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今年の神奈川は東海大相模が「横綱相撲」で頭一つ抜ける!上位進出チームの課題は?

2019.05.01

 4月28日に決勝が行われた春季神奈川県大会は、東海大相模桐光学園を6対2で破り、2年ぶり11度目の優勝を飾って幕を閉じた。
 選抜甲子園に出場した横浜桐蔭学園の2校はいずれも決勝に進出することが出来ず、今年も激戦の様相を見せる神奈川県。今回は春季神奈川県大会を振り返っていき、夏に向けた展望や課題にも触れていきたいと思う。

高いチーム力の東海大相模と伸び盛りの桐光学園が関東切符

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2年ぶり11回目の優勝を飾った東海大相模

 9試合で21本塁打。
これが2年ぶりの優勝を飾った東海大相模の本塁打数だ。9試合で107得点と圧倒的な打撃力を土台に勝ち上がった。高校通算37本塁打・遠藤成、4回戦で本塁打を放った西川僚祐、5本塁打を記録した山村崇嘉といった強打者が主軸に座り、その周りにも鵜沼魁斗金城飛龍加藤響などの実力者が並ぶ打線は、神奈川県内では完全に頭一つ抜けたと存在となった。
 東海大相模打線の凄さは長打力だけでは語り切れない。東海大相模の打者は簡単にアウトにならないこと。まずボールの見極めが優れ、ボール球に手を出さないし、そしてファールでも粘れる。いったん抑えられているように見えても球数を投げさせ、終盤で一気に畳みかける打撃は脅威だ。

 また投手陣も、背番号1の紫藤大輝と昨年の選抜甲子園を経験した野口裕斗の二人が抜群の安定感を見せた。6試合での失点は僅かに6点と、大崩れすることがなくしっかりとゲームメイクできるところに両投手の良さがある。また、好投を見せた富重 英二郎諸隈 惟大の左腕の活躍も見逃せない。
 投打がガッチリと噛み合った東海大相模が、関東大会でも「横綱相撲」を見せることに期待したい。

 2年連続で決勝に進出した桐光学園は、2年生の安達壮汰が投打でチームを牽引した。
 力のある直球とスライダーを操り、総合力の高さが持ち味である安達は、今大会では主戦としてマウンドに立ち続け、今や桐光学園の「エース」と呼べる存在にまでに成長した。

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投打でチームを牽引した安達壮汰(桐光学園)

 また打線でも4番を務め、自慢の長打力を随所で披露。安達が4番に座ることで打線が形となり、得点力が大幅に向上したことも、この春の快進撃の要因と言っていい。
 2番の鈴木智也や5番の唐橋悠太など、安達以外の選手も状態が上向きであり、今まさに伸び盛りのチームである桐光学園が、関東大会でどんな戦いを見せるか注目だ。

 そんな桐光学園に準決勝で逆転負けを喫した横浜は、この春季大会と選抜甲子園で課題がより浮き彫りとなった。
 チームの中心選手である、渡会隆輝内海貴斗は好調を維持している一方で、その後を打つ選手に繋がりがないところが不安材料となってる。

 また投手陣も、ドラフト候補の及川雅貴の状態が未だに芳しくないところが気になる。この春に主戦を務めた2年生右腕の木下幹也の成長や、準々決勝で8回まで1安打無失点の好投を見せた松本隆之介が成長を見せたのは明るい材料だが、後に続く投手がいないのが現状だ。
 及川の状態も含めて、夏までにどれだけ戦力の上積みができるかが鍵を握っている。

[page_break:粘りの野球とエース・作野の復活で夏も期待が高まる鎌倉学園]

粘りの野球とエース・作野の復活で夏も期待が高まる鎌倉学園

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準決勝で春季大会初先発して好投を見せた作野友哉(鎌倉学園)

 鎌倉学園は、昨年に続いての準決勝進出となった。昨年は高い打撃力を持ち味としていた鎌倉学園だったが、今年は準々決勝までの6試合のうち5試合が1点差ゲームであるなど、粘って粘って最後に勝ち越すという戦い方でベスト4進出となった。

 準々決勝までは、背番号11の本多康二朗と背番号3の川瀬一毅が主戦を担っていたが、準決勝での東海大相模戦では、準決勝まで登板のなかったエース・作野友哉が先発。ドラフト候補の遠藤成にスリーランホームランこそ浴びたものの、強打の東海大相模打線を4失点にまとめる好投を見せた。
 本多と川瀬の成長に加えて、作野の投球が強打の東海大相模打線にも通用すると分かったことは大きな収穫と言える。この収穫を夏にしっかり活かして、昨年はあと一歩のところで届かなかった甲子園出場に向けた足掛かりにしていきたい。

 ベスト4以外のチームでは、久しぶりにベスト8まで進出した向上が存在感を見せた。原動力になったのは、エースの松村青だ。時折、投球が荒れるところは気になるが、ボールの強さには目を見張るものがあり、ベスト8に進出したことも大きく頷ける投手だ。
 ここから夏までに、どれだけの成長を見せるのか注目だ。また、上位打線を中心に巧打者が揃い、さらに機動力を絡めた攻撃は脅威だ。

 また3回戦で慶應義塾を破り、今大会のダークホースとなった藤沢清流も面白い。
 チームの中心を担うのは、4番の小田嶋優だ。4回戦の麻溝台戦では、[stadium]サーティフォー保土ヶ谷球場[/stadium]の右中間スタンド最深部に突き刺さる特大のツーランホームランを放ち、リリーフとしても力強い投球を見せた。夏までに戦力の底上げを図り、夏は「ダークホース」ではなく、「注目校」と言えるチームに仕上げて欲しい。

 弥栄はエースの河野翔英横浜相手に2失点の好投を見せた。また、準々決勝まで戸塚湘南工大附を破り、勝ち上がった試合運びは見事だった。

 今年はフレッシュなチームのシード入りや秋のシード校や多くの強豪校が敗れ、ノーシードに回ったことも見逃せない点である。そのトピックスについては後編で紹介したい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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