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リードする星稜を追うのは?平成最後の選抜、新元号最初の夏に期待の注目校【2019年展望】

2019.01.05

 いよいよ2019年がスタートした。選抜は平成最後の選抜となり、夏の甲子園は新元号の元、スタートする。さて、今年の高校野球はどんなチームがリードするのか。選抜出場候補のチームだけではなく、夏に躍進が期待できるチームを紹介していきたい。

星稜の課題 星稜が恐れる広陵とは?

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奥川恭伸(左)と西原健太(右)

 2018年は大阪桐蔭が終始リードする形だったが、今年は明治神宮大会準優勝の星稜がリードする形になりそうだ。今年の高校生を代表する投手・奥川恭伸は絶対的な存在。また奥川以外にも他校であればエース級の実力を持った投手が多くいる。

 打線は1年生ショート・内山壮真を中心に好打者がずらりと並ぶが、林監督は「今の打力はBクラスかCクラス。このままでは選抜1、2回戦で敗れる」と厳しい。打線については昨年、石川大会決勝で数々の打撃記録を打ち立てた昨年のチームぐらい伸びることを期待している。昨年は「レベルは下から数えたほうが早いチームでしたが、歴代でも最も伸びたチーム」と林監督が評するチームだったという。

 その星稜を追うのはどこか?まず星稜を破った札幌大谷。エース・西原健太、魅惑の技巧派右腕・太田流星の2枚看板を含め、打線も上位下位と切れ目なく、守備力も標準以上の高さがある。神宮大会で見せた粘り強い試合運びを見せながら、個々の能力を高めていきたい。

 星稜の監督、選手たちが恐れていたのが、広島広陵である。投手陣の柱・河野佳石原勇輝森勝哉の3枚看板の実力は全国トップクラス。

 また打線については、巧打者が多く並び、抑えた奥川でさえも、「広島広陵さんは速球、変化球でも体が突っ込まない状態でボールを見送り、さらに振ることができているので、対戦していて投げづらかった。できれば早い段階では当たりなくない」と警戒する。ただその広島広陵がコールド負けするということは、まだ予期せぬ失点、エラーが起きた時にそれを修正するメンタルコントロール、術がないということ。それを克服できるメンタルが備わると優勝候補に名乗りをあげそうだ。

 パワフルな打線が売りの筑陽学園、セーフティスクイズ、エンドランなど攻めが多彩な高松商、下位打線まで長打が打てる打者がそろう八戸学院光星石川昂弥熊田任洋など能力が高い打者がそろう東邦など、神宮大会に出場した10チームも躍進が期待できそうだ。

[page_break:履正社、明石商の2校は全国でも躍進が期待できる]

履正社、明石商の2校は全国でも躍進が期待できる

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左から、小山翔暉・村田賢一・来田涼斗・黒川史陽

 神宮大会に出場していないチームでも躍進が期待できるチームが多い。北海道大会では札幌大谷と打撃戦を演じた札幌第一大船渡の157キロ右腕・佐々木朗希を攻略した盛岡大附、関東では投打で高いポテンシャルを誇る村田賢一など打力が高い選手を揃えた春日部共栄野村健太菅野秀斗など好打者をそろえる山梨学院、突出した能力はなくても試合運び、巧みな走塁、ち密な守備、勝負強さでベスト4まで勝ち進んだ習志野も見逃せない。

 近畿では準優勝の明石商は守備、走塁、試合運びに穴がなく、それでいて来田涼斗、145キロ右腕とスケールが大きい1年生2人を擁し、選抜での躍進に期待がかかる。またベスト4の履正社は145キロ左腕・清水大成、強打の捕手・野口海音などレギュラー選手の能力の高さは全国随一。どんな試合でも安定した力を発揮できるメンタリティを身に付けると全国上位が期待できる布陣だ。
 また大阪桐蔭を破った智辯和歌山黒川史陽東妻純平を中心とした打線の破壊力は全国トップクラス。投手力を強化して、2019年も躍進を遂げたい。

  東京2位の東海大菅生は打撃力、守備力の高さは全国クラス。強打の捕手・小山 翔暉、走攻守三拍子揃った好ショート・成瀬脩人、全国クラスの技巧派左腕・中村晃太朗は東京代表に選ばれ、キューバへ遠征。濃密な経験を送った彼らは一段と成長。キューバ遠征の経験が良い形となって生きるだろう。

[page_break:横浜、創志学園、大阪桐蔭などタレントチームの課題は]

横浜、創志学園、大阪桐蔭などタレントチームの課題は

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左から、及川雅貴・西純矢・根本太一・井上広輝

 選抜が厳しそうな立場でも怖いチームは多くある。最速153キロ左腕・及川雅貴擁する横浜はタレント力ならば全国トップクラス。また、それを追う東海大相模も高校通算30本塁打の西川僚祐遠藤成を擁するなど打線の破壊力は横浜をしのぐものがある。投手力が強化されれば、4年ぶりの夏の甲子園も見えてくるだろう。

 近畿大会ベスト8の大阪桐蔭は選抜出場が微妙な立場。打者の力量は全国レベルだが、履正社と戦えるチームになるには、投手陣全体の底上げが課題となるだろう。ほかでは東邦と打撃戦を演じた中京学院中京、東邦のライバル・中京大中京愛工大名電、150キロ右腕・西純矢擁する創志学園は劣勢になっても、粘り強さを発揮するメンタルの強さを身に付けたい。また昨春の九州大会優勝の九州国際大附は当時の主力が残り、有力候補となりそう。

 また九州大会ベスト8の興南は左腕・宮城大弥が最終学年を迎え、3年連続の夏の甲子園出場に期待がかかる。

 他では県大会で敗れた花咲徳栄浦和学院と埼玉私学2トップ、149キロ右腕・根本太一、1年生ながら伸びのある140キロ台のストレートを投げ込む木更津総合、都大会初戦敗退を喫し、投打に鍛えなおしている日大三は強力な2枚看板である井上広輝廣澤優以外のウリを見出していきたい。

 林優樹有馬諒の強力バッテリー擁する近江も楽しみなチームだ。

 ここまで出てきたチームは秋の大会から評判が高かったチームである。昨年の金足農のように、秋、春と確かな実力をつけて、夏に100パーセントの力を発揮するチームが出てくることを期待したい。また高校野球ドットコムはそういうチームにも着目し、発信していく予定だ。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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