福岡志免ボーイズが初優勝!ゼット旗争奪福岡大会を総括
今回は、5月3日から5日にかけて行われた第28回ゼット旗争奪福岡大会を振り返っていく。今大会は福岡県のチームだけに止まらず、南は鹿児島から西は大阪まで西日本の64チームが参加した。それでは早速、準決勝に進出した4チームを中心に振り返っていこう。
投手力の高さで優勝を掴んだ福岡志免ボーイズ
初優勝を飾った福岡志免ボーイズ
今大会で優勝に輝いたのは、福岡志免ボーイズだった。福岡志免ボーイズが、この大会で優勝するのは初であった。
優勝の原動力となったのは、背番号11を背負う刈谷信二郎だ。185センチの長身から投げ込む角度のある直球は、非常にキレがあり尚且つコントロールもいい。準決勝の小倉ボーイズとの試合では、6回を3失点にまとめる好投を見せ、決勝進出に大きく貢献した。
また、2年右腕の勝野侑晟(ゆうせい)もシブい働きを見せた。
3回戦と決勝では、相手の流れを断ち切る見事なリリーフを見せて、チームに勢いをもたらした。
1日7イニング以内、連続する2日間で10イニング以内など、細かな投球制限(詳細はこちら)があるボーイズリーグの戦いは、投手層の厚さがモノを言うが、福岡志免ボーイズの投手陣は総じてレベルが高かった。まさに投手力の差が勝負を分けたと言えるだろう。
準優勝に輝いたのは、西田川ボーイズだった。西田川ボーイズもまた、決勝まで進出したのは初であった。
チームを牽引したのは、3番の鍋藤連太郎と4番の福田将大。特に3番の鍋藤は、準決勝で5打点を挙げる活躍を見せて決勝進出に大きく貢献した。
準優勝に輝いた西田川ボーイズ
余談だが、準決勝と決勝には西田川ボーイズのOBであり、2014年の夏の甲子園で大阪桐蔭の一員として全国制覇を経験した大森聖也さんも応援に駆けつけた。
大森さんは、後輩たちの活躍に目を細めてエールを送った。
「昔はあまり勝てないチームでしたが、こういった大きな大会で勝ち上がれたことは、大きな経験だとと思います。この勢いのまま、夏も勝ち上がって欲しいと思います」
大森さんの存在は、選手たちにとっても大きな励みになるはずだ。西田川ボーイズの夏の躍進にも期待したい。
チーム力の高さを見せた福岡ボーイズと小倉ボーイズ
福岡ボーイズの4番を務める落合真洋
惜しくも準決勝で敗れたのは、福岡ボーイズと小倉ボーイズの2チーム。
福岡ボーイズは、4番で捕手の落合真洋を中心に高い総合力を有していたが、ここぞという場面でのミスが響いて西田川ボーイズに逆転負けを喫した。
福岡ボーイズの矢野文夫監督もミスからの失点を課題に挙げ、ここから夏に向けてもう一度守備力を鍛え直していくことになりそうだ。
その一方で収穫もある。この大会を通じて主戦である小串裕毅の成長は、大きな収穫となっただろう。
打線は、準決勝までの4試合で46点を挙げるほどの爆発力を持っているので、夏は投打が噛み合った姿を見せていきたい。
小倉ボーイズも、投打の中心選手である小畑宏登を軸に、非常にまとまりのあるチームであった。
準決勝までの4試合のうち2試合で完封勝利するなど、投手力と守備力に堅実さがあったが、準決勝では福岡志免ボーイズの総合力の高さに力負けした形となった。
投打の中心を担う小畑宏登(小倉ボーイズ)
中尾浩一監督はこの大会を通して、「一本欲しい場面でのヒットが出た」ことを収穫に挙げた。夏までに、さらなる打撃力の向上を計り、夏には力負けしないチームを作っていきたいところだ。
準決勝進出チーム以外では、前年度王者の八幡南ボーイズを紹介したい。
「経験のある選手が少ない中でのスタートだった」と語る徳野晴美監督であったが、2番・飯田莉空や3番・一ノ瀬颯、4番・河村恵太からなる打線は非常に繋がりがあり、準々決勝では一時、優勝した福岡志免ボーイズを4点差まで引き離す場面も見られた。
経験のある選手は抜けても、「勝つ遺伝子」は脈々と受け継がれている。八幡南ボーイズの試合巧者ぶりには目を見張るものがあった。夏の戦いぶりにも注目だ。
ボーイズリーグの選手たちは、ここから夏の全国大会に向けてチームを仕上げていくことになる。この大会で出た課題や、掴んだ手応えを糧にして、中学野球の集大成を見せていきたい。
文=栗崎 祐太朗