危機感を乗り越え史上初の2度目の春夏連覇!!大阪桐蔭の1年間を試合レポートで振り返る!【後編】
10月25日に行われたプロ野球ドラフト会議で、4人の選手が指名された大阪桐蔭。ドラフト1位指名を受けた根尾昂や藤原恭大を中心に、圧倒的な強さを見せて春夏連覇を達成した。
今回は、そんな大阪桐蔭の強さを振り返るために、試合レポートと共に1年間の軌跡を紹介していく。順風満帆に見えた1年間であったが、試合の一つ一つを見ていくと、決して平坦な道のりでは無かったことがわかる。後編では春季大会後の招待試合から夏の[stadium]甲子園[/stadium]や国体までを見ていく。世代を代表する銀河系軍団の紆余曲折をご覧あれ。
歯がゆい試合が続く招待試合、西谷監督も危機感を募らせる
中京大中京戦で5失点を喫した柿木蓮(大阪桐蔭)
春季近畿地区大会を制した大阪桐蔭であったが、その後の招待試合は歯がゆい試合が続いた。
愛知県招待試合では投手陣が精彩を欠き、中京大中京戦で選抜後の対外試合では初黒星を喫すると、愛知産大三河との試合でも6対5と競り負ける結果となった。西谷監督も試合後の談話で危機感を口にし、夏に向けて不安が残る遠征となった。
観戦記事
【愛知県招待試合】
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中京大中京が17安打12得点の大勝!大阪桐蔭は選抜後の対外試合では初黒星
愛知産大三河vs大阪桐蔭
愛知産大三河が大阪桐蔭に勝利で愛知勢が2連勝
大手前高松戦でデビューした仲三河優太(大阪桐蔭)
【愛知県招待試合】
大阪桐蔭vs大手前高松
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大阪桐蔭vs藤井学園寒川
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英明vs大阪桐蔭
「打ち込んだ」英明、「粘れた」大阪桐蔭。見ごたえ多きドロー
大阪桐蔭vs高松商
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二死からの逆転劇!絶体絶命のピンチを迎えるも底力で掴み取った夏の甲子園
根尾昂(大阪桐蔭)※写真は春季近畿地区大会
春季近畿大会後は状態を落とした大阪桐蔭であったが、夏の大阪府大会に入ると徐々にチーム状態は上がっていく。4回戦までをコールドで勝ち抜くと、準々決勝の金光大阪戦も接戦をモノにして準決勝に進出した。
だが、準決勝の履正社戦で絶体絶命のピンチを迎える。先発の根尾昂は球にバラつきが見られ、打線も履正社の先発で背番号9の濱内太陽に苦戦を強いられる。最終回を迎えた時点で得点は2対3と1点差。絶対的王者が土俵際まで追い込まれる形となった。
だが、大阪桐蔭は冷静だった。二死から満塁のチャンスを作ると、根尾昂が冷静にボールを見極めて押し出し四球。さらに続く6番・山田健太がレフトへの値千金のタイムリーを放ち、土壇場でで逆転に成功した。底力を見せた大阪桐蔭は、9回裏を締めて履正社を下し、続く決勝も勢いそのままに大阪学院大高を下して4季連続の甲子園出場を掴み取った。
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【第100回全国高校野球選手権記念大会】
決勝 大阪桐蔭vs大阪学院大高
大阪大会の新記録を打ち立て、甲子園への切符を掴み取る!
準決勝 大阪桐蔭vs履正社
逆転を生んだ王者・大阪桐蔭の異様な落ち着き
準々決勝 大阪桐蔭vs金光大阪
苦戦を強いられながらも大阪桐蔭は準決勝へ
藤原恭大(大阪桐蔭)※写真は春季近畿地区大会
4回戦 大阪桐蔭vs常翔学園
山田健太の2打席連続アーチで6回コールド勝利!
3回戦 大阪桐蔭vs常翔啓光学園
大阪桐蔭が貫録の5回コールド勝ち
2回戦 大阪桐蔭vs四條畷
春夏連覇目指す大阪桐蔭が始動
快挙達成!史上初の2度目の春夏連覇!
史上初の2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭(写真=共同通信社)
絶体絶命のピンチを脱し、第100回全国高校野球選手権記念大会に駒を進めた大阪桐蔭。甲子園まで来ると、再び全国屈指の潜在能力が猛威を奮った。
盤石の戦いで1、2回戦を突破すると、3回戦では主将・中川卓也のタイムリーで高岡商に逆転勝ちを収める。準々決勝では大会屈指の右腕・渡邉勇太朗を粉砕して、準決勝でも済美の好投手・山口直哉を撃破。
史上初の2度目の春夏連覇を懸けた決勝では、大進撃を続けて勝ち上がった金足農と対戦。ここでも大阪桐蔭は、圧倒的な猛打で金足農のエース・吉田輝星を攻略して13対2と大勝。
一気に頂点へと駆け上がり、史上初の2度目の春夏連覇を達成した。
観戦記事
【第100回全国高等学校野球選手権記念大会】
決勝 大阪桐蔭vs金足農
大阪桐蔭、史上初の2度目の春夏連覇達成
準決勝 大阪桐蔭vs済美
大阪桐蔭が史上初、2度目の春夏連覇に王手!済美は山口直の力投も実らず涙をのむ!
準々決勝 大阪桐蔭vs浦和学院
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3回戦 大阪桐蔭vs高岡商
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大阪桐蔭が根尾、藤原のホームランなどで沖学園に大勝!救援の柿木は151キロのストレートで甲子園を沸かせる!
1回戦 大阪桐蔭vs作新学院
エースとしての役割を果たした柿木蓮が1失点完投勝利!
充実の福井国体、能力の高さを改めて示した根尾昂
下関国際戦で本塁打を放った根尾昂(大阪桐蔭)
史上初の2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭。充実を滲ませる中で臨んだ国体でも、その能力の高さを存分に見せつけた。
中でも特に目立ったのは根尾昂だ。準々決勝の下関国際戦では、下関国際のエース・鶴田克樹の球を捉えてセンターへの本塁打を放つと、投げては自己最速となる150キロを記録し、投打にわたってチームを勝利に導く大活躍を見せた。
天候不良の影響もあり、大阪桐蔭にとって準々決勝の下関国際戦が高校生活最後の試合となった。文字通り、有終の美を飾った大阪桐蔭は、その後に行われたドラフト会議で4名の選手が指名された。また、プロ野球の舞台へ進む選手たち以外でも、大学野球や社会人野球の強豪へ進む選手たちもいる。大阪桐蔭の「黄金時代を」を築き上げた選手たちから、これからも目が離せない。
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投げては150キロを記録し、守備でも軽快な動きを見せた根尾昂(大阪桐蔭)
【福井しあわせ元気国体2018】
準々決勝 大阪桐蔭vs済美
大阪桐蔭が公式戦最後を勝利で飾る!
1回戦 大阪桐蔭vs済美
下関国際、敗れるも堅守で大阪桐蔭と渡り合う
(文・栗崎 祐太朗)