第822回 「学びの力」が成績として反映された秋季四国大会【大会総括】2018年11月30日

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【目次】
[1]見事だった高松商の「成長力」と松山聖陵の「結束力」
[2]ベスト4・富岡西の「明」、高知商の「暗」
[3]四国に生じつつある「新しい地図」

 10月28日(土)・29日(日)、11月3日(土・祝)、4日(日)の4日間で予定通り行われた「平成30年度(第71回)秋季四国地区高等学校野球大会」。3年ぶり9回目の優勝を遂げ、3年ぶり3回目の出場となった「明治維新百五十周年記念 第四十九回明治神宮野球大会」でもベスト4入りを果たした高松商(香川1位)ばかりでなく、松山聖陵(愛媛3位)が初の決勝進出。富岡西(徳島3位)も初のベスト4に入るなど話題の多い大会となった。

 そこで今回は、大会を明治神宮大会高松商含め総括すると共に、後日総括を行う四国4県の秋季大会ともリンクさせながら春以降につながる提言も行っていく。

見事だった高松商の「成長力」と松山聖陵の「結束力」



優勝した高松商

 「初戦八戸学院光星)前日に『強いゴロを打とう』という指示をして、それが練習でうまくできていたんですよ。そして実際の試合でもキャプテン(飛倉 爽汰・2年・中堅手)が1番でいきなり強いゴロを打ってくれた。結果は二塁ゴロだったんですが、それがいい試合につながったんだと思います」

 準決勝星稜との激闘から2日後、高松商グラウンドでの日常に戻った長尾 健司監督が明治神宮大会を振り返る。このように全国の舞台でも的確に準備し、試合開始から表現した彼らにとって、秋季四国大会は県大会制覇で得た自信を熟成する場となった。

 初戦の準々決勝で逆転勝ちし明治神宮大会連覇を狙った明徳義塾(高知3位)の野望を阻むと、準決勝ではスタートダッシュで夏の甲子園2勝の余勢を買い、夏春連続甲子園・24年ぶり15度目のセンバツへ突き進んでいた高知商(高知1位)の勢いをシャットアウト。決勝戦でも試合をコントロールし松山聖陵(愛媛3位)に主導権を一度も渡さなかった。多彩な試合展開に順応しながら頂点を獲得した成長過程は、見事の一語である。



松山聖陵注目の1年生・大村侑希

 「見事」は初の大会決勝進出を遂げた松山聖陵にもあてはまる。秋季愛媛県大会準決勝で聖カタリナ学園(愛媛2位)に7回コールド負けを喫しながら3位決定戦から4連勝を果たした反発力もさることながら、打線だけをあげても20打数12安打10打点の県大会から一転四国大会では18打数2安打に終わった田窪 琉風(2年・遊撃手)を、準決勝富岡西戦の決勝アーチを含め四国大会19打数7安打5打点と躍動した1番・大村 侑希(2年・一塁手)や、5番ないし6番で大会18打数7安打2打点の新城 健太朗(2年・左翼手)といった選手たちがカバーした結束力こそが、相手の探究を打ち破る原動力となった。

 松山聖陵でもう1つ特筆すべきは愛媛県大会5試合1盗塁から四国大会4試合9盗塁とスタイルを大きく転換させた荷川取 秀明監督の「決断力」であろう。うち4番・折田 玲(2年・中堅手)が4盗塁をマークするなど、どの打順からでも走れる形を冬の間に熟成し、結果的に1年生右腕・平安山 陽に頼る形になってしまった投手力を向上させれば、2年連続のセンバツ、3度目の甲子園で悲願の初勝利をマークする可能性が上がってくる。「考えながら取り組んでくれる選手たち」(荷川取監督)の奮起に期待したい。

【次のページ】 ベスト4・富岡西の「明」、高知商の「暗」

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寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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