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シード校も油断大敵!沖縄は春から熱戦の予感

2019.03.05

 第66回沖縄県高校野球春季大会の抽選会が19日行われ、昨年秋季大会優勝の沖縄水産、準優勝の興南、ベスト4の沖縄尚学嘉手納がシードとなった。九州地区高校野球大会への出場も懸かる頂点を目指す戦いが始まろうとしている。

 では、シード校のブロック毎に見ていこう。

【Aブロック】総合力の沖縄水産

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昨秋の優勝投手・上原一帆投手(沖縄水産)

 昨年秋の決勝。最強興南を見事打ち破り王座に就いた沖縄水産が第1シード。準決勝の沖縄尚学戦でノーヒットノーランを達成した右腕國吉吹と、興南打線を封じ優勝投手となった左腕上原一帆の二枚看板が万全。

 打線も上原大那川端琉一朗真栄城徳二郎三木健正平安常人金良涼介とどこからでも得点に絡むことが出来る。近年では稀に見るハイレベルなバランスを誇り、他校にとって倒すのは容易ではない。そう言い切れるくらい、今の沖縄水産は抜きん出ていると言えるだろう。

 このブロックに昨年秋のベスト8組である普天間具志川商が入った。普天間は身体能力の高さを競技会で見せつけた三家本凱士が打線を引っ張る。右の山城奨互、左の具志堅泰地の投手陣と各打者の底上げがあれば、王者を飲み込むことも可能だろう。

 具志川商は秋に成長した右腕横田健人に加え、出遅れていた左腕のエース新垣瑠依が復活してくることは他校の脅威。打線も1番の亀山から4番伊佐まで気が抜けず、下位も粘り強い。

 このブロックには更に試合巧者の美来工科那覇が絡み合う。組み合わせでは北谷小禄具志川宜野座が好カード。勝者はここで波に乗り、一気に上位進出と行きたい。

【Bブロック】攻撃野球の嘉手納に注目

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嘉手納・平 典士

 2016年夏の優勝からチームカラーとなった強打で、1回戦からの4試合32得点を奪い秋ベスト4入りした嘉手納がシードのBブロック。野球部対抗競技会で遠投1位となった親川泰誠を始め、平典士石川銀嘉手納高BIG3の存在が大きい。興南宮城大弥の前に屈した試合をバネが、彼らをどこまで成長させているのかが非常に楽しみだ。

 ここに秋ベスト8の宜野湾が入る。2、3回戦連続完封の好投手新里一希は計算出来るだけに、2番手の成長と打線の底上げ次第で嘉手納に十分対抗出来るだろう。チームワークと粘りの読谷も侮れない。好カードは浦添工那覇商。新人優勝投手の左腕伊藤光vs経験豊富な永山和輝の投手戦となるか。

 ダークホースは沖縄工。野球部対抗競技会の塁間継投において、興南よりもいいタイムを叩き出し見事1位となった。ウェイトトレーニングで鍛え上げたパワーと、自信になった守りで、この世代の一年生大会3位となった自信を取り戻すか。

[page_break:【Cブロック】タレント揃う興南が一歩リード/【Dブロック】巻き返しを狙う沖縄尚学を追いかけるライバルたち]

【Cブロック】タレント揃う興南が一歩リード

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世代でもトップクラス左腕・宮城大弥投手

 1年生の夏、2年生の夏と全て頂点に立った最強左腕宮城大弥興南が第2シードとして入る。秋の九州地区高校野球大会でも、2試合連続で快投を見せつけた宮城に死角はなく、他校にとっては1点取れるかどうかが正直なところだろう。バッテリーを組む遠矢大雅、二遊間コンビであり、上位打線としても絡み合う根路銘太希勝連大稀のセンターラインがしっかりしているのも強み。

 嘉数堅金城英佑西江悠西里颯(新2年生)らセンス溢れる選手らが脇を固める。そのバランスは沖縄水産と並び筆頭格、横綱級だ。

 秋、読谷戦で好投した金城大空を中心にベスト8へ進出した南風原に、復活を期す浦添商がぶつかるカードは見もの。この勝者が興南と当たるだけに勝って勢いをつけたい。

 隣の組では西原が一歩リード。1、2回戦をしっかり勝って3回戦にのぞみたい。反対側では八重山農林コザ那覇工豊見城南がそれぞれ2回戦でぶつかる可能性が高いだろう。ベスト8へ進出し、挑戦権を得るのがどこになるのか。楽しみだ。

【Dブロック】巻き返しを狙う沖縄尚学を追いかけるライバルたち

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沖縄尚学・比嘉大智投手

 秋の西原戦で3安打3打点1ホームランをマーク。比嘉監督をして、ここ近年ではナンバーワン打者と言わしめる水谷留佳率いる沖縄尚学がシード。秋は沖縄水産國吉の前に、これ以上無いほどの屈辱を味わった名門が黙っているわけがない。

 奥原海斗與谷友希(新2年生)の中軸に小禄戦で4安打3打点をマークしたトップの吉里和己ら打線の破壊力は抜群。秋の5試合中3試合で二桁得点を重ねた打棒がさらに威力を増した金棒となるか。マウンドを預かる仲村渠春悟比嘉大智の左右両輪も安定感がある。

 その沖縄尚学とぶつかるのが沖縄カトリック。2年前に新設した野球部に集まった金城来南富盛勇人宮良龍一久松優介ら主力メンバー。当時1年生ながら、相手校の3年生を相手に培ってきた経験値を発揮する最終年となる。名門を倒し、一気に駆け上がりたい。

 この世代の一年生大会で準優勝した北山。その決勝の相手が沖縄尚学だった。対する本部も好チームなだけに、北山ナインの力が問われる一戦となる。金城和尋金城洸汰ら投手陣と恵まれた体格の仲村周真らが今一度奮い立ち、まずは初戦を勝って、挑戦権を手に入れたい。

 秋の1回戦で沖縄尚学に敗れた糸満もこのブロックへ。野球部対抗競技会で興南に次ぐ2位の糸満。前チームから経験を積む兼城陽、川満剛らがこの冬でどこまでグレードアップしたか。北山同様、沖縄尚学に対するリベンジに燃えるチームだ。

 このブロックでは好カードも続出。首里東知念未来沖縄名護首里–沖縄宮古はどちらが勝つか予想がつかない。ここに、毎年のように一冬越して技術体力を大幅にアップさせて春夏に旋風を巻き起こす美里工が入った。右腕上間玲於(新2年生)のピッチングにも注目が集まる。

 沖縄尚学と言えど余談は許さないのがこのブロック。一番の激戦区から抜け出すのはどこのチームか。

(文=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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