県勢初優勝を狙う逆転の習志野か?平成最初と最後の王者を狙う東邦か?いざ激突!
第91回選抜高等学校大会は決勝を迎えた。決勝戦のカードは、千葉県勢初の優勝を狙う習志野と平成最初と平成最後の王者を狙う東邦との対決となった。今回はチームの軌跡や強み、そして試合予想をしていきたい。
栄冠をつかむのは?写真:共同通信
【決勝に勝ち進んだチームの軌跡・今年のチームの強み】
3試合連続逆転勝利の習志野。逆転勝利ができるのは、これまでの経験値が生きている。昨秋の千葉県1回戦・拓大紅陵と対戦し、2回戦の市立柏では9回まで、0対1で負けていたが逆転に成功。さらに関東大会では桐生第一戦で延長14回に及ぶ熱戦を繰り広げてきた。習志野はそういう戦いを血肉にしてきた。
また選抜に入っても安定した戦いを見せてきた。小林徹監督は「今年の選手たちは、粘り強いですが、その粘り強さは選手たちが大人なところがありますし、私が選手たちに伝えているのは『自分の弱みを理解していることは強い』と。それを理解した上で、何ができるか実行できる選手が多い」と評するように、選手たちに聞くと、落ち着いている。
この驚異的な粘り強さを発揮しているのは、小林監督が選手たちに「一戦一戦を全力で戦い抜く」ことを求めているようだ。
「目の前の試合を全力で戦って、すべて力を出し切って何も残らないぐらいやってみようと。でも実際にやってみたら、何倍も返ってきて自分たちの力になっているよ」
その言葉通り、習志野は戦っていくごとに強さが増した。優勝まであと1つに迫ったが、「ここまで勝ち上がったのが本当に信じられないと思っています。私が欲を出して、子供たちに負担をかけてもいけないですし、これまで習志野で夏の甲子園優勝に導いた石井先生でさえも成し遂げていない選抜優勝です。それを私がいうのはおこがましいだと思っています。今まで通りの戦いをしていきたい」とこれまで通りの戦いをすることを強調した。
一方、東邦。平成元年、コーチとして優勝を見守った森田監督は「優勝を目指してやってきた」と優勝を標準に取り組んできた。両監督のスタンスは対照的だ。森田監督は「失敗することが大事」というように、これまで出場した甲子園での戦いを今に生かしてきた。昨年の選抜では花巻東の軟投派左腕・田中大樹に抑え込まれたことを反省し、今では打撃練習で、いろんなタイプの投手を打撃練習として登板させ、対応力を磨き、また球速・球種を設定できる最新鋭のAIのマシーンを使い、打撃練習をさせてきた。
その結果、今年は東海大会優勝へつなげた。センバツでは1回戦の富岡西戦では硬さが見られたが、無事に初戦突破を果たすと、森田監督は「1回戦を勝てば、本来の力を発揮できるので」とその言葉通り、広島広陵、筑陽学園と神宮大会出場チームに大勝し、大会を勝ち進むごとに優勝候補に見られていた明石商を破り、決勝進出を果たした。森田監督は「今年のチームは技量だけでいえば例年以下ですが、ただ自分の能力を試合で発揮できる力は例年以上です」と実戦向きの選手が多いと語る。
お互い粘り強さを発揮できるチーム。終盤に強いなど共通点は多い。
【試合予想】
習志野は総力戦を仕掛けることになるだろう。技巧派左腕・山内翔太の投球術は東邦打線を苦しめそう。ここまで20回を投げて、1失点の147キロ右腕・飯塚 脩人は安定感抜群。また右アンダースロー・岩沢 知幸の投入のポイントも鍵となりそうだ。
打線は上り調子で、本塁打を放った4番・櫻井 享佑、また準決勝から復帰した根本翔吾は相手のスキを突く走塁は見事で、東邦バッテリー、守備陣を苦しめる武器は持っている。打撃好調の兼子も下位に座っており、気が抜けない打線だろう。
東邦打線は下位打線でも強いスイングができる選手が多く、どこからでも一発が出る怖さがある。ただ気がかりなのが石川 昂弥の打撃の調子を落としていること。森田監督は「今年は石川のチーム」というように石川が打つと一気に乗る。だからこそ、習志野は全力で抑えたいところで、石川はこれまでの試合とは違う姿を見せ、前評判通りの力を発揮してほしい。
試合展開は習志野が逆転力を発揮する展開になるのか。それとも東邦が石川を中心に爆発力を発揮する展開になるのか。