2019年は戦力充実の東海大菅生がリード!日大三、帝京は捲土重来なるか?【東京都大会抽選前展望】
今年も高校野球のシーズンが近づいてきた。東京では、3月2日に春季大会の組み合わせが決まる。どこのチームが春季大会で結果を残し夏へと自信をつけていくのか非常に楽しみな大会だ。今回は春季大会注目校、注目選手について紹介する。
戦力の充実が際立つ東海大菅生
左から杉崎成、小山翔暉、中村晃太朗、成瀬脩人選手
まず気になるのが、国士舘のセンバツでの戦いだ。新年早々4番の黒澤孟朗が骨折し、スタメンが微妙になるなど、悪材料もある。しかし永田昌弘監督は、1993年のセンバツでは前評判が低くても準決勝に進出した。ベテラン監督の手腕と、選手の成長を期待したい。
秋季都大会の決勝戦で敗れセンバツ出場を逃したものの、東海大菅生は出場していれば上位に入る力は十分あった。
昨年末に行われた東京代表のキューバ遠征には、中村晃太朗、小山翔暉、成瀬脩人の3人が選ばれた。中村晃は、球速は140キロに達しないものの、球威はあり、変化球も多彩だ。
捕手の小山は、動作が素早く強肩。3敗1分けで迎えたキューバ遠征の最終戦では、決勝の2ランを放ち、東京代表に貴重な1勝をもたらした。外見が大阪桐蔭からロッテに入った藤原恭大に似ている成瀬は、守備範囲が広く、長打力のある遊撃手だ。小山も成瀬も、年末まで木製バットを使っていたので、打撃の正確さが増した。
東京代表に選ばれなかったが、杉崎成も東京屈指の強打者だ。加えて、負傷により秋季大会には出場していないが、打力のある外岡空也も外野の一角に加わりそうで、チーム内の競争も激しい。現時点の戦力は、夏の甲子園で準決勝に進出した3年前を上回る。
井上、廣澤―日大三のハイレベルの2本柱
廣澤優と井上広輝の2本柱
昨夏の甲子園大会に出場した日大三と二松学舎大附であるが、秋季都大会では、日大三は1回戦で、二松学舎大附は3回戦で敗退している。それでも、夏の経験者が多く残り、注目のチームであることに変わりはない。
日大三には井上広輝、廣澤優の両投手に、捕手の佐藤英雄のバッテリーが残った。昨夏の時点で、井上は150キロ、廣澤は148キロの速球を投げている。廣澤は身長が189センチ。長身の選手は育成に時間がかかることを考えれば、廣澤も150キロを超える可能性は十分で、ハイレベルな2本柱からは、目が離せない。
二松学舎大附は、チームの中心選手がほとんど残った。特に東京代表に選ばれた野村昇大郎、右田稜真の外野手に、身長198センチの秋広優人を加えた打線は強力だ。今年の東京は捕手に逸材が多いが、送球の鋭さでは東海大菅生の小山とともに、山田将義が双璧を成す。秋季都大会の東海大菅生戦は、秋季大会とは思えないレベルな高い試合であった。
平成元年の夏の覇者・帝京
帝京の注目バッター・小松涼馬
今年の春季都大会は、平成がまさに終わる時期に開催される。平成元年(1989年)の夏に甲子園に出たのは、東東京が帝京、西東京は東亜学園であった(中野区は当時西東京)。
この時、帝京は初の全国制覇を成し遂げ、平成とともに帝京黄金時代が始まった。近年、甲子園から遠ざかっているものの、潜在力は高い。新2年生の小松涼馬が東京代表のキューバ遠征で自信をつけたのも好材料だ。
東亜学園は平成元年以来、甲子園から遠ざかっているが、東京代表の左腕・細野晴希をはじめ、齊藤北斗、東新太郎ら経験豊かな投手が揃っており、秋は準決勝まで進出した。
秋は1次予選敗退チームにも注目の選手が
早稲田実業の投打の要、伊藤大征と生沼弥真人選手
秋季都大会では雑な試合も目立ったが、今年は楽しみな選手が多い。
秋4強の早稲田実は、キューバ遠征の東京代表である伊藤大征、生沼弥真人が投打の柱だ。3番、5番に固定できる選手は出てくれば、打線に厚みが増す。
東京代表に右の宮里優吾、左の坂本一樹が選ばれた岩倉には、大型捕手の荻野魁也もいる。その岩倉に秋は惜敗した八王子には、東京代表の投手・武内寛斗に加え、投球のテンポがいい北澤壮汰、攻守にセンスが光る外野手の高橋優介らがおり、戦力は整っている。
関東一は、好不調のムラがあるものの、150キロ近い速球を投げる谷幸之助がカギを握る。
東京代表にも選ばれた宮崎恭輔を中心に強力打線の国学院久我山、投手と外野手の二刀流の古川風勝を中心にまとまる創価も、秋からの成長が注目される。秋は関東一相手に好投した廣渡優斗を擁する成蹊、1次予選で日大鶴ヶ丘を破った都立小平西の投手・野崎師なども、楽しみな存在だ。
秋は都大会に出場できなかったが、春以降の活躍が期待される選手やチームも多い。都立日野の内野手・山崎主真は、都立校からただ1人、東京代表に選ばれた。代表には選ばれなかったものの都立大島の荒田奏斗の球威は、セレクションで代表の前田三夫監督(帝京)らを唸らせた。
工学院大附の渡邊充は大型右腕。東海大高輪台の捕手・木下優成、日大二の投手・折笠利矩、都立高島の投手・高橋涼、投手、昨夏、日大三戦で本塁打を放った磯貝愛弥(都立杉並)らは、春は本大会で観たい選手だ。秋は1次予選で帝京を苦しめた都立昭和の戦いも期待される。
年末のキューバ遠征が東京の高校球界全体にいい刺激となり、今年も熱い戦いが繰り広げられることを期待したい。
(文=大島裕史)