Column

その「ポテンシャル」をチーム力に昇華せよ! 秋季徳島県大会総括

2018.12.11

 準々決勝で夏の代表校・鳴門が徳島商にコールド負け、シード校の鳴門渦潮川島に敗れる中、川島の大会初優勝。準優勝・徳島商、3位・富岡西、4位・徳島池田の順位で終了した「第71回徳島県高等学校野球秋季大会」。四国大会では富岡西が2勝でベスト4、徳島商も1勝を上げるなど、近年顕著な県あげての競技力強化を示す秋ともなった。

 では2019年、彼らがさらに上昇するための必要なものとは?今回は11月24日(土)[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催された「第10回徳島県高等学校体力・技術向上研修会」の結果・テータも開示しながら「徳島県高校野球の2018年秋」を総括していく。

「ポスト・森 唯斗」はそこにいる

その「ポテンシャル」をチーム力に昇華せよ! 秋季徳島県大会総括 | 高校野球ドットコム
ロングティーで一位となった村田 龍哉(徳島商)

ベースランニング

1位:石上 泰輝徳島商2年・二塁手)     13秒78 歴代2位

2位:赤松 侑斗阿波2年・遊撃手)      14秒07

3位:安藤 稜平富岡西2年・中堅手)     14秒19

ロングティー

1位:村田 龍哉徳島商2年・投手)        114メートル60 歴代4位

2位:大谷 圭悟富岡西2年・内野手)       113メートル36 歴代5位

3位:笠原 淳弘徳島科学技術2年・一塁手)    108メートル75

遠投

1位:石上 泰輝徳島商2年・二塁手)       116メートル73 歴代1位

2位:小谷 健太徳島商2年・捕手)        113メートル62 歴代5位

3位:上木 宙椰名西2年主将・遊撃手)      113メートル58 歴代6位

 11月24日(土)に[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催された「第10回徳島県高等学校体力・技術向上研修会」の測定3種目トップ3である。遠投部門で9年ぶりにレコードを更新し、2冠を獲得した徳島商・石上を筆頭に全国と伍しても十二分に対抗できる数値がここには並んでいる。

 ちなみに石上のサイズは「172センチ68キロ」。名西・上木は「173センチ58キロ」。阿波・赤松は「168センチ64キロ」。176センチと決してサイズに恵まれなくとも、今季66試合登板で37セーブ・入団1年目から5年連続50試合以上登板で福岡ソフトバンクホークスの絶対守護神となった森 唯斗海部~三菱自動車倉敷オーシャンズ)に続く身体能力高きタフネスたちが、徳島県には確かにいるのだ。

 ただ、野球は身体能力だけでするスポーツではない。この秋を制したのは「体力・技術向上研修会」でトップ10に誰も入っていない川島。堅実な戦いが鳴門渦潮、徳島池田、徳島商といった強豪を倒しての下克上につながった。


「理想形」富岡西の戦い方に続くのは?

その「ポテンシャル」をチーム力に昇華せよ! 秋季徳島県大会総括 | 高校野球ドットコム
理想的な戦いを演じた富岡西ナイン

 その部分で四国大会含め理想的な戦いを演じたのが富岡西。試合前のみならず試合中も順応するクレバーさと、身体能力の高さをうまく掛け合わせ、県勢5年ぶりのセンバツ出場を視野に入れる四国大会ベスト4入りを果たした。徳島商もベスト4入りには一歩及ばなかったが、県大会で鳴門富岡西を退け、四国大会でも英明に競り勝った粘りは春以降の大きな糧となるだろう。

 一方、準決勝以降にピークを合わせられず四国大会行きを逃した徳島池田や川島に競り負けた鳴門渦潮。そして「このチームはやらなくてはいけないことがたくさんある」と森脇 稔監督が引き締めを図る鳴門などは、富岡西の「理想形」を頭に焼き付け、自らのスタイルに落とし込むことが必定だ。

 徳島県の大会は試合ごとに、ともすると試合中も状態の上下が激しい場面があるが、メンタルコントロールを含めたチームコントロールも春以降への課題として取り組んでほしい。

 全国で勝ち抜く絶対的ベースとなる「選手のポテンシャル」は間違いなくある。彼らには2019年、3月に[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催予定の県ベスト4を基準として選出される北信越センバツ代表校との練習試合なども活用しながら、徳島県にしかできないポテンシャルをチーム力に昇華する戦いを、ぜひ魅せてほしい。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.18

【岡山】センバツ出場の創志学園は2回戦から登場! 2回戦で昨年夏の決勝戦と同じカードが実現の可能性も!<春季県大会地区予選組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード