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星稜vs履正社、広陵vs八戸学院光星と激戦ばかり!勝負のポイントは?

2019.03.15

 2019年 第91回選抜高等学校野球大会の組み合わせが決まった。今回は開幕戦から全出場校が登場する大会8日目までの見どころを紹介したい。

優勝候補同士が開幕日で実現!横浜の及川は成長を見せているか?

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大注目の星稜vs履正社

 まず大会注目度ナンバーワン・星稜。出場校の主将の多くが星稜を優勝候補に挙げている。その理由として、絶対的なエース・奥川恭伸と上位下位と切れ目のない打線だろう。

 奥川は昨秋の公式戦60.1回を投げ、82奪三振、四死球5、防御率0.60と隙の無いピッチング内容。春先の練習試合でも140キロ後半の速球を投げ込んでおり、順調な仕上がり。打線は「強化課題」としてとらえた星稜は、練習試合でも多くの当たりを見せている。

 そんな初戦の相手は履正社に決まった。履正社はエース・清水大成は最速145キロの速球、キレのあるスライダーで勝負する本格派左腕で、左打者が多く、捻る動作が見られる打者が多い星稜にとっては苦戦しやすい投手。
 打線は長距離砲・井上広大小深田大地などチーム本塁打は11本と満遍なく打ちまくっている。初見の奥川はかなり苦労しそうだが、慣れてくると、自慢の長打力が牙をむく可能性は大いにあるだろう。

 試合展開としては両エースの持ち味が発揮できれば投手戦。お互い能力が高い打者がいるので、試合は一発で決まる可能性がある。

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左から沼田仁、村田賢一、香川卓摩 投手

 まず開幕戦は市立呉市立和歌山と市立勢の対決。市立呉は2017年に続き、開幕戦での登場となった。市立呉はエース・沼田仁を中心に粘り強く、勝ち上がるチーム。市立和歌山はチーム打率.326を記録している強打のチームで、さらに守備力も高い選手が多く、近畿6枠目ながら、実力は侮れない。

 久々の選抜出場で、初日の第2試合に登場する春日部共栄はエース・村田賢一が中心の好チーム。最速146キロの速球、スライダー、スプリット、カーブを制球力投げ分け攻めが多彩。また強肩捕手・石崎聖太郎のリードにも注目だ。

 対する高松商はテクニックが長けた香川 卓摩の投球術は全国の舞台でも発揮できるか。エンドラン、セーフティスクイズと小技を駆使して、村田を攻略していきたい。

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成長が楽しみな及川雅貴投手

 習志野は、大会2日目第1試合に登場する。習志野は小林徹監督が完投できる投手はいないと語るようにセンバツでも継投策が予想されそう。
 テクニックが長けた左腕・山内翔太、145キロ右腕・飯塚 脩人の継投リレーを確立させたい。打線は昨秋は新2年生を迎える打者たちの勢いある打撃が目立った。速球への対応力を磨き、古豪復活をアピールしたい。

 対する日章学園は好捕手・深草 駿哉、4番サード・平野 大和と打力が高い選手が多く揃っている。投手力に若干の不安があるだけに打力でカバーしていきたい。

 注目の及川雅貴擁する横浜明豊との対戦が決まった。
 及川は昨秋、制球難から自分のピッチングができず打ち込まれた場面があったが、150キロ前後の速球、130キロ前半のスライダーの精度はプロの左投手とひけをとらないものがあるだけに、この2つ以外の武器を見出したい。

 ただ明豊はチーム打率.375を誇り、140キロ以上の投手を3人揃える好チームでもある。及川を打ち崩すミート力、選球眼の高さはあるチームで、及川は明豊のしぶとさに耐えることができるか?

[page_break:広陵vs八戸学院光星などトーナメントの右側も面白いカードばかり]

広陵vs八戸学院光星などトーナメントの右側も面白いカードばかり

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左から水谷祥平、西原健太、野村健太

 理論的に突き詰め打撃強化してきた米子東は秋の神宮王者の札幌大谷と対戦。札幌大谷はエース・西原健太、魅惑のサイド・太田流星が昨秋から進化した姿を見せられるか。

 大会3日目は津田学園vs龍谷大平安の対決も好カード。津田学園の好投手・前 佑囲斗は最速147キロを誇る本格派右腕。対する龍谷大平安は打率.447、2本塁打、13打点を記録した水谷 祥平を中心に巧打者が並び、さらに守備も堅実。前が前評判通りのピッチングを発揮できれば、好試合が期待できそうだ。

 昨秋の県大会で佐々木朗希を攻略し、一冬かけて打線がさらにパワーアップした盛岡大附は好投手・岩本大地と対戦。最速147キロの速球以外に磨きをかける岩本にとって自分の現状の能力を図るには良い相手だといえる。

 ここからトーナメントだと、右側のブロックとなる。山梨学院vs札幌第一は両校ともに小倉清一郎氏の指導を受け伸びてきたチーム。山梨学院野村健太札幌第一村田凛とスラッガーがいて、投手力に不安がある点も似ている。打ち合いが予想される試合になるのではないだろうか。

 上位下位と切れ目ない打線とエース・西雄大、145キロまで球速を伸ばした大型右腕・西舘昂汰と総合力が高い筑陽学園と投球術がうまい小橋 翔大を中心にセンターラインの守りが固い福知山成美の一戦も緊張感のある戦いが期待できそうだ。

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注目カード 広陵vs八戸学院光星

 トーナメント右側ブロックで最も好カードといえるのが広島広陵vs八戸学院光星の一戦。広島広陵は投手陣の柱・河野佳石原勇輝森勝哉がどれだけ伸びているか。また巧打者・宗山 塁など巧打者が並ぶ打線も侮れない。

 ただ対する八戸学院光星はプロ注目のショートストップ・武岡 龍世に注目が集まるが、下位打線にも一発長打が打てる打者が並び、さらに内野守備も堅い。好投手を攻略する力は両チームとも備わっているので、5,6点勝負が予想される。

 東邦は、7本塁打、24打点、打率.474と圧巻の打撃を見せる石川昂弥、打率.435、1本塁打、25打点の熊田任洋の2人が軸。石川以外の投手として、チーム内でキーマンに挙げられていた左腕・植田 結喜が成長した姿を見せられるか。
 対する富岡西は攻守のキーマン・浮橋幸太や打率.667を記録した主将・坂本 賢弥を中心に巧打者たちが切り込んでいきたい。

 明石商宮口大地中森俊介の2枚看板は強力で、打線も新2年生スラッガー・来田涼斗、強打と巧打を兼ね備えた水上 桂と能力が高い打者が揃え、攻めのバリエーションが多彩で守備も堅い。
 10年ぶりの出場の国士舘は継投策で逃げきり打線は黒澤 孟朗冨田 洋佑黒川麟太郎を中心に集中打で攻略していきたい。

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智辯和歌山と桐蔭学園にも注目!

 松山聖陵はプロ注目と呼べるほどの好投手はいないが、188センチの根本大蓮、140キロ前後の速球を投げ込む平安山 陽(へいざん)など投手陣の層は厚く、打線は大型打者・大村 侑希など、チーム打率.336、公式戦9試合で12盗塁と攻撃力も高いチーム。
 対する大分は優れたキャッチング技術とインサイドワークで投手を盛り立てる江川侑斗、アベレージヒッター・中尾拓士など巧打者が揃い、守備力も高く、接戦が期待できそうだ。

 初出場の啓新は、140キロ右腕・安積 航大、技巧派サイド・浦松 巧の2人が軸。しぶとい打線で着実に点を重ねたい。対する桐蔭学園は主将・森敬斗は4本塁打、18打点を記録した強打の遊撃手。神宮大会で浮き彫りとなった投手力、細かな連携プレーを克服し、復活した姿を示したい。

 智辯和歌山は昨秋の練習試合を含めた38試合で13本塁打と強肩強打の捕手として評価を挙げつつある東妻 純平、今大会屈指の大型セカンド・黒川史陽など強打者が並ぶ。今年も昨年同様、投手力に不安を抱えており、打ち勝つ野球となりそうだ。
 対する熊本西はエース・霜上幸太郎が秋季大会で見せた粘り強いピッチングを発揮していきたい。打線では4番の堺佑太が鍵となりそうだ。

 初日から大会8日目まで白熱とした試合が期待できる選抜大会。ぜひ最後まで展開が読めない熱い戦いが多く出てくることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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