センバツ出場・富岡西に迫るのはどこだ?波乱が巻き起こりそうな春季大会!
3月21日(木・祝)に徳島県鳴門市の[stadium]オロナミンC球場[/stadium]で開幕。センバツ出場の富岡西を除く29校28チーム(連合チームは阿波西・吉野川)が参加し、3月31日(日)に<雨天順延>同じく[stadium]オロナミンC球場[/stadium]で行われる決勝戦まで徳島県阿南市の[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]との2会場で計27試合が開催される「第72回徳島県高等学校野球春季大会」。
今回は2月16日(土)に行われた組み合わせ抽選会の結果を反映し、7月中旬から下旬まで開催予定の第101回全国高等学校野球選手権徳島大会への流れを含め、大会を展望していきたい。
夏の徳島大会シード権をかけて
鳴門復権の期待を担う主砲・浦 和博(新3年・左翼手)
大会展望の前にまずは、秋の県大会・四国大会が対象となり、上位4校に権利が与えられる「第101回全国高等学校野球選手権徳島大会」シード校ポイント順位を整理しておこう。
川島 5ポイント
徳島商・富岡西 5ポイント
徳島池田 3ポイント
城東・5623・鳴門・鳴門渦潮 2ポイント
ただし、センバツ21世紀枠出場の富岡西については今大会は5月3日(金・祝)から3日間、愛媛県松山市の[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]で開催される春季四国地区高等学校野球大会の出場校順位を決めるべく、4月13日(土)10時から[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催される「チャレンジマッチ」のみ出場。
よって、春のポイントは優勝校と同じく「5ポイント」が付与され計10ポイント以上が確定。もしチャレンジマッチ敗戦・四国大会初戦敗退となったとしても、現在2ポイントの4校が春季四国大会優勝、ないしチャレンジマッチを制したうえで春季四国大会決勝進出しない限り、夏の徳島大会シード獲得が決まる。
すなわち実質的にはシード校の椅子は残り3枠。逆に言えば、現時点で1ポイント以下の各校も川島・徳島商・徳島池田・4校抽選の結果で鳴門渦潮の4校に決まった今大会シードをはじめ、ポイント上位校を下せば、一気に夏の甲子園への視界が開けてくることになる。
では、ここからは各ブロックごとに展望を加えていこう。
各ブロックとも波乱の要素十分
四国1年生最速の140キロを秋季徳島県大会で出した徳島北・河野 勇真
<第1シード・川島ゾーン>
「今年はこれまでと違ってマシンを使った打撃練習にも取り組んできました。打力を付けて秋とは違う戦いをしたい」
四国選抜オーストラリア遠征も経験した主将・森本 迅(3年・遊撃手・右投右打・177センチ74キロ・上板町立上板中出身)がこう語るように、川島は秋の初戦冠からさらなる積み上げを期している。が、初戦の相手は阿南高専と最速140キロ2年生右腕・河野 勇真(174センチ70キロ・徳島藍住リトルシニア出身)ら、個々の能力が高い徳島北との勝者。大胆かつ細心な試合運びが要求される。
<第4シード・鳴門渦潮ゾーン>
「冬場に一日700本以上振ってきたし、有持 泰成(3年・投手・177センチ74キロ・右投右打・徳島東リトルシニア出身)が四国選抜オーストラリア遠征から持ち帰ってきた強く・大きく振ることを活かしたいですね」と、意気込むのは鳴門渦潮の主将・奥 和也(3年・三塁手・176センチ76キロ・右投右打・大阪ニューヤング<大阪>出身)だ。
対抗馬は昨年8月に中央ブロックA新人大会を制した城東や、潜在能力のある板野・小松島西あたりになるが、鳴門渦潮の優位は動かなさそうである。
ベースランニング13秒78・遠投116.73メートルの身体能力を誇る徳島商・石上 泰輝(新3年・二塁手)
<第2シード・徳島商ゾーン>
四国選抜オーストラリア遠征で投打に存在感を発揮した村田 龍哉(3年・投手・178センチ83キロ・徳島松南ヤング出身)と、昨年11月の第10回徳島県高等学校野球体力・技術研修会でベースランニング13秒78・遠投116メートル73の驚異的身体能力を見せ付けた石上 泰輝(3年・二塁手・172センチ68キロ・右投左打・鳴門市第一中出身)など、能力的には徳島商が一歩リード。
しかし、昨秋県ベスト8の5623を筆頭に、秋のリベンジに燃える生光学園、潜在能力のある阿波、徳島城北も徳島商の牙城を崩しにかかる。
[page_break:最激戦区と春から夏への徳島県球児の成長に期待]最激戦区と春から夏への徳島県球児の成長に期待
池田の最速140キロ右腕・白川 恵翔(新3年)
<第3シード・池田ゾーン>
「白川 恵翔(3年・投手・179センチ85キロ・右投右打・美馬市立江原中出身)は甲子園へのチャンスがあと1回になってきたことで顔つきが変わってきたし、小角 翼(3年主将・捕手・178センチ87キロ・右投右打・東みよし町立三好中出身)も四国選抜オーストラリア遠征でレベルの高い選手と触れて取り組みが変わった」と話すのは井上 力監督。待ち望んでいた競争意識の発露により、徳島池田には上位進出への機運が整った。
その反面、このゾーンが最激戦区であることも事実。富岡西・小川 浩監督も投手陣に高い警戒感を示す徳島城南と爆発力のある小松島は初戦で対戦。そして、冬に入り最速144キロまで球速を伸ばしてきた徳島科学技術の右腕・近藤 駿(3年・180センチ86キロ・右投右打・徳島松南ヤング出身)と、主将の塩唐松 宏将(3年・一塁手・170センチ71キロ・右投右打・ヤング淡路<兵庫>出身)いわく「走り込みなどでメンタル面を鍛えてきたし、スイングもしっかりしていい投手を打ち崩す準備を整えてきた」ディフェンディングチャンピオン・鳴門打線との対決は、夏までの勢力図を占う上でも大注目の一戦だ。
最速144キロまで球速を伸ばしている徳島科学技術・近藤 駿(新3年)
なお、徳島県勢はこの大会前後にも強豪校との対戦が多数組まれている。大会前には毎年恒例となった[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]での北信越地区センバツ代表校合宿中交流戦。今年は3月9日(土)に鳴門が高知中央(高知)と共に、10日(日)には川島、阿南高専、11日(月)には生光学園、徳島池田が啓新(福井)の胸を借りることに。また、大会後にもこれも恒例の鳴門市2校親善試合が5月18日(土)には智辯学園(奈良)、19日(日)には敦賀気比(福井)を招き鳴門、鳴門渦潮との間で[stadium]オロナミンC球場[/stadium]で開催される。
そして5月31日(金)から6月3日(月)まで西部、中央A・B、南部の4ブロックに分かれ開催される「総体協賛ブロック大会」を経て、7月中旬開幕の夏へ入っていく徳島県高校球児。今大会の情勢ももちろんだが、春から夏にかけての彼らの成長にもぜひ注目してもらいたい。
(文=寺下 友徳)