは大きいだろう。

 また打線もさらに力強さが増し、2年生の成長が著しい。高い守備力を誇る遊撃手・角田 勇斗が決勝戦で本塁打を放ち、また高橋雅也櫻井 亨佑の2年生も本塁打を放っており、昨秋はつないでつないでの点の取り方だったが、今年は一発長打も加わり、さらに決勝戦で決勝のセーフティバントを決めた小澤拓海のように土壇場で小技を絡めたりと、チームの完成度はさらに高まっている。

 また、1年生の小林風太は3回戦の翔凜戦で、5打数3安打1打点の活躍を見せるなど、新入生も順調に経験を積ませている。

 何もかも他チームを圧倒する野球はしないが、どんなに苦しんでも、最終的には勝つチームになっている。

投打ともに総合力の高さを示した専大松戸

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急成長を遂げた横山陸人

 準優勝の専大松戸は一冬かけてチームとして大きな成長を果たした。まずエース横山陸人は強打の中央学院戦では8回を投げ3失点、準決勝では木更津総合相手に1失点完投と、昨夏の甲子園出場チームを破る快投を見せた。

 最速143キロまで伸びた快速球は回転数が抜群で、120キロ台のスライダーも切れ味が鋭い。全国クラスのサイドハンドへ成長した。さらに140キロ台の速球を投げ込む右腕・杉田智也、キレの良い120キロ後半の速球を投げ込む小野樹一朗、2年生ながら習志野戦で5回2失点の好投を見せた西村卓真も切れの良い常時130キロ中盤の速球を投げ込んでおり、投手陣の層の厚さでは千葉県内でトップクラスだろう。

 打線では中央学院戦で4安打、習志野戦で本塁打を放った4番・丹呉響平。1.9秒台の強肩と巧打が光る捕手・間中堅を中心とした打線は強力で、また1年ながらスタメンを獲得した吉岡 道泰も楽しみな強打者だ。

[page_break:3位で関東大会出場もまだ手探りな木更津総合/攻守ともに安定感があった銚子商]

3位で関東大会出場もまだ手探りな木更津総合

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高い完成度を見せる篠木健太郎

 3位で関東大会に出場する木更津総合は投打ともに未知数。昨年は序盤から圧倒して、コールドに近い点差で突き放して逃げ切る野球ができた。

 今年は一発を打つ打者はほとんどおらず、まさに守り勝つ野球。かといって、現時点で強豪校相手にもしっかりと投げられる投手は最速146キロ右腕の篠木健太郎のみ。根本太一は調整が遅れ、常時130キロ台。昨秋から130キロ中盤の速球を投げ込んだ吉鶴翔瑛も悪くはないが、まだ強豪校に通用する内容ではない。夏までにコンディションを仕上げて臨むことが求められるだろう。

 篠木に関してはストレートの切れ、スピード、スライダーの切れ味、制球力の高さに関しては全国トップクラスで、中森俊介明石商)にひけをとらない投手ではないだろうか。ぜひ故障することなく、恵まれた素質を伸ばしてもらいたい。だからこそ根本、吉鶴、県大会で登板した四反田翔大熊谷 尚也の成長にも期待したい。

 打線は強肩強打の太田 翔梧など打力が高い選手は多くいるが、まだ木更津総合伝統の繋がったら止まらない打線になっていない。盗塁、狙い球の絞り込みなどいかに攻撃力を高めることが課題になる。

攻守ともに安定感があった銚子商

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打線のキーマン・古井敬人

 4位の銚子商は攻守ともにきっちりとした野球が光った。準々決勝の千葉明徳戦では130キロ台の投手が揃う千葉明徳投手陣を攻略し、準決勝の習志野戦でも2対3と接戦を演じた。関東代表決定戦の木更津総合戦でも11安打を記録するなど、しっかりと強豪校に対抗し、爪痕を残してくれた。

 個人では遊撃手の常世田翔太の守備は安定感があり、さらに広角に打てる打撃センスも光る。さらに4番古井敬人習志野戦で本塁打を放つなど、打撃技術の高さは県内トップクラスの強打者だった。

 投手陣では打力を備えた左腕・菅谷圭一郎、120キロ台の直球、キレのあるスライダーを投げる向後勇希、粘り強い投球が光る右腕・角田 大乘の3人は技巧派で、打者の弱点を突く投球が光った。

 Aシードとして夏を迎える銚子商だが、同じくAシードとして迎えた2013年は初戦敗退と悔しい結果に終わっている。夏まで全体を底上げして、隙の無い野球で勝ち上がりたい。

 続いてシードを獲得した学校、ノーシードに回った注目校を紹介していきたい。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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